今週のお題「愛用しているもの」
どんなにあちこち愛読書がふらつこうが、20年以上愛してやまない一冊です。
曽野綾子さんの著書は、最近の『人間の分際』なども切れ切れで素晴らしいんですが、
ごく初期の小説形式のこちらも、とても秀逸です!
主人公は高校生の山本太郎くん。曽野綾子さんの長男も太郎くんというそうですが。
主人公の太郎くんは、曽野綾子さんそのものの、さばけた性格の持ち主ながら、青春ど真ん中を生きていきます。
心中事件や進学問題、失恋など、自分や回りのごたごたに巻き込まれながら、人生の宙ぶらりんさに悩んだり。
たまに、かなり軽薄な装いで、自分の悩みをカモフラージュしながらも、著書の持つ人生哲学を交えて深く誠実に考察する姿が、明るく描かれています。
曽野綾子さんの哲学が実に楽しくユーモラスに綴られたもので、大学編も楽しいです。
特に、面白いのが、登場人物に太郎くんの母親です。
実に豪傑なサバサバした人で、曽野綾子さんそのものがモデルであろうと思われるのですが、親戚に何を言われようとも、静かに自分の考えを真っ直ぐ通す姿は最高です!
惚れます!!
人生哲学にふらついたときに、この一冊を持って珈琲飲みながら一時間籠れば、大概悩みに決着がつきます。
色々考えすぎたり、人の話を聞きすぎて、訳がわからなくなったら、曽野綾子さんの本って割りきりかたを教えて貰えるようで、良いですよね。