ほんのささやかなものでも、ごく小さなものでも、「うれしさ」がたくさんある1日がいい。
そんな気持ちで朝、目を覚ましてみる。
小さなうれしさがたくさんある1日であれば、ほんのりしあわせになります。
著者は高校中退後、渡米。
アメリカの書店文化に惹かれ、帰国後オールドマガジン専門店を赤坂に開業。
トラックによる移動書店を開業させ、「COW BOOKS」を開業。
書店を営むかたわら、執筆活動。
『暮らしの手帳』を素敵な感じに変身させた編集長です。
毎日が「自分プロジェクト」
小さな嬉しさがたくさんある1日は、ほんのりしあわせになります。
そんな毎日がずっと続けば、生きているのが楽しくなります。
そのための著者なりの方法が、自分プロジェクトです。
自分プロジェクトとは、誰かに「やれ」と、言われたことではありません。
自分でしかつめらしく「やらねばならぬ」と、決めたことでもありません。
仕事でもいいし、毎日の暮らしの中の、些細なことでもいい。
「これができたら、すてきだろうな、面白いだろうな、きっと新しい発見があるだろうな」
そういった小さなプロジェクトをいくつもこしらえ、あれこれやり方を工夫し、夢中になって挑戦し、順番にクリアしていくことです。
自分プロジェクトとは、言葉を変えれば、自分で問題をみつけ、答えを見つける「独学」です。
1日に1つ何かを学ぼうとする心持です。
何かしら学ぶのですから、そこには必ず工夫と発見があります。
たとえば、著者の自分プロジェクトその1は「おいしいハーブティを淹れること」。
ハーブティを飲むのは、著者の朝の習慣です。
お茶というのは、どんなものでも、雑に淹れるのとていねいに淹れるのとでは、まるで別の飲み物になります。
しかし「おいしいハーブティを淹れる」という自分プロジェクトに、毎朝たった5分取り組んでいると考えたらどうでしょう?
おそらく、お茶を淹れるたった5分が、工夫と発見のひとときに変わります。
暮らしがすこし豊かになります。
「今朝は濃すぎたかな」と失敗してもいいのです。
これも立派な「発明」です。
自分なりのささやかな発見がそこにあれば、毎日にリズムができ、仕事だってうまくいきます。
著者のプロジェクトその2は、「ギターを弾くこと」。
もう少し詳しく言うと、「大好きな1曲だけを、じっくり20年くらいかけて、気持よく弾けるようになりたい」という長いスパンのものです。
実はもう弾けるようになっていますが、自分が思う「いい感じ」にはまだまだ届いていないので、繰り返しその曲を練習しているのです。
コンサートに出るわけでも、プロになるわけでも、期限を区切るわけでもない「自分プロジェクト」。
たくさんの「自分プロジェクト」を持っていれば、朝、起きる目的も見つかります。
少し慣れて来たら、暮らしの工夫や趣味ばかりではなく、仕事や人間関係にも「自分プロジェクト」をつくりましょう。
するとやがては、自分の生き方を、自分の手でコントロールできるようになるでしょう。
ゆったりするための1時間
いつもより1時間早く起きた朝は、ゆったりできます。
ていねいに顔を洗ってもいい。
朝ご飯をのんびり食べてもいい。
いつもはバスに乗る道を、てくてく歩いて出かけてもいい。
著者が8時に会社に行くのは、始業時間が9時15分だからです。
人より早いこのおよそ1時間は、自分だけのひととき。
早くスタートを切れば、その日1日の仕事に余裕が生まれます。
自分をゆったりさせるための時間は、ことのほか貴重です。
自分ひとりでやらなくてはいけない仕事を、誰もいないうちにひととおり済ませておけば、始業時間にやってくる職場の人たちと、しっかり向き合うこともできます。
私たちの毎日はほおっておくと、30分かかる仕事を無理やり10分で済ませようという競争の連続になってしまいます。
しかし「1時間余裕がある」と思っていると、そんな焦りから解放されるのです。
ゆとりがあれば、安心できます。
ゆとりがあれば、工夫できます。
「こんなことを試してみよう」と考えて取り組めば、ありふれた仕事にも新たな楽しみが見つかるでしょう。
1時間早くするだけで、1時間多く楽しめるのですから、なんともおトクなのです。
「1時間早く眠って、1時間早く起きる」と、口で言うのは簡単ですが、実際はなかなか難しいもの。
それでも暮らしに楽しさとゆとりがほしい著者は、すこしずつ、いろいろなシーンで「1時間早く」を実行しようと思っています。
1時間多く眠るより1時間早く起きる方が、暮らしは心地よくなります。
ちょっと素敵な朝を楽しむのも、寒い今だからこそかもしれませんね。
早めに家を出てみるのも、楽しいかもしれません。
ゆっくり休んで、すてきな朝が迎えられますように。
では、また。