あなたはドラえもんの登場人物で、自分に誰が一番近いと思いますか?
「のび太」という人が多いのではないでしょうか。
のび太は、誰にでも優しくできます。失敗しても再チャレンジを怖がりません。
悪口は言わないし、心配なことは考えない。
勉強も運動も苦手なのび太。
でも、しずかちゃんと結婚でき、映画版では大活躍です。
その成功劇の裏にあったのは、のび太が発してきた言葉なのです。
その言葉こそ、人生を上手に歩むヒントがあったのです!
こんばんは、ラブです。
のび太こそ、人生を楽しむ天才
富山大学の元教授で本来の専門は生涯スポーツ論を分野としていた著者が、研究した「ドラえもん学」。
ドラえもんは、子どもだけでなく大人にも夢や冒険心を与え続けてきたこの作品ですね。
その中でものび太は、日常生活において誰もが体験する喜び・楽しさ・しあわせといったプラスの感情に加え、怒り・悲しみ・妬み・はがゆさ・悔しさといったマイナスの感情を、飾り気もなくストレートな言葉で表現しています。
つまり、のび太こそ最も人間らしく生きているとも思えるのです。
『ドラえもん』の読者は、こうしたのび太の言動に自分を投影し、思わず手をたたいたり、愛おしくなったり、意気地の無さにがっかりしたり、あまりのもどかしさにイライラしたりするのではないでしょうか。
のび太は、最高の相棒であるドラえもんの力を借りながら、作品を通して確実に成長を続けています。
作品ごとのオチの部分では、いつもの冴えないのび太に戻っていることが多くなっています。
でも、作品テーマの中には、成長の様子をいくつも見つけることができるのです。
『のび太の結婚前夜』という作品では、不安がるしずかちゃんに対して、『ドラえもん』に登場するキャラの中でも特に聡明なしずかちゃんのパパから
「のび太君を選んだ君の判断は正しかったと思うよ。
あの青年はひとの幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。
それが一番人間にとって大事なことだからね。
彼なら、間違いなく君を幸せにしてくれると僕は信じているよ」
と評価されるまでになっています。
のび太は、ダメ人間のようでいて、実は人生を上手く生きる天才なのではないでしょうか。
そのままで、大丈夫
著者が伝えたいのは、
「頑張らなくても、無理をしなくても、ダメだと思っていても大丈夫。
どんな人でも夢はかないますよ」
ということ。
現代を生きる私たちは、のび太の言葉からどんな教えを得ることができるのかについて考察できるのではないでしょうか。
著者が見つけたのび太の「人生をラクに自分らしく生きるヒント」。
のび太なだけに、私たちが生きていくための直接的な解決策ではないかもしれません。
しかし、生きる上でどんな問題に気づくべきかは教えてくれます。
のび太の教え:自分の弱さに正直になる
いつものように土管がある広場で遊んでいたら、のび太の目の前で、はる夫がジャイアンに殴られてしまいました。
「俺に逆らうからだぞ。さっきから見てたろ。悪いのはどっちだと思う?」
と問いかけます。
「そりゃあもちろん、誰が見たってジャイアンが・・・・」
と言いかけたものの、ものすごい形相でにらみつけられ、
「・・・正しい」
心にもないことを言ってしまいました。
「ぼくは、なさけない」
と泣き崩れます。ドラえもんは優しくなぐさめました。
「君だけじゃないよ。よくあることさ」
のび太は勉強机の椅子に座り、両手で目を覆いながら悔し涙を流します。
「正義を守るにも力がいるんだなぁ。力が欲しいなぁ・・・」
『てんとう虫コミックスドラえもん 27巻 「10分おくれのエスパー」』
ドラえもんの言葉も、のび太の最後の言葉も、その通りでしょうね。
忘れずにいたいのは、「弱いこと=悪いこと」ではないということです。
弱い人だからこそ分かる、他の人の弱さもあります。
