習慣づけに対する心理学者たちの研究があります。
学者たちは意図して働きかけることで、悪い習慣を変えさせようとしましたが、結果は満足いくものではありませんでした。
すでにある習慣を打ち破るには、意図した決定だけでは弱いのです。
なおかつかなりの時間を要します。
そこで、習慣のからくりについて整理し、そこにダイレクトに効く方法を考えていきましょう。
人間はハトと同じ?
習慣化についてのの古い考え方では、スキナーの「ハトを複雑にしたのが人間だ」というものがあります。
この考え方で言うなら、習慣は環境からの報酬に対してごく単純に築かれる、という単純なことと考えます。
たとえば、働けばお金がもらえるますね。
さらにもっと一所懸命に働くと昇進して、もっとお金がもらえる。
つまり環境から学習する。
だから、勤労意欲が高まっていくわけです。
あるいは、人からもっと好かれたいと思ったとします。
笑顔が役立つことに気づく環境があったとします。
するともっと笑うようになりますね。
そして、人に微笑みかけるという習慣が生まれる。
しかし人間は多くの部分でハトとは違います。
違う点として1つめは、夢を持つことができるということです。
そしてもう1つ違うこと。
残念ながら習慣化を脱線させてしまうことです。
ハトに生まれなくて残念がっていても意味がないので、注目すべき点としては習慣がいつ「脱線するか」に注目すべきです。
習慣が目標がそれてしまい、人間の中のハト的部分が機能しなくなるのはいつなのでしょうか?
ダイエットしたいのに山のようなお菓子に手が伸びてしまうのは?
昇進したいのに仕事中ぐずぐずする時間ができてしまうのは?
お酒の量を減らそうと決断したのにもう一杯を頼んでしまうのは?
人間の生活はハトよりも、昔よりもはるかに複雑になっています。
それによってそこには、
「目標」と「習慣」が無意識に意味づけされている
という罠が、見えないとこくさん張られているのです。
ある実験があります。
被験者の半数には「社交にふさわしい」都市を思い浮かべてもらいます。
もう片方の集団には、社交とはあまりかかわりのない史跡にふさわしい都市を思い浮かべてもらいます。
社交にふさわしい都市を思い浮かべてもらう方のグループが、実験のねらいの対象群です。
そして、実験に協力してもらった謝礼として、「紅茶/コーヒー」の割引券か「ビール/ワイン」の割引券を選んでもらいます。
すると、飲酒常習者の場合、社交について無意識に考えることでアルコールの割引券を選びやすくなりました。
しかし飲酒常習者でない人の場合は、とくに違いはありませんでした。
つまり、「人付き合いについて考える」だけで、飲酒という概念が活性化されたことになります。
これが示しているのは、目標(人付き合いの喜び)と目標達成の手段(飲酒)との分離、手段の一人歩きです。
アルコールの効能が持つ皮肉の一つは、それが効果的な推論能力を弱めるこということです。
だから私たちは習慣にもっと依存せざるを得なくなるのです。
したがって一度酒を飲んだら、、人付き合いで喜びを感じるという目標が、さらなる飲酒の習慣を活性化しやすくなります。
それが行き着く先は、ご存じのとおりです。
こうした日常の目標と習慣の分離は、気づかぬうちに生じていて、私たちは習慣と目標の強いきずなを気付いてしまったため、習慣が目標達成に役立たなくなっても気づかないのです。
実生活はオンオフスイッチよりも複雑だからです。
ここで明らかになるのは、ハトの理論よりもちょっと入り組んだ「習慣観」です。
私たちの心の中には、望むもの(パートナー、お金、チョコレート)と、そのためにする行為(出会い系サイトへのアクセス、強盗、自販機の利用)の間にごく単純なつながりがあるわけではないのです。
人には計画や目標、あるいは願望や衝動があります。
だから、人間の暮らしは複雑なのです。
では、どうするのか!?
大事なポイントは、身の回りのモノによって、目標や願望が無意識のうちに活性化される可能性を知るということです。
それも、悪いタイミングで。
時に私たちは高齢者のことを無意識に思い出すように仕向けられたために廊下を歩くスピードが遅くなります。
あるいは、もっと飲みたいからではなく、もっと友達としゃべっていたいからビールを飲みすぎてしまうようなことがあるのです。
要するに、長期的な目標にそぐわない行動・行為は誘発されます。
習慣をつけ、習慣を習慣をやめる上で重要なことは、無意識化で様々な現象が起こっているという事実を自覚することです。
無意識とは、概して地核のように不可知です。
直接触れることができないからです。
だから、心の奥深くにいだいたもくひょや願望が知らぬ間に作動しないとも限らないのです。
変わりたいという意識や意図も、自動的・効率的につい起こしてしまう行動の前では、あまりにも無力です。
そこで、新しい習慣を身につけていくには論理的で現実的なスキルや手段を必要とするのです。
本著では、このあとはそれぞれの習慣についての分析が中心なので、習慣を手に入れるスキルについては別著を読んでいきたいと思います。
なかなか新しい習慣が入らない分野があります。
「ほどほどに食べる」が入らないのです!
本著によると、食生活の習慣を変えていくことは、かなりハードルが高いものであるとのこと。
そうですよね~。
おいしそうなものを見ると、「もう少し家事をがんばるために、一口だけ・・・」「午後の仕事を効率よく終わらせるために、おやつを1つだけ・・・」とやってしまう!
今週はマラソン大会があるのに、目標体重にプラス2キロです。
もうちょっと軽くしてその次の大会に臨みたいので、行動系の習慣についての心理学について勉強しなおしたいと思います。
今日もお疲れ様でした。
ゆっくり休んで素敵な夢を。
では、また。