からだと脳のバランスを崩した著者が、様々な試行錯誤によって、睡眠障害や自律神経の狂いを解消していく過程で、見つけた「疲れない身体」のつくり方を紹介した本著。
種々雑多ないろいろな方法を紹介しますが、とにかく大切なことは、「あらゆるストレスをためない」「流す」ことだったそうです。
今回のキーワードは、「澱んだ息のデトックス」です。
こんばんは、ラブです。
蒸し暑さに疲れやすくなるこの時期、疲れにくい身体を作る方法をかじってみたいと思います。
本日は、「疲れない身体」をつくるための呼吸法です。
自律訓練法
からだと脳のギャップに苦しんだ著者が最初に行ったのは、ドイツの精神科医シュルツ氏の「自律訓練法」でした。
①まず手に意識を集中させます。
「手が重くなる、手が重くなる」と言いながら、手に重さを感じさせます。
②同じように足にも意識を集中させたら、次は「手足が温かい、手足が温かい」と、同様に手足に温かさを感じさせます。
この方法を行っていると、実際に冷えたからだがぽかぽかと温かくなってきます。
からだが重く温かいというのは、眠っているときのからだの状態です。
赤ちゃんは眠ると重くなって温かくのなるのと同じです。
一種の自己催眠を使うことで、興奮しすぎた交感神経を鎮め、副交感神経の優位の状態に自律神経を切り替えるという方法です。
心も体もスッキリするヨガ呼吸法
ヨガの呼吸法はいくつかありますが、その中に「完全呼吸法」というものがあります。
これは、息を「ふーっ」と長く吐きながらお腹をへこませていく「呼気(吐く息)」から始める呼吸法です。
①とにかく息を吐きます。
②息を吐くことでお腹が凹んで、へこんで、されにへこんで、お臍が背中につくようなイメージですべて吐ききります。
ヨガの行者の写真を見ると、時々あばら骨が浮き出るほどお腹をへこませている人がいますが、ああいうイメージです。
③息を吐きながら、肛門を締め、へその下、下腹部までギューッとへこませて息を吐き切ります。
④お腹を緩めます。
息を吐き切ると、「吸気(吸う息)」は吸おうと思わなくても、へこませたお腹を緩めるだけで、自然に「スーッ」と鼻から入ってきます。
この「吐き切って自然に吸う」という完全呼吸法を何度も練習すると、いかに多くの息がからだの中に残っているかがわかるそうです。
身体の中に残っている息とは、言い換えればからだの中にたまった「澱んだ息」です。
この呼吸法は、その澱んだ息まですべて吐き切るので、「息のデトックス」と言えるのです。
やってみると、ほんの1呼吸でも、こころなしかスッキリ感がありますね。
人はパニックになると、小刻みに息を吸い続けて、過換気症候群に陥りやすくなります。
これは精神的不安によって自律神経のバランスが崩れ、息が吐けないことがおこります。
この不安で息を吐けないという身体の生理を逆手にとったのが、緊張をほぐしたい時に深呼吸をして気持ちを落ち着かせるという方法なのです。
心身の不調を癒す「丹田呼吸法」
呼吸の基本である「吐き出す」ために基本となるのが、「丹田」。
丹田呼吸法とは、お臍から指三本分くらい下に位置する「臍下(せいか)丹田」という場所を意識する呼吸法です。
この呼吸法は、色々な人が説いています。
何かトラブルが起きた時など、誰でもとっさに逃げ出したくなりますね。
その瞬間に「嫌だな」と思うとキモチが負けてしまうことになります。
負けないためには、「ひと息」呼吸を整えて、臍下丹田で受け止める習慣を作る。
そうすることで、「これは逃れられる状況なのか、受け止めなければいけないものか」を判断し、「受け止めるとすればどうしたらいいのか」ということを考えられる「身体」を作ることができるのです。
混乱した状況では、よく「頭に血がのぼる」という状況に陥るものです。
頭に血が上ってしまった状態は、考えを巡らせるうえでも良い状態ではありません。
そこに有効なのは、この臍下丹田呼吸法です。
①一度息を止めます。
②「フーッ」とゆっくり息を吐ます。
③吐ききながら、上にのぼってしまった気を横隔膜とともに下に押し下げるようにイメージします。
それだけです。
普段からこうした呼吸を練習しておくと、自分の臍下丹田を意識しやすくなるので、いざという時に対処しやすくなるとか。
今は、「自分の中心はどこにあると思いますか?」と訊くと、「胸のあたり」と言う人が多いのですが、かつての日本人にとっては「お臍の少し下にある」というのは常識でした。
ですから、昔の日本人は「心はどこにあるか」と言ったとき、「腹にある」と考えていました。
武士の切腹も、「私には腹に何も隠すものがない」ということを見せつける意味があったとか。
かつての日本人は、かなりのハードワークをしても「疲れない身体」を持っていました。
幕末から明治にかけて、大きな天秤棒や重い背負子を担いだ人たちが大勢いました。
下手をすると山手線をぐるっと1周するような距離を天秤棒を担いで歩く人が、普通にいました。
その身のこなしは、写真で見ると、肩の力を抜いて腰とハラを中心に動いていたとか。
坂本龍馬や勝海舟たちの志士の写真でも、上半身には力みのない立ち姿です。
そこで著者は、力の抜き方についても研究していったのです。
次回は、肩甲骨あたりの力の抜き方について勉強します。
今日もおつかれさまでした!
疲れやすいこの季節を、楽しくいっしょに乗り切りましょう。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。