1年で、最もおいしいチョコレートを「自分に」買いたくなるのが2月14日。
「自分のために買ってどうする!?」と思いつつ、毎年絶対やめられませ~ん!
昨日は、「これを考えないようにしよう」と思うと、かえって頭の中にこびりついてしまうこと、頭から離れないからと言って真実とは限らないことを勉強しました。
どうしたらこのジレンマから抜け出せるでしょうか。
この「皮肉なリバウンド効果」に対し、ウェグナーは”皮肉な”解毒剤を提案しています。
コントロールをやめると、コントロールできる
脳の活性化に関する実験において、参加者が頭の中で考えないようにしていることについて、話してもよいと許可されたとたん、それまで頭にしつこくこびりついていた考えが、あまり意識にのぼらなくなるのが確認されました。
矛盾しているようですが、考えてもよいと思ったことは、あまり考えなくなるわけです。
この方法は、様々な望ましくない内的経験に向き合う名愛にも役立つことがわかりました。
頭に浮かんでくる考えを無理に押さえつけたりせず、感じるがままに感じようと腹をくくること。
ただし、頭に浮かぶことが真実とは限らず、感じたとおりに行動する必要はない、とりかいすること。
そうしたことで、不安や憂うつ、異常な食欲、依存症などに対処するにも効果的です。
内的体験をコントロールするのをあきらめることで、自分の行動は以前よりもコントロールできるようになります。
悲しいことを考えないようにすると、かえって憂鬱になるのは、ありえない話ではないのです。
ネガティブな感情を押さえつけようとするほど憂鬱になることが、数々の研究で分かっています。
ウェグナーが最初のころ行った思考を抑圧する実験では、健康な被験者たちにもこのような現象が認められました。
被験者への指示は、それまでに自分に起きた最も悲しい出来事を思い出すか、あるいは逆にそのことについて考えないようにしてください、というものでした。
すると、被験者がストレスで疲れていたり、ぼんやりしていた場合、あえて悲しいことを考えようとしたときよりも、悲しいことを考えないようにしたときのほうが、よけいに悲しくなることがわかりました。
別の実験では、自己批判的な考えを頭から追い払おうとしたところ、あえてそのような考えに冷静に向き合ったときよりも、自尊心が傷つき、気分が落ち込んでしまうことがわかりました。
たとえネガティブな感情を追い払えたように思えても、そうはいきません。
必ず「皮肉なリバウンド効果」は襲ってきました。
また、不安な気持ちを抑えようとするのも逆効果です。
たとえば、痛みを伴う治療のことを考えないようにしていると、かえって不安が募り、ひどく痛むのではないかと恐れるようになります。
また、人前でのスピーチをする際、無理に平気なふりをすると、かえって不安が増すだけでなく、心拍数も上昇します。
私たちがいくら考え事を頭から追い払おうとしても、体はメッセージを受け取っています。
そして、悲しみや自己批判を押さえつけようとすればかえって、憂鬱になるのと同じように、思考を抑圧すると、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や強迫性障害(OCD)などの深刻な不安障害の症状を悪化させてしまうことが、研究によって明らかになっています。
精神的な苦しみから自分を救いたければ、そうした苦しみを頭から追い払おうとするのではなく、どうにか折り合いをつけていく必要があります。
「思考」は抑えつけず、「行動」だけ自制する
考えや欲求を無理に払いのけてはいけないならば、受け入れるしかないのでしょうか?
ある実験でそのような結論が出ています。
その実験では、ハーシーズのキスチョコが入った透明な箱を100名の学生に配布し、48時間持ち歩くように指示しました。
そのうえ、箱の中のキスチョコはもちろん、ほかのチョコレートを食べてはならないという決まりです。
そして、誘惑に負けないためのアドバイスを2種類与えました。
一部の学生たちには、キスチョコを食べたくなったら、気を紛らわしなさい、そして食べたいと思ったことをみずから戒めなさい、と指示しました。
「チョコレートは食べてはいけない決まりだし、食べる必要なんかない」と考えろというのです。
いわば、多くの人が食べたいものを我慢するときにやっていることと同じことを指示したのです。
一方ほかの学生にはシロクマ実験の話を聞かせ、「皮肉なリバウンド効果」について説明。
チョコレートを食べたいという気持ちを無理やり打ち消そうとしないように、と言いました。
むしろ、チョコが食べたくなったことを素直に認め、チョコについて思ったことや感じたことをすべて受け入れること。
ただし、「思った通り、感じたとおりにふるまう必要はない」のだと思いだすよう指示しました。
思考はコントロールしなくても、行動はコントロールしなければならなりわけです。
48時間の意志力テストが終わってみると、頭に浮かぶ考えを無理にコントロールしなかった学生たちは、チョコレートを食べたいという欲求が起きた回数が最も低かったことがわかりました。
おもしろいことに、この受け入れ戦略が最も効果があったのは、ふだんは食べ物に関して特に自制心が働かない人たちでした。
もう一方のグループで、普段から食べ物に関する欲求で悩んでいる学生たちが、気を紛らわそうとしたり、食べたい気持ちを否定したりした場合は、それこそ悲劇でした。
しかし、そんな彼らが無理に思考を押さえつけるのをやめてみると、キスチョコもそれほど欲しくなくなり、食べてはいけないチョコレートを持ち歩かなければならないことも、それほどストレスに感じなくなりました。
そして驚いたことに、思考や感情を受け入れる戦略に従った学生たちは、2日間もおいしそうなチョコレートのおあずけを食らいながらも、だれ一人つまみ食いしなかったのです。
意志力の実験:欲求を受け入れる。ただし、従わないで
あなたが最も手を焼いている欲求にうまく対処するため、次の方法を試してください。
①誘惑や欲求を感じていることに気づきましょう。
②すぐに気を紛らわそうとしたり、否定したりせず、自分の欲求や気持ちを素直に受け入れましょう。
シロクマのリバウンド効果を思い出してください。
③落ち着いて考えましょう。
思考や感情は必ずしも自分でコントロールできなくても、それに対してどう行動するかは自分で選択できる、と認識しましょう。
④大事な目標を思い起こしましょう。
実験に参加した学生がキスチョコを食べないという決心を思い出したように、あなたが大事な目標を達成するために、自分で決めて守っていることを思い出しましょう。
『スタンフォードの自分を変える教室』は、最近『ヨガ』バージョンもコンビニ等で絶賛販売中ですね。
割愛させていただいた実験内容には、きわどいものもあったりしました。
もし気に入っていただけたら、ぜひ書店でご覧ください。
同性愛者を毛嫌いする男性に、そっち系のそういう写真を見せた場合の反応率が実はほかの人より高い、などの「どうやって調べたんだろう!?!」と思う実験もありました。
実験に協力したおじさんたちの心情を思うといたたまれません。
アメリカの学者って、下世話な実験がすごいですよね。
学生さんたちがたびたびモルモット扱いになってましたね!
今日もお疲れさまでした。
ゆっくり休んでよい夢を。
では、また。