別の部屋にものを捕りに行って、ドアを開けた瞬間に「何しに来たんだっけ?」という経験はありませんか?
これが度々起きると、「ああ!認知症の始まり!?(涙)」なんて悩み始めます。
実は、こうした「ど忘れ」は、認知症や長期記憶とは直接、関係はないのです。
歩いている途中に考え事をしていたり、スマホに気を取られたなどの理由で、脳が一時的に情報過多になったのです。
今回のキーワードは、「作業記憶を上げる」。
こんばんは、ラブです。
「ど忘れ」の本当の理由
人間の記憶力は、膨大な情報を記憶できますが、情報入力の入り口は非常に狭いのです。
ですから、簡単オーバーフローを起こしてしまうのです。
脳の中には、脳の作業スペースであるワーキングメモリーと呼ばれる「作業記憶」があります。
脳を使って考えたり、判断したり、記憶したり、学習したるするための作業スペースがこのワーキングメモリーであり、これを著者は「作業記憶」と呼んでいます。
このスペースは、数秒から長くても30秒ほどの、ごく短い時間だけ情報を保持します。
しかし、その情報処理が終わると、すぐにその情報は消去され、次の情報が上書きされます。
例えば、友達から携帯電話の番号を伝えられた時、スマホにそれを入力する間は、その番号が記憶されていますね。
しかし、登録が終了すると、その番号は頭の中から消えてなくなります。
そんな時に使われているのが「作業記憶」、ワーキングメモリーなのです。
脳は1度にたくさんのことを処理しない
今日中に締め切りを迎える仕事が5件あったとします。
するとあなたは、かなり追い込まれて焦ったりします。
かなりのペースでこなさないと到底終わらず、パニックになるかもしれません。
この「テンパる」状態というのは、実は作業記憶の不足状態、パソコンでいるところのメモリ不足で動作が不安定になってしまった状態です。
作業記憶の処理能力は、一昔前までは「7±2」ぐらいが同時に処理できるという仮説が広く知られていました。
しかし、最近の研究では、そんなに多くはなく「4」前後が打倒だと言われています。
これは実験レベルで測定できる「単語の数」や「数字のユニット数」で測定したものです。
仕事や日常的な情報処理ならば「3」と、さらに少なくなります。
作業記憶で一度に処理できる情報量というのは、非常に少ないのです。
そして、その情報量を超えると、処理スピードが著しく低下するか、作業停止してしまいます。
そこで「ど忘れ」が起こるのです。
作業記憶を「脳の作業スペース」とイメージするならば、そこには3つのトレイがのっています。
そこに「視覚情報」「聴覚情報」「考え」「アイデア」などが次々入ってきます。
それを瞬間的に、秒単位で処理してトレイを空にしていきます。
てまた次の情報を処理しているのです。
脳のメモリを解放すると作業効率が上がる
「作業記憶」はパソコンの「RAMメモリ」のようなもの。
海馬に一時保存された情報、側頭葉に長期保存された情報ともに瞬時にアクセスして情報を処理します。
短期間で情報処理をするスペースを著者は「脳メモリ」としています。
昔のパソコンはソフトウェアを4つも5つも立ち上げるとフリーズして動かなくなりました。
メモリが不足するからです。
それを防ぐには、不要なソフトは立ち上げないことです。
メモリの空きスペースをできるだけ大きく確保することが大事です。
脳もそれと同じ。
やらなければならないことが、複数頭に浮かんでいると、私たちは「脳メモリ」を消費します。
脳のトレイは「3」つだけです。
メインの仕事にこのような「雑念」が入るとオーバーフローします。
ですから、一度にたくさんのことを考えすぎないこと。
一度に複数の仕事をこなさないなど、「脳メモリ」の負担を減らすことが大事なのです。
「脳メモリ」を解放することで、仕事効率や学習効率を上げることができます。
それには、TODOリストを上手く使ったり、知識の荷卸しをすることがおすすめです。
