「呼吸を意識する」ことは、マインドフルネスで要ですが、それとともにマインドフルネスで大事にしているのが「身体を意識すること」です。
<今>を意識することもできるとともに、自分自身に感謝する気持ちが湧き上がってきます。
あちこち痛みが合っても頑張ってくれているあなたの身体。
マインドフルネスには、本によっていろいろなやり方があり、ヨガポーズとか横になるとかありますが、とりあえずすぐできる方法で。
今回は椅子に座っての「ボディスキャン」。
ボディスキャンのやりかた
まず、仰向けになるか、椅子に座るかして、目を閉じ、初めのうちしばらくは、呼吸に意識を向けます。
それから身体全体に意識を向けていきます。
もし座っているならば、手はゆったりと腿に置き、腰はそらさないようにして背筋を伸ばしてみる。
上から糸で吊るされているようなイメージで、できるだけすっと伸びてみる。
そして、足先から頭までを順番に意識していきます。
足の指に注意を向けます。
静かに呼吸しながら、どんな感覚がるか、内側から観察するつもりで、あるがままを感じます。
足の指を十分に感じたら、そのあとも同様に足の裏、足の甲、ふくらはぎ、腿へと順に意識を向けていきます。
同じようにして、手の指、手、腕を意識し、感じてみます。
次に、お腹から胸にかけて意識します。
心臓が動いているのを感じてみましょう。
それから背中に意識します。
腰から型、首まで順に注意を向けます。
顔に注意を向けます。
ゆっくりとあごの筋肉、唇、ほお、額、頭全体を意識します。
最後に、身体全体を意識します。
ここにあって<今>に繋がっています。
身体全体でおだやかに呼吸していることを意識します。
不快な感覚にも居場所をつくってやる
ところで、身体の感覚に意識を向けていると、不意に緊張や痛みを感じることがあるかもしれません。
それは、仕事や勉強に没頭するなどしてそれまで目を背けていた不快な感覚が意識されるということです。
そんなとき、マインドフルネスでは、緊張や痛みから逃げたり無理に抑え込んだりはしません。
不快な感覚があることを受け入れて観察するようにします。
「自分の中に緊張や痛みが合ってもいい」と認めてやるのです。
この<ボディスキャン>の途中なら、すぐに動いたり姿勢を変えたりせず、痛みや緊張がる場所を意識しながらしばらく呼吸をしてみます。
どこに痛みを感じているのか?
鋭い痛みなのか?鈍い痛みなのか?
痛みも自分の一部として受け入れたうえで、トレーニングをやめるか、それとも続けるかを決めるとよいのです。
マインドフルネスでは、リラクゼーションと違って、心地よくなることや緊張をゆるめることを目的としていません。
言い換えれば、即効性を求めていません。
すぐ心地よくなろうとか、緊張をゆるめようとするのではなく、まずはただ緊張や痛みがあることを受け入れます。
結果として心身は落ち着きますが、マインドフルネスの効果は徐々に積み重なっていくものです。
痛みも緊張も不快な感覚も「存在しても良い」と認めてやることで、それにとらわれた状態からあなたは解放されるのです。
あなたの身体に敬意を払う
そもそも身体に痛みや緊張が現れるのは、心が発しているSOSのサインの可能性もあります。
心が混乱したり、煮詰まっているとき、身体はそれを何らかの形できちんと知らせてくれるのです。
しかしわたしたちは得てして病気にでもならない限り、自分の身体に無頓着。
心の状態にとらわれる一方で、身体のことはあたかも思い通りに動く便利な道具のように扱ってはいないでしょうか。
身体がつらい時や心地よいときだけでなく、日常的にあなた自身の進退に意識を向けて、身体が感じていることをていねいに感じ取ってみませんか。
身体が伝える感覚は、私たちの心の状態を示すバロメーターです。
また、心と体は繋がっているので、「身体が心地よいと感じることをすると、心にもよい影響を与える」ということがあります。
たとえば体を動かしたり、ストレッチをすると、気分がよくなります。
微笑んだり、姿勢を良くしたりするだけで、心がほぐれると言われます。
毎朝、できるだけ自然にまっすぐ立って、身体のすみずみまでゆっくり自然に伸ばしながら10回呼吸すれば、背筋が伸びるだけでなく、心もすがすがしく感じられます。
ボディスキャンは、自然治癒力を上げる
身体の自然治癒力は、くつろいだり幸せを感じたりしているときに高まるだけでなく、身体がどんな状態なのかただ気に留めるだけでも、高まる傾向があります。
マインドフルネスのトレーニングで身体を内側から丁寧に観察し、その声に耳を傾けていくと、心身の健康にもいいのです。
たとえ病を患っていても、怪我があっても、痛みが合っても、あなたの身体は<今>ここで黙々と働いてくれています。
だからこそ、あなたの身体に敬意を払い、愛情をもって身体の中に注意を向けてみませんか。
あるがままの状態を受け入れているうちに、身体がほぐれるのを感じます。
身体がリラックスするにつれて、心も落ち着いてくるはずです。
ボディスキャンをしていると、無駄食いが減ります。
「本当に食べたいのかどうか」をやたらと胃が教えてくれるようになるからです。
先日、けっこう華やかな会食中に箸がぴたっと止まってしまって驚きました。
いつもは、華やかさに気持ちが盛り上がってしまいがちなのですが。
年末によいかもしれませんね。
今日もお疲れさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。