「お金」、「名誉」。
これは、人間にとって非常に魅力的なものです。
でも、著者は、これらをモチベーションに働くのは、むしろ危険だと考えています。
理由はシンプルです。
「お金」や「名誉」を手に入れると、それを守ろうとしてしまうからです。
その結果、新しいチャレンジができなくなり、自分の成長を止めてしまう。
それは恐ろしいことだと思うのです。
「お金」や「名誉」を求めない~常に成長を実感できる場所に身を置く
かつて著者も怖くなったことがあります。
日本テレビで働いていたころのことです。
当時、驚くほどの高給をもらい、日本テレビに勤めているというだけで周りからちやほやされていました。
しかし広く社会を見渡せば、自分の実力がどれほどのものか痛いほどわかっていました。
自分の本当の市場価値に比べて、あまりに高い給料とステータス。
「このままじゃ、ダメになってしまう」
と怖くなったのです。
だからこそ、インターネット・ビジネスの世界で自分の価値を高めたいと、より一層仕事にのめり込んでいきました。
そして、日本テレビはインターネット・ビジネスの専門部署まで作ってくれました。
張り切った著者は、大学院でMBAを取得。
ネットを活用した新規ビジネスを次々と仕掛けていきました。
しかし、社内のカベが厚かったのです。
なかなか思うように仕事を進めることができなかったのです。
どうしてもテレビ局の本業は放送事業。
著者がやろうとしていたインターネット・ビジネスは、放送事業に携わっている人たちには、ある意味邪魔な存在だったのです。
そのことに気づいた著者は、再び退職を決意します。
まったく躊躇しなかったといえばうそになります。
会社に残れば、将来の生活も保障され、社会的なステータスもある。
それを手放すのが惜しい気持ちもありました。
だけど、それにしがみついて、やりたいことを諦めるような生き方はしたくないと考えました。
それはまるで、動物園で飼育されるような人生だ、と。
オリのなかで、飼育員の言うとおりにしていれば、毎日時間通りにエサが与えられます。
それは、とても安全でラクな人生かもしれません。
だけど、自分が思うように生きることはできない。
何より、サバンナに放たれた時、自分の力でエサを獲得できなくなってしまうのが怖い。
だから、著者は動物園を出ることにしたのです。
転職先はソニー。
年収は半減しましたが、気になりませんでした。
当時のソニーが志向していたのは、テレビなどのハードウェアと音楽や映画などのコンテンツをネットで結びつけること。
まさに著者がやりたいことだったからです。
ところが、ここでも社内のカベが立ちはだかりました。
「なぜ、テレビをネットにつながなければならないのか?」
などと既存部門から強い抵抗を受けたのです。
そこで、ちょうどそのころ社内で立ち上がったブロードバンド・サービスを構築するジョイントベンチャーに参加。
なんとか燃焼数十億円を超えるビジネスに育てることに成功したのですが、その瞬間に本社から退職間際の方々が送り込まれてきました。
もっと自由にやりたい・・・。
そう思った著者は、このささやかな成功も捨てることにしました。
そして、再び転職。
入社したのがハンゲーム・ジャパン株式会社でした。
36歳で平社員。
年収も再び半減。
知名度もないベンチャー企業でしたから、これを機に著者から離れていった知人もいました。
しかし、ここでようやく著者は自分の力を思う存分発揮できる場所を手に入れることができたのです。
著者は、「やりたい仕事」を求めて努力を繰り返してきたし、自分の価値を高められると感じた時には、「お金」や「名誉」も捨てて転職してきました。
そして、ゼロから結果を出さなければならない状況に自分を追い込んだ時に、自分の能力が発揮されたのです。
さらに、それを乗り越えた時に、ものすごく成長できることを実感してきました。
人間はどうにもこうにも弱い生き物です。
「お金」や「名誉」を与えられるとそれに満足して、自らをストレッチして成長するのは難しくなります。
そして、自分の市場価値より高い「お金」と「名誉」にしがみつくようになる。
だけど、その結果、社会では通用しない存在になってしまう。
だからこそ、厳しい場所に身を置くようにすること。
そうしたことを心がけることで、あなたは、昨日より今日、今日より明日と成長できることこそが幸せを手にするのです。
美味しいエサがもらえる場所から飛び立つには、度胸が必要ですね。
でも、やりたいことって、できる場所は限られます。
今日もお疲れさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。