プレッシャーが強くかかっている時期は、もの忘れがとても多くなってしまったり、新しく覚えなくてはならないことが、どうにも頭に入ってこなかったりしませんか。
やらなければならないことが沢山あるのに!と焦るほど、ますます「うっかりミス」が増えることもあります。
それは脳科学的に、当然のことだったのです。
今回のキーワードは、「ストレス」。
こんばんは、ラブです。
ストレスがかかりすぎると脳のほとんどの機能は低下する
ごく短期間のストレスは、気つけ薬のような緊張効果によって、脳機能の向上をもたらします。
しかしストレスが長期化すると、脳に対して悪影響を及ぼします。
ストレスがかかりすぎると、作業記憶と長期記憶が低下し、さらに集中力や学習能力も低下するのです。
なぜストレスがかかると、記憶力や学習能力が低下するのでしょう?
ストレスが継続すると、副腎皮質からコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。
また、記憶の仮保管書であり、「短期記憶」を「長期記憶」に置き換える、記憶のコントロールセンターである「海馬」には、コルチゾールの受容体がたくさん存在します。
脳の他の場所よりもたくさんのコルチゾール受容体が存在するために、海馬はとてもストレスに弱いのです。
コルチゾールは記憶を貯蔵するニューロンのネットワークを遮断。
そして海馬でのニューロン新生をストップさせます。
ストレスによってコルチゾールが増えすぎた結果として、短期記憶、長期記憶、さらに新規の学習機能までもが阻害されてしまうのです。
うつ病の患者さんに、ときに「記憶障害」が認められることがあります。
うつがひどくて仕事を休んでいたときのエピソードや、入院していたときの様子などを病気が治ってから質問しても「全く覚えていない」ということがあるのです。
コルチゾールの海馬絵の悪影響は、そうした重度の記憶障害になるということもあるのです。
ストレスは脳細胞を壊す!
期間限定の軽度のストレスは、記憶に対してプラスの作用をもたらします。
しかし、ストレスが慢性化、長期化すると、記憶に対して著しい悪影響を及ぼします。
さらにストレスの程度が大きくなり、長期化するとコルチゾールは海馬に対して深刻なダメージを与えます。
結論から言うと、ストレスがかかることによって、海馬の細胞が死んでしまうのです。
これはPTSD(心的外傷後ストレス障害)を対象にした多くの研究で示されています。
東日本大震災前から仙台市内に住む大学生37人の海馬の大きさを、震災前と震災1年後で比較した研究があります。
それによると、右側の海馬の体積が約5%、小さくなっていることが分かりました。
震災によるストレスが、海馬の神経細胞死を引き起こしたと考えられます。
アメリカでのベトナム戦争帰還兵を調べた研究があります。
そこでは、海馬の極端な萎縮が見られ、戦場でのストレスの影響だと考えられました。
また、幼児期に虐待された経験のある人を調べた研究でも、やはり同様に海馬の萎縮が認められました。
このように長期的なストレスは、海馬の細胞を殺し、海馬の萎縮をもたらしてしまうのです。
かなり極端なケースを調べた実験ではありますが、日常的なストレスや職場のストレスでも、コルチゾールは上昇します。
日頃からストレスをためないこと。
ストレスを上手に発散すること。
それが記憶や学習能力を高めるために、最低限必要なことなのです。
今日も1日お疲れさまでした!
すてきな夢が見られますように。
では、また。