自分らしい人生を創り上げていくうえで、必要な第一歩。
それは「他者の期待に応えなくても構わない」という決意と覚悟です。
現代のカウンセリング理論にもっとも影響を与えている「人間性心理学」のカリスマ的存在であったF・パールズが創った「ゲシュタルトの祈り」という詩が有名ですね。
「私は私、あなたはあなた」の考え方
私は私のことをして
あなたはあなたのことをする
私はあなたの期待に応えるために
この世にいるのではない
あなたは私の期待に応えるために
この世にいるのではない
あなたはあなた、私は私
もし偶然出会うことがあれば、それはすばらしいこと
もし出会うことが無くても、それはそれで致しかたないこと
この詩では、人が自分らしい人生を生きていくためにスタートとして、まず「わ脚はあなたの期待に応えるために、この世に生まれてきたわけではない」という心構え(決意)が必要であることをうたっています。
もう一つ、こちらもカウンセリングの礎を築いたC・R・ロジャーズの言葉を引用してみましょう。
「私が自分自身を受けいれて、
自分自身にやさしく耳を傾けることができる時、
そして自分自身になることができる時、
私はより良く生きることができるようです・・・。
言い換えると、私が自分に、
あるがままの自分でいさせてあげることができた時、
私はよりよく生きることができるのです」
私たちはふだんより良く生きるためには、「もっと頑張らなくては」「今の自分で居てはダメだ」と現在の自分を否定して努力することが必要だと考えています。
けれどもロジャーズは、その逆に、私たちは自分に「あるがままの自分で居させてあげることができるときに、より良く生きることができるのだ」と言います。
そして、その鍵となるのは、「自分自身にやさしく耳を傾けること」、すなわち、自分の心の声に耳を傾けていくことだ、と言うのです。
では、そのようなことが、心の内側で起きた時、人間にはどのような変化が生じるのでしょうか。
ロジャーズの元でカウンセリングを受けた人々は、自分の心の声に耳を傾け始めた時、次のような方向に変化していくのを確かめることができた、と言います。
1 偽りの仮面を脱いで、あるがままの自分になる
2 「こうすべき」「こうあるべき」といった「べき」から自由になる
3 他者の期待を満たし続けるのをやめる
4 他者を喜ばせるために、自分の型にはめるのをやめる
5 自分で自分の進む方向を決める
6 結果ではなく、プロセスそのものを生きる
7 変化に伴う複雑さを生きる
8 自分自身の経験に開かれ、自分が今、何を感じていくのか気づいていく
9 自分自身を信頼する
10 他人をもっと受け入れるようになる
カウンセリングを受けに来られる方の多くは、「私は私の人生を生きている」という実感を持つことができずにいる方です。
かれらの多くは、他の人の期待に応えようと「したくないことをする」のに慣れきってしまっていた方です。
けれども、心身の不調や毎日の生活の空虚感を通して、「このままの自分では行けないのではないか」と思い始めて、カウンセリングを受け始めたのです。
カウンセリングを受けていくうちに、彼らの多くは周囲の期待に添うことをやめ、他人に望まれる自分を無意識のうちに演じる習慣から脱却していきます。
自分の心の声に耳を傾けつつ、自分を取り戻してくのです。
F・パールズとC・R・ロジャーズという二人の偉大な心理学者も語っているように、自分で自分の人生を創っていくために、まず必要なのは、”いい人”になって人の期待に応えすぎるのをやめること、他人の眼を気にするのを辞める決意をすることなのです。
明日は、この本から、「自分の気持ちに気づく具体的な方法」を一緒に読んでいただけたらと思います。
今日もお疲れさまでした。
あと30日で今年も終わりますね。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。