古いアルバムを開いて何年も前の写真を見れば、「これは高校一年の時の夏休み!」などとすぐ思い出せたりしませんか。
私たちは体験の99%を忘れてしまいますが、きっかけさえあれば、多くの出来事を思い出すことができます。
人間の記憶というのは、「想起」(思い出すこと)は障害されやすいのですが、「記憶そのもの」は、脳の奥底に、しっかり保持されているのです。
今回のキーワードは、「何のために記憶するのか」。
こんばんは、ラブです。
「記憶している」とは「想起できる」こと
記憶を想起する「きっかけ」、つまり「記憶の牽引」さえあれば、簡単に記憶を想起できます。
アルバムの写真、以前に書いた本の感想、メモやノートなどは、格好の「記憶の牽引」です。
一年前に読んだ本の内容は、とっさには答えられなくても、以前書いた「感想」に目を通せば詳細が思いだせれば、「記憶している」ことと実質的には同じではないでしょうか。
一瞬で想起できるなら、「脳内」で記憶を保存しても「脳外」に保存しても同じです。
脳に「記憶」する時代は終わりました。「記憶」するより「記録」する!
SNSやインターネット上に記録して活用する時代にもなりました。
脳内記憶に頼る必要なないのです。
「あなたの気づき」は、最優先で記録する!
「何でもGoogleで検索できる」というのは完全に間違いです。
Googleで検索しても、絶対に検索結果に出てこないものがあるのです。
それは、あなたの「体験」と「気づき」です。
本に書かれた内容や年号、統計の数値など、「情報」そのものを記録しておく必要はありません。
しかし、あなたの「感想」や「気づき」は記録しておかないと、記憶から失われてしまうのです。
ネット上に何を書けばいいのかわからないと迷う人は多いようですが、他の人がネットに上げられないこと、つまりあなたの体験、経験、気づきを書けばいいのです。
重要なのは、自分だけの体験、自分だけの気づきをどれだけ記録し、自分の成長の肥やしにし、自分の血や肉にできるのか、ということです。
あなたの「記憶力」は、その部分に徹底して動員するべきで、そのためには体験、経験、気づきの「外化」を進めることです。
「記録」して「記憶」は蘇る
「記憶」は、とても曖昧なものです。
本を読んでも、そこから得た気づきの90%以上は失われてしまいます。
しかし、「記録」することで「記憶」を強化することができます。
本を読みながらアンダーラインを引く、余白に気づきや要点を書きこむ。
読んで気づいたことをメモする。
ノートに殴り書きをして、感想や気づき、ひらめきを書き出す。
さらにまとめておけば、1年後であっても、自分だけの気づきを簡単に思い出すことができます。
日記を書くと記憶力のトレーニングになる
Facebookやブログなどでやっている人も多いと思いますが、その日にあった出来事を日記として記録することは、記憶のトレーニングになると言われています。
その日の出来事を想起することがトレーニングになり、脳を活性化します。
認知症予防のトレーニングとしても、「日記」は期待されています。
文章にして、整理してまとめる、という作業があるため、「整理・まとめ」「言語化」「ストーリー化」が行われ、記憶定着の重要な促進剤になるのです。
また、自分の選択した印象深い出来事が「エピソード記憶」として残り、読みかえすことで復習効果も得られます。
ポジティブな日記を書くだけで幸せになれる!