マルチタスクしない
脳科学研究では、脳はマルチタスクを得意としていないし、機能が低下する、としています。
同じような作業をマルチタスクで行うと、効率の低下は80~95%になるそうです。
また、マルチタスク下で運転すると、反応時間が1、5秒も遅くなるそうです。
時速50キロだと約20メートルも進んでしまいます。
マルチタスクをこなしているようで、脳の中では実際は1つずつのタスクを交互に勧めているのです。
ですから、目の前の作業に100%集中することが、最も賢い脳の使い方と言えます。
音楽は仕事にプラスかマイナスか
約200の論文を分析した研究によると、「音楽を聴くと仕事がはかどる」とする研究と「音楽を聴くと仕事の邪魔になる」という研究がほぼ同数でした。
細かく見ると、記憶力、読解力に対してはマイナス。
気分や作業スピード、運動に対してはプラスに働くことが多いという結果です。
外科のドクターには「手術中は自分の好きな音楽をかけた方が集中できる」という人も多くいます。
手術は「記憶」「読解」でなく「作業」だからでしょう。
工場のラインで音楽をかけて、作業効率をアップさせている会社もあります。
音楽は「学習」「記憶」「読解」などにはマイナス。
「作業」「運動」にはプラスに働くのです。
その日仕事内容によって、音楽の効果は変わるのです。
マルチシンクもやめる~書いたら忘れる記憶術
2つ以上のことを同時にこなすのが「マルチタスク」。
行動にしなくても、同時に考えただけ、つまり「マルチシンク」でも脳メモリは消費します。
「後でメールしなくちゃ」「あの件はどうなってるかな」などのいろんな「考え」が飛び交い、「あれもこれも」となっていると、脳メモリを消費します。
そうした雑念を消去するには「書く」ことです。
予定やスケジュールに限らず、気になることは全て書き出していきます。
著者は、今日の仕事に関することは、「TODOリスト」に書き、それ以外のアイデアやひらめきに関しては、パソコン上の「付箋」に書きます。
仕事中はふとした瞬間にアイデアがひらめくものです。
忘れたらもったいないけれど、深く考え始めると、「目の前の仕事」から脱線します。
パソコンの「付箋」は1~2行のメモなら10~15秒で完了します。
こうして集中を切らさずに仕事を続けられるのです。
ここできちんとメモしておかないと、後でまた同じような考えが浮かんで邪魔になります。
大事なのは「書く。そして、書いたらきれいに忘れる」ということです。
メモしたのなら、後でメモを見ればよいのです。忘れてOK!
「書いたら忘れる」を習慣にできると、頭の中に余計な情報が入り込むこともなく、常に脳メモリが解放されます。
結果として、気持ちよく仕事を続けられるのです。
仕事がいっぱいになると、たまに「テンパる」ことがあります。
それは、メモリがいっぱいになるからなんですね・・・。
メモに書き出して、順番をつけて、1つずつこなしていくことで、脳メモリの容量に余裕を作ることができ、作業効率を下げないで済むのが分かりました。
本著では、「ワーキングメモリーには個人差がある」とありました。
ワタシはどう考えても他よりも小さめの作業台で働いているクチなので、堂々とメモって生きていこうと心に決めました。
もの覚えが悪い自分の能力に対して、恐怖感を覚えるときがあります。
でも、「記憶」はノートやメモやソーシャルメディアなどに「外化」できる。
長期記憶に保存したい時は、情報量を厳選して「復習」すればいい。
「脳メモリ」は、「TODOリスト」や「付箋」で余裕を作ることができることが、脳科学的に説明されるて、ちょっと安心です。
ちょっと安心材料を持つことで、仕事に対しても少し「楽しんで」できるかもしれません。
今日も1日、おつかれさまです。
いよいよ7月。
2016年の後半も、あなたにとって素晴らしい日々になりますように。
では、また。