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猫のメメとモエ

生命線があと10年分しかない!どうせなら、やりたいことに(あまりお金をかけずに)ちょっかいを出すことにした猫好きのブログ。メンタルトレーニング、自己啓発、一人旅、猫めぐり、山歩き、真剣な子育て、ジョギング、写真。その他いろいろ。

「避けて通りたいところ」にカギがある~『0ベース思考』

『ヤバい経済学』で、著者たちは犯罪発生率の低下について見落とされていた要因の一つを特定しました。

1970年代初めの人工妊娠中絶の合法化です。

とても私たちにとって神経を逆なでされる話ではあります。

しかし、単純明快な説です。

望まれない子供があまり生まれなくなることで、犯罪の温床になりやすい酷な状況で育つこともが減ったのです。

アメリカで妊娠中絶が激しい道徳論争や政治論争の的になってきたことを考えれば、著者たちの説は中絶反対派にも賛成派にも受け入れられなくて当然でした。

怒鳴りあいの喧嘩も覚悟しました。

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驚いたことに、著者のもとに嫌がらせの手紙は殺到しませんでした。

なぜか?

思うに著者は妊娠中絶が犯罪を減らす「作用があった」と指摘しただけで「根本原因」と指摘したわけはなかったからでしょう。

 

では、何が根本原因なのでしょうか?

ずばり、多くの子供が犯罪の温床になるようなひどい環境で育てられたことが根本原因です。

中絶合法化後に生まれた最初の世代が大人になったころには、そういう環境で子供時代を過ごした人が以前より減っていました。

根本原因を見つめるのは、不安なことです。

怖いことです。

だからなるべく避けて通りたくなります。

子どもを育てる資格があるというのはどういう親かといった、チクチク突き刺すような問題を話し合うより、警官や刑務所や銃規制法について議論する方がずっと気楽です。

でも、犯罪について有意義な話し合いをしたいのならば、まずは出発点として、安全で実り多い人生を送るチャンスを子供たちに与えてやれる、しっかりした愛情深い親がいかに大切かを話し合った方がいいのです。

 

しかし、これは簡単な議論じゃあすまない話です。

でも、根本原因に向き合っていれば、ありもしない幻影じゃなく、現実の問題と格闘しているという安心感だけは、少なくとも持っていられるのです。

裏付けがなくても、怪しい「答え」が定着してしまう

科学と論理の強力な裏付けがある医学のような分野であっても、根本原因がばっちりわかっているというわけではありません。

人体は複雑で動態的なシステムで、まだまだわかっていないことが多いからです。

たとえば、潰瘍について考えてみましょう。

これは、簡単に言うと胃腸の粘膜に傷やただれができることです。

焼けつくような痛みを起こすことがあります。

1980年代初めまでに、潰瘍の原因は完全に解明されたと考えられていました。

遺伝的なものか、過剰な胃酸の分泌を促す精神的なストレスや刺激の強い食べ物が原因とされていました。

ですからその治療法も、「わかって」いました。

患者はストレスを減らすために気を楽に持って、胃を落ち着かせるために牛乳でも飲んで、胃酸の発生を抑えるためにタンザックかタガメットを服用しなさいと言われていました。

 

この効果は、大目に見て、可もなく不可もなくというところ。

こういった処置は、患者が痛みをコントロールするのに役立ちましたが、症状をおさえはしませんでした。

潰瘍はときに胃に穴が開いて腹膜炎を併発したり、出血による合併症が起こったりすれば死に至る危険さえあり、症状によっては大手術を必要としていました。

何百万人の患者が、胃腸の専門医や外科医の処置を定期的に必要とし、潰瘍治療薬市場は、1994年には80億ドルを超えました。

 

潰瘍やがんなどの根本原因が、別のところ・・・ひょっとしたら最近に・・・あるかもしれないという説は、昔も一部で唱えられていました。

しかし、医学界の権威は、まぎれもない欠陥をめざとく指摘していました。

強酸が渦巻く胃の大釜の中で、最近が生存できるはずがないだろう。

そんなわけで、従来型の潰瘍治療法は、その後も幅をきかせ続けました。

「これはいったい何なのか」を突き詰める

さいわい、1981年バリー・マーシャルというオーストラリアの若い研修医は、突き詰めて考えることができる医師でした。

バリーの居た病院の年長の病理学者が「20人の患者の胃から、細菌が見つかった。強酸性で細菌が生息できるはずのない場所から」ということから、「こうした患者の体内で何が起こっているかを調べる」ことの手伝いをバリーもすることになったのです。

このくねくねした最近は、鶏などと接触する人たちに感染症を引き起こす「カンピロバクター」という種類の最近に似ていました。

 

バリー・マーシャルが患者の胃から見つけた最近は、カンピロバクターではありませんでした。

のちに「ヘリコバクター・ピロリ」と名付けられました。

マーシャルとウォレンは、胃の不調を診てもらおうとやってきた患者がこの細菌を持っていないかとその後も調べ続けました。

すると、13人の潰瘍患者のうち、13人ともこのくねくねした細菌を持っていたのです。

 

ラットや豚にこのヘリコバクター・ピロリを注入して、潰瘍ができるかを調べましたが、潰瘍はできませんでした。

「これは人体で実験してみなくちゃだめだと思った」

そう思ったマーシャルは、自分自身を実験台にしました。

自分の胃から生検を調べて、すでにヘリコバクター・ピロリがいないことをたしかめました。

そして、患者から培養したピロリ菌をぐいっと飲み干しました。

 

5日後に、マーシャルは激しい嘔吐に襲われました。

10日後、自分の胃からもう一度生検をとると、「最近だらけだった」。

すでに胃炎を起こしていて、明らかに潰瘍になりかけていました。

そこで、ピロリ菌を駆除するために抗生物質を飲みました。

 

こうしてマーシャルとウォレンの研究によって、ヘリコバクター・ピロリが潰瘍を引き起こす真の原因だということ、またその後の研究によって、胃がんの原因でもあることが証明されました。

これは驚異のブレイクスルーでした。

 

もちろん、まだたくさんの検証が必要だったし、医学界からは猛反発を食らいました。

それまで潰瘍になれば、生涯にわたる医者がよいとザンタックの服用、場合によっては手術と決まっていたのに!

 

潰瘍発症のしくみが完全に受け入れられるのは何年もかかりました。

一般通念というものは、なかなかしぶといのです。

今も潰瘍はストレスやからいものが原因だと信じている人がたくさんいます。

しかし、さいわい医師たちはちゃんと理解しています。

医学界はとうとう認め、2005年に二人はノーベル賞を受賞しました。

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一般通念は、なかなかに頑固ですよね。

しかし、そこにカギが!

それを疑ってみることって、大事ですね。

今日もお疲れさまでした。

 

すてきな夢が見られますように。

では、また。

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