ストレスの多い状況の中でも、ときには自分の考え方を切り替える必要があります。
ストレスを感じた時に、自分にとって大切な価値観を思い出すと、困難な状況に対処しやすくなることが、研究でも明らかになっています。
カナダのオンタリオ州にあるウォーター大学の研究では、参加者たちに「価値観を忘れずに」と書いたブレスレットを配布しました。
スタンフォード大学でお粉r割れた同様の実験では、ブレスレットの代わりにキーホルダーが参加者に配布されました。
価値観を思い出せるアイテム
いずれの実験においても、参加者たちはストレスを感じたらブレスレットかキーホルダーを観て、自分にとって重要な価値観を思い起こすように指示されました。
この指示はとても効果的で、困難な状況を乗り切るには、自分の価値観をいちど紙に書き出してみるエクササイズよりも、こちらの方が役立ちました。
スタンフォード大学の講座「ストレスの新しい科学」でも、価値観を忘れないためのブレスレットを受講生全員に配布しています。
先日、受講生のミリアムがメールで、困難な状況の中で、ブレスレットがとても役立っていることを報告してくれました。
実は夫のジョーがアルツハイマー病の初期段階であるらしいことが分かったのです。
診断は暫定的なものでしたが、担当の神経科医は、ジョーの記憶の衰えはおそらくアルツハイマー病にあるのではないか、という見解を示しました。
ジョーは現役時代、起業の幹部として活躍していた人です。
思いがけない認知症の兆候に、本人もミリアムも不安になりました。
仲良く齢を重ねていくのを楽しみにしていたのに、ふたりで思い描いていた未来が、どこかへ去っていくようでした。
ミリアムとジョーは、例の価値観のエクササイズをやってみました。
彼女が選んだ最も大切な価値観は、「忍耐」です。
ジョーは「ユーモア」と「誠実」を選びました。
それからの一週間、ミリアムは何度も「忍耐」を思い出して、行動に移すことが出来ました。
さらに、夫のジョーが自分の価値観を心の支えにしてがんばってくれている姿を見て、励まされました。
ジョーがなくした携帯電話を、ミリアムが冷蔵庫の中で見つけた時も、ジョーは
「そんなところに置いた覚えはないんだけどなぁ」
と言いながら、おどけてみせました。
そのおかげで、ふたちともストレスから救われて、気分が楽になりました。
ミリアムとジョーの場合、ストレスを避けるのは無理な話で、現実を否定しても仕方ありません。
状況をどうにかしたくても、自分たちの手には負えません。
しかし、大切な価値観を思い出すことで、少なくともひとつは、自分自身でコントロールできることがあります。
ストレスを減らしたり、なくしたりできないときでも、自分がストレスに対してどう反応するかは、自分で選べます。
あなたの価値観を思い出すことは、ストレスを力に変えるのに役立ちます。
ストレスが「自分の意志に反して身に降りかかってくるもの」から、「いちばん大切なことを再認識し、心に深くとめる機会」へと変化するのです。
あなたもぜひ、いちばん大切な価値観を思い出すためのものをつくってみましょう。ブレスレットやキーホルダーに限らず、パソコンのモニターに付箋を張り付けてみたり、携帯電話にステッカーを張ったりするのもいい方法です。
ストレスを感じたらいつでも、あなたの大切な価値観を思い出し、それに従って、今自分は何ができるだろう、と考えてみましょう。
スマホの画面にそれらしい画像を添付していたのですが、「ストレスがかかったときに見る」という部分では甘いです。
身につけるもので、なにかないかと探し中です。
あなたの明日からの1週間が素敵な毎日になりますように。
では、また。