「人間は悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しくなるのだ」という言葉は、心理学の古典的理論「ジェームズ=ランゲ説」です。
あるいは「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる」「恐ろしいから震えるのではなく、震えるから恐ろしい」。
つまり人間の感情は身体的(生理的)な変化のあとについてくるのです。
アクシデントを笑い話にする
例えば眉間にしわを寄せて不機嫌そうに過ごしていたら本当に楽しくなくなります。
いつも笑顔を心がけていれば実際に楽しくなってきます。
これがジェームズ=ランゲ説の基本的考え方です。
そこで著者はいつも「なにか笑い話のネタになることはないか?」を意識しています。
たとえば、先日著者がお店でたぬきそばを注文したら、きつねそばが出てきました。
ここで怒鳴り声を上げてしまうと、感情はそちらに流され、怒りモードになります。
しかし「これはいい笑い話になる」と笑っていると本当に楽しくなってきます。
そしてその笑い話を友達にすれば、もっと楽しくなるわけです。
私たちの脳は「笑える話」を意識しながら過ごしていると、普段なら見落としてしまうくらいの小さな笑い話まで、どんどんキャッチしていきます。
この感覚が働いてくると、たとえ失敗やアクシデントがあっても、それを笑い話に転化する余裕が生まれてくるのです。
人間は楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる。
そして笑える話を意識していると、自然と楽しいエピソードが集まってくる。
この原則を頭の片隅に入れておいて、ゆるく日々を過ごしましょう。
治療より予防に力を入れる
著者は肺塞栓になり、短期間の入院をしました。
そこでは親族の病歴を詳しく聞かれました。
これまで親族の病歴なんて真面目に考えたことのない著者は、うまく答えることができませんでした。
しかし、それが分かると、自分の潜在的リスクが推測でき、その潜在的リスクに応じた治療方針が変わってきます。
病気になってから治療するのは、何かと遅すぎることが多いのです。
入院となればそれだけでも何日も病室で過ごすことになります。
一方予防はお金もそれほどかからず、なにより楽しくできます。
たとえ運動が嫌いな人でも、入院に比べれば運動の方が何倍も楽しいもの。
ゆるくてハッピーな生活は、健康という基盤あってのものですからね。
現在健康な人も、その健康をキープするため自分の身体についてもっとよく知って、「予防」」の意識を大切にしましょう。
トレンドに翻弄されない
著者は学生時代に、女性ファッション誌でアルバイトしていました。
そのことから強く思ったのは「トレンドは作られているものだ」ということでした。
人気があるからメディアが取り上げるのではなく、メディアが取り上げるから人気が出ます。
トレンドは人為的なので、これからもめまぐるしく変化します。
ビジネスとして「つくり手」の立場に立ってみれば、定期的にトレンドを更新することで市場の活性化を図ることは当然の話です。
そこに流行の実態があろうとなかろうと、彼らは次々に新しいトレンドを作っていくでしょう。
もし流行らなかったら、更新するだけの話です。
ビジネスの上ではトレンドに敏感であることも大切でしょうが、プライベートやライフスタイルそのものまでトレンドに翻弄されてはいけません。
トレンドに左右されるということは、他人に左右されるということ。
結局は自分の軸がしっかり定まっていない証拠なのです。
逆に言うと、自分の生き方やライフスタイルが定まってしまえば、もうトレンドに翻弄されることもなくなります。
トレンドという観点から、もう一度あなた自身の「軸」が見えてくるのではないでしょうか。
おいしいものにこだわる
ローコストを大事にする時代になったので食事について、世の中では変化が起きています。
「カロリーが低ければいい」「栄養を補給すれば十分」「胃に入ってしまえば同じ」といった「おいしいもの」への要求が薄れているように著者は思っています。
しかし、食事はそもそも、合理性や効率性からもっとも遠いところにあるべきなものです。
空腹を満たすだけ、栄養を補給するだけ、の食事では自動車にガソリンを入れているのと変わりません。
むしろ忙しい時ほど、ゆっくりとおいしい食事をとることが大切です。
そして食事のいいところは「おいしいものを食べたら例外なく気分が盛り上がる」という点です。
私たちは1日3回、年間で1000回以上も上機嫌になるチャンスを与えられているということ。
そのために著者はおいしいお店を探すことに対して、絶対に手お抜きません。
ちょっと真剣に探せば、値段の張らないおいしい店はたくさんあるからです。
食事と睡眠は人間の根幹にかかわる大切な要素です。
忙しい毎日ですが、食事と睡眠をおろそかにせず、楽しく確保しましょう。
エレベーターの「閉」ボタンを押さない
ハワイで暮らすようになった著者がまず最初に驚いたことは、気候でも料理でもなく、エレベーターでした。
コンドミニアムの47階に住んでいるので、1日何度となくエレベーターを利用するのですが、開閉速度が信じられないほど遅いのです。
特に閉まるときはかなりのゆっくりした時間を使います。
当然著者は「閉」を押したくなりますが、同乗している住人たちは誰一人そんなそぶりを見せません。
たとえ乗り降りする人がいなくても、そのまま静かに見守っているのです。
エレベーターによっては最初から「閉」ボタンのついていないものさえあるのだとか(!!)
考えてみれば、当然のことかもしれません。
「閉」ボタンを押したところで、稼げる時間はせいぜい数秒。
しかも乗り降りにかかる時間を気にしていると、ほかの乗降者に対して「早く乗れよ」「早く降りろ」など余計ないら立ちを感じてしまいます。
だったら「閉」ボタンは最初から無いものと考えてみる。
もちろんこれは地井さん一歩にすぎません。
しかし、ここで大切なのは「必要以上に急ぎすぎない」という感覚を自分の心と身体にしみこませること。
たとえば出社時のエレベーターでこれをやっておくだけで、1日は驚くほどゆとりあるものに変わります。
ちなみに、同じアメリカでもニューヨークのような大都市でエレベーターに乗ると、みんなやはり「閉」ボタンを押すようになります。
だからこれは日本人の国民性と言うよりは、都市での環境が人を急がせ、余計なストレスを生み出す仕組みになっているのでしょう。
ちょっとずつゆるい生活を習慣づけていこうと思いました。
今日もお疲れさまでした。
ゆっくり休んで素敵な夢を。
では、また。