カーネギーは『道は開ける』全編を通して、悩みの解決方法について説いていますが、それはかなりユニークです。
根幹としては、「悩みは正面から対峙するものではなく、考えず意識の外においやること」としています。
意識しなければ、悩みは無いも同じ。
乱暴に言えば、悩みがあってもないことになるのです。
この考え方は心理学の最近の主流です。
しかし、そう簡単にいかない大変な事態のときは、どうしたらよいでしょうか。
最悪を受け止め、脱することに集中する
そんなときカーネギーは「最悪の事態を受け入れることこそ、悩み解決の第一歩だ」としています。
そして、社長の言葉を魔術的公式として、悩みを解決する魔術的な公式として、次の3ステップを提案しています。
・最悪の事態を予測すること
・その最悪の事態を受け入れる覚悟をすること
・その事態から脱却することに集中すること
事態の悪化で、不安がスパイラルになり、精神的に落ち込みます。
心理的不安定な状況は、冷静な判断、適切な手立てができなくなり、ますます悪化。
恐怖と不安がそうさせているのです。
そこでまず、正面化rあこの事態を分析し、最悪の状況を理解すること。
よく考えると、万策尽きて借金が返せなくなったとしても、殺されるわけではなく、最悪家を手放すことになることくらい。
上司から強烈に嫌われても、最悪でもクビになるくらいです。
「くらい」と言う名、大変なことなんだ!!と思うかもしれませんが、少し大げさに考えるとすると「命を取られること」ほどの最悪の状況ではないのです。
最悪の事態を認識したら、次にそれを受け入れる覚悟をします。
これは容易ではなく、これが怖いから、悩み・不安になるのです。
しかし心を決して最悪の事態を覚悟する。
「仕方ない、家は売ろう」
「クビか。会社は辞めよう」
どん底を見ると、さらに落ちる不安がなくなり、恐怖もなくなります。
とたんに心が落ち着き、よく眠れ、冷静に事態に対処できるようになります。
すると、心に前向きなエネルギーが生まれ、事態打開の方向を考えるようになります。
さらに覚悟を決めると、自然と生じるエネルギーが、最悪の事態をいかに改善するかに、向かっていきます。
心はポジティブ思考になり、積極的に事態を改善する努力がなされていき、現実がよく見えるようになります。
古より「一度地獄を見た奴は強い」と言いますが、まさにそのことなのです。
人を恨んでしまいそうなときに、すべきこと
人からの悪口、上司から失敗を押し付けられた理、悪いことをしていないのに怒られたり・・・。
理不尽なことは誰にでも起きます。
道徳的には反していますが、「目には目を歯には歯を」と、仕返ししたくなるのが人間です。
では、どうしたらいいのでしょうか。
カーネギーは「仕返しは考えるな、忘れろ」と主張します。
相手のためではなく、自分のために、仕返しを考えるな、と説くのです。
仕返しをして相手を傷つけようとすると、相手ではなく自分の心が傷ついてしまうので、仕返しは自分の精神的、身体的健康のためにやめなさい、と言っています。
「汝敵を愛せよ」
というキリストの有名な言葉に対しても、カーネギーは「現代の医学に照らして、ただしいことを説いているのだ」と説いています。
あなたを高血圧や心臓病、さらに胃潰瘍にならないように、ストレスによるこれらの病気の予防法にもなる、と言うのです。
敵を憎み仕返しばかり考えていると、顔もこわばり、食事などの楽しみもなくなります。
しかし、敵を愛することは誰にでもできることではありませんよね。
そこで、敵ではなく、自分を愛することをしてみましょう。
自分の幸せのために、健康のために、容姿のためにできることをやってみる。
敵を愛することが出来なくても、忘れることが出来ます。
認知心理学的にも、ものがあっても見えなければないのと同じ、意識しなければないと同じ、考えなければないと同じです。
心理学的発見には、「人は一時に一つのことしか、考えられないし、感じられないし、一つのことしかできない」という法則があります。
楽しいことを考えていれば、嫌なことは考えられません。
好きな人のことを考えていれば、敵のことは考えられないのです。
それでも、嫌なこと、嫌な人のことは時々頭をもたげてくるのです。
これにはトレーニングをすればよいのです。
嫌なことが浮かんだら、すぐに拭い去り、楽しいことに頭の中を切り替えるという手法です。
この思考転換法を何回か繰り返すことで、誰でも嫌なことを意識しないことが出来るようになります。
大事なことは、即座に転換することです。
転換用の楽しいことを、日ごろから用意しておくといいそうです。
これから梅雨の時期まで、晴れた空を見られる日が続きますね。
気持ちが上向くので、この季節はとても好きです。
明日からの1週間が、あなたにとって素敵な毎日になりますように。
では、また。