アメリカのブリガムヤング大学の実験で、ポジティブな日記を書くだけで幸せになる、という結果が出ています。
被験者をその日のポジティブな出来事のみを書くグループと、単純にその日の出来事を書くグループに分け、4週間にわたって日記を書くように依頼します。
すると、「単純にその日の出来事を書いたグループ」に比べ、「その日のポジティブな出来事のみを書いたグループ」は、幸福度と生活満足度が高いという結果が出ました。
ポジティブな内容を書いた方が幸福度は高まりやすいのです。
毎日の生活に「楽しいこと」「おもしろいこと」はそう滅多にないと思う人もいるかもしれません。
しかし、ポジティブ日記を書き続けることで、日常の中に「楽しい」「おもしろい」ことを発見する目が育ってくるのです。
「外化」で成長する
アウトプットというと、「話す」のように記録に残らないアウトプットもあります。
アウトプットして記録に残すのが「外化」です。
「外化」すると記憶に残ります。
そして、記録に残すことで、自己洞察力が深まるので、自己成長するとともに、他人からも理解、共感されるようになります。
大事なのは、あなたがどんな素晴らしい考えやアイディアを持っていても、誰にも言わず、心にとどめている限りは、誰も理解できないということ。
どんな貴重な体験も、99%は劣化して忘れ去られてしまうということです。
逆に、あなたの素晴らしい考えやアイディア、そして個性ある経験や知識を外化することで、自己成長を加速させながら、他の人に認められるようになるのです。
2日前の日記を書くと、認知症予防
体験や経験、気づき、アイディアを外化するのはとても大事です。
ノートやメモ帳など、紙に「書く」外化は前に触れました。
ソーシャルメディアでの外化を中心とした方法としては、日記があります。
認知症予防の方法としてよく紹介されているものに、「2日前の日記を書く」があります。
2回の睡眠を経て、海馬に一時保存された情報が非常に弱まり、忘れられつつある状態。
今日の出来事は簡単に思い出せますが、2日前は大変だからこそ、記憶のトレーニングになります。
2日前の日記を書き続けることは、毎日日記を書き続けるよりも難しいでしょう。
しかし、Facebookやブログなどに日記を書くということは、「2日前の日記を書く」とほぼ同等の効果が得られると著者は言います。
忙しくて、その日のうちに出来事を投稿できないことも多々あるものです。
そうなると、少し前の日の内容を投稿することになります。
無理ない範囲の更新をしていることで、自然と「2日前の日記を書く」の状態になるのです。
視覚を使って圧倒的に記憶に残す~視覚情報記憶術
Facebookへの投稿は写真と一緒にアップする人が多いと思いますが、それは「記憶に残す」という視点から考えても、とても有効です。
写真、絵、イラスト、図などの視覚的イメージは、圧倒的に記憶に残りやすいのです。
被験者に高騰だけで情報を説明するよりも、それに加えて絵も使った方が、72時間後にテストをしたとこり、6倍以上もその内容を覚えていたという実験結果もあります。
作業記憶の研究では「言語情報」と「視覚情報」は別々の領域で処理されるということが分かっているのです。
「言語」中心にインプットすることの多い情報ですが、「視覚」というもう一つの入り口を用意することで、2倍以上のインプット効果を発揮することができるのです。
重要なのは、自己成長の加速
現代は、情報量の嵐が吹き荒れています。
電車でも、信号待ちの間さえも、スマホを持てその情報を処理する時間をつくっている人がたくさんいます。
情報は、よっぽど感情を揺さぶられない限りは、きれいサッパリ忘れるのが私たちの脳の仕組みです。
1回しか見ない100個の情報と接触するのか、30個の重要な情報と接触して、時間をおいて2回見直すのか。
トータルが同じ時間なら、情報収集術としてどちらが有効でしょうか。
100個の情報は、そのほとんどを忘れます。
30個の情報を3回見る人は、そのほとんどを記憶します。
これを1年間繰り返したとしたら、100回の人は、頭は空のまま。
30回の人は、脳内に「知識の図書館」ができます。
インプット量を増やすほど、記憶に残る情報、知識が増えて自己成長が加速しそうに思えますが、実際は逆ですね。
インプット量を増やすほど、記憶に残る情報、知識量は減ってしまうのです。
時間は有限で、インプット時間を増やすほどアウトプット(復習)時間は無くなっていくからです。
アウトプットされない知識は、ほぼ忘れます。
情報集めをしすぎると、脳内に使えない「情報のゴミ屋敷」を作ります。
情報を厳選して集める人は、脳内に「知識の図書館」を作るのです。
学生の頃「暗記力」が低かったことをコンプレックスにしていましたが、かなり「嫌々」暗記に取り組んでいたことが失敗だったのと、「嫌々」だったから「復習」なんか絶対やっていなかったことも敗因でした。
情報量もインプットしすぎだったかも知れません。
「厳選した30個」、大事にしたいですね。
「ムリのない復習」をするには、アウトプットです。
「記録する」「殴り書きする」「付箋」「ソーシャルメディア」。
それを「1週間のうちにもう2回、目にする」ことで、海馬に長期記憶への保存をさせること。
それから「ポジティブ」日記で記憶力のトレーニングをすること。
そんなことなら、日常でもできるかもしれません。
大事なことは、情報や知識を活用して私たちが「何をするのか」ですね。
クイズ番組で正解したり、人に博識を披露することではなく、ましてや大人だからテストで満点を取ることは目的にしなくていい。
そこから「何を生み出せるのか」「どう人に役立てるのか」。
そのための引き出しがスムーズに取り出せることだけが大事なのですね。
今日もおつかれさまでした。
あなたの明日が、もう少しだけ肩の力が抜けた、気持のよい1日になりますように。
では、また。