あれこれやることが満載なのに、時間が足りなかったり。
でも、そんな時に限って失敗をしやすくなります。
「焦り」で失敗したことは、誰にでもあるかもしれません。
しかし、この「焦り」の対策としては、脳科学的に考えると、古くから言われる諺が有効だそうです。
歴史の長いことわざ「急がば回れ」
焦りという感情には、「急いでいる」というイメージが伴います。
なかなか進まない交通渋滞や電車の遅れで、約束の時間に間に合うかぎりぎりになったり。
ただ、自分ばかりが焦っても電車は早くならないし、かえって自動車の運転での「焦り」は危険を伴うこともあります。
「急がば回れ」は、とてもよく聞くことわざですね。
「急いでいるなら、むしろ回り道をした方が良い」
あるいは、
「時間のかかるやり方を、ゆっくりした方が結局はうまくいく」
という、「焦り」をコントロールする昔からの方法論です。
実はこのことわざの語源は、室町時代までさかのぼります。
宗長という連歌師が詠んだ
「もののふの矢橋の船は早けれど 急がば回れ瀬田の長橋」
という歌に由来するそうです。
東国の武士が東から京都に入るには、近江国(今の滋賀県)の大津へ渡る必要がありました。
大津への渡り方は、琵琶湖に渡る渡し橋(矢橋の渡し)と、瀬田川にかかる有名な瀬田の唐橋があり、はやく京都につたければ、船の方が有利でした。
しかし、渡し船は、比叡山から吹き降ろす風の影響を受けやすく、危険を伴う航路でした。
時間はかかっても、唐橋を歩いて行った方が確実、という意味です。
新幹線や名神高速道路であっという間に渡り終えてしまう現代の瀬田川ですが、「急がば回れ」の重要性はまったく失われていないと言えるでしょう。
早く済ませたい急ぎの案件でも、回り道をするくらいの余裕があった方が、今も昔も良いわけです。
脳は焦ると視野が狭くなる
ベルギーのゲント大学の研究グループによると、焦っているときやイライラしているときは、人間の目に入る視野が狭くなるという結果がまとめられています。
芽から入った視覚情報は、脳の視覚野というところで、何が見えているのか判断されます。
脳の視覚野は、後頭葉に位置していて、一次から五次視覚野まで階層化されています。
そのうち一次視覚野は、名前の通り最初に働く視覚細胞のある部位です。
すなわち、最も単純かつ初期に活動する視覚野であり、ものが動いているとか、あるいは止まっているかなどの、初期の情報をとらえる役割があります。
焦りやイライラがあると、この一次視覚野の働きが制限され、難しいものはもちろん、基本的な視覚情報も処理できなくなってくることを、この研究の論文は示しています。
言ってみれば、脳は焦ると視覚狭窄に陥り、見落としも多くなり、ミスも増えるというわけです。
スポーツ選手にとっては死活問題ですし、わたしたちにとっても、自動車や自転車の運転中に焦ると自己の危険性が高まることなどを想像すると、ぞっとしますね。
焦って衝動的な判断をしたり、行動に移してしま経験は、誰にでもあるでしょう。
焦りに振り回されると、判断力や思考力だけではなく、単なる「見る」能力すら曇ることを頭に入れておくとよいのかもしれませんね。
「視野を広げよう!」と意識しても、なかなか広げるのには難儀しますが、「焦っているな」と思ったら、「スローダウン」を心がけてみると良いのかもしれません。
焦って、焦って、大きなミスをしてしまったことがあります。
その瞬間「自分が焦って」いることに気づくことさえできませんでした。
特に仕事中と運転中の焦りは、あれこれ考えることが多い分だけ自覚が少ないように思います。
「急いでいる自分」に気づける余裕が大事ですね。
そして、そんなときは「今、自分は視野がめちゃくちゃ小さくなっているかも?」と自分に警報を鳴らせるようになりたいです。
週末になりますね。
少しは休めますように。
すてきな夢を。
では、また。