自分緒弱さを見つめることは、誠実な人間で居るために、とても重要なことです。
自分の弱さをわかっておき、そんな自分に無理のない精一杯の誠実さを示していけばそれでいいのではないかと思います。
例えば、通り魔殺人などのニュースを目にしたときは、
「お父さん、何でこの人、誰も助けてあげなかったの?」
もし、子どもからこんなことを聞かれたらどうしたらいいでしょう。
「お父さんも助けてあげられなかったと思う。
だって相手はとんでもない凶器を持っているから。
でも、悔しい思いをするだろうね。
周りにいた人たちは、みんな本当は助けたかったはず。
だから悔しかったと思うよ。」
こんな風に答えることができるだけでも、大事ではないか、と著者は述べています。
のび太の教え:原点に帰れば感動が見つかる
のび太の両親が激しく口喧嘩をしているのを見て、ドラえもんは「ハジメテン」を二人の口に投げ入れました。
すると、二人はしっかり両手で握手しながら告白し合います。
「幸せだなぁ、こんなすてきな女性が僕の奥さんだなんて」
「私こそ。あなあたより男らしくて頼れる人、この世にいないと思うわ」
のび太はフトンの中で考えました。
「始めは新鮮な感動があったんだなぁ、何事も・・・」
そして、自分が最初に学校に行ったときにどう感じたかを知りたくなりました。
「タイムマシン」に乗って確認すると、そこには学校に行くことに大喜びしている自分がいました。
「うれしいな、あしたから1年生」
ランドセルを担いで、部屋の中を飛び回っています。
「そうだ、あのころは学校へ行くのが楽しくてしょうがなかったっけ」
のび太は大いに反省することになったのです。
『てんとう虫コミックスドラえもん 29巻「思い出せ!あの日の感動」』
慣れて、飽きてくると、毎日の生活が味気なくなりますね。
最初はウキウキしながらやっていたことも、いつの間にかやらされている、という不満でいっぱいになったり。
「ハジメテン」が飲めない私たちは、意識的に「初心」を記録しておくのも良いのかもしれません。
好きな人との初めてのデート、仕事で昇格したとき、待望の物を手に入れたとき・・・。
あなたの人生は感動の連続だったのです。
その感動を忘れて不満を言うよりも、感動をたびたび思い出して味わえる日々の方が絶対幸せです。
それは案外、簡単な方法で実現できるのかもしれません。
のび太の教え:開き直ると強くなれる
普段大人しくしている人や、いじめられやすい人をなめてかかるととんでもないことも。
そういう人ほど、開き直ると案外強いものです。
「日曜も祭日も夜も昼も、気の休まるときがない」。
のび太が次々問題を起こし、その度に面倒を見ていて疲れてしまったのです。
さすがに悪いと思ったのび太は、
「あすの日曜は、まる1日ドラえもんの休日にしよう!
ぼくのことなんかスッキリ忘れて、どこかへ遊びに行っておいでよ」
ドラえもんは、すぐ呼び出せる秘密道具「よびつけブザー」を渡して、ハイキングへ出かけました。
しかし、そういう日に限って、「よびつけブザー」を使いたくなる場面が多いものです。
一番のピンチは、町の二人の不良に捕まったこと。
脅かされ、縮み上がったのび太は「ぜったい使わないぞ!」と言いながら「よびつけブザー」を右足で押しつぶしてしまいます。
「さあ~、やるならやれ!!」
その様子を塀の影で見ていたジャイアンは、のび太の根性を気に入り、不良をやっつけてくれました。
「大丈夫だった?」
「あったりまえさ!平和な1日だったよ」
『てんとう虫コミックスドラえもん 35巻「ドラえもんに休日を!!」』
のび太とジャイアンの男気溢れるこういう話、たまにありますけれど最高ですね(涙)
まだちょっとイイ話がありますので、明日もこの本を紹介させてください。
あなたの中ののび太を、1歩好きになってもらえたら、うれしいです。
今日も一日、おつかれさまでした。
良い夢を。
では、また。