日々の眠りが足りているか、足りていないかは、忙しい現代人の永遠の課題です。
そもそも私たちは、どれくらい睡眠が必要なのでしょうか?
”食いだめ”はできても、”寝だめ”ができない理由は、どこにあるのでしょう?
毎晩眠らなければならない、本当の理由
その理由の1つが、私たち人間が四つ足動物から二足歩行に進化したことに起因します。
二足歩行になったことで、起きている間ずっと重力を受け続けるようになりました。
そして、唯一、眠って横になるときだけ重力から解放され、身体への負担が取れて休息が取れます。
さらに眠ることで重力から解放されると、昼間の活動でたっぷり必要だった酸素をからっだに取り入れる必要が無くなります。
体に酸素を取り入れる必要がなくなると、酸素を使って活動している、細胞のエネルギーのミトコンドリアが休むことができます。
私たちの身体には酸素を使うミトコンドリア系と、酸素を使わない解糖系という、2つのエネルギーをつくるルートがあります。
酸素を使うエネルギーのミトコンドリアは脳神経や、信金や骨格筋などの筋肉に多いので、眠って酸素が必要なくなると自動的に脳、心臓、筋肉が休まります。
その結果、眠ると筋肉や脳の疲れが取れるわけです。
寝だめをしても脳、心臓、筋肉のエネルギーチャージができません。
だから毎晩、寝ることが必要になります。
また、眠ることは血管にも好影響を与えます。
8ミクロンの大きさの赤血球は、10ミクロンの毛細血管の中をいつもぎりぎりで流れているために、血管の壁にくっつきやすいのです。
ところが、眠ることで体に必要な酸素量が減るとともに血流も少なくて済み、決了の流れが変わります。
それで睡眠中は血管汚壁についた赤血球がはがれやすくなり、血液が流れやすくなります。
毎晩、眠っている間に血管がそうじされていると思っていいのです。
睡眠が足りないと、こうした掃除も十分に行われず血流障害や血管障害が起きやすくなるので、睡眠不足が心筋梗塞、脳梗塞などの深刻な病気を招きます。
また、血流不足から、腰痛を起こしやすく、腰痛を訴える人の中には、睡眠不足を放置している人が圧倒的に多いのです。
そういう人は整形外科でブロック注射をしてもらうより、眠ることが一番の薬になります。
寝すぎは睡眠不足と同じくらい体に悪い
昔から”寝る子は育つ”と言われます。
子どもは、眠っている間に細胞分裂が活発になり成長が促されるからです。
一方大人は、寝ても育ちません。
「わたしは毎日10時間寝ることが、健康の秘訣です」と話す人もいます。
しかし、大人が10時間も眠るのは、惰眠の世界になります。
この行きすぎた世界は、夜になると自然に眠り、朝になったら目が覚めるという自然のリズムである自律神経のバランスを崩す可能性があります。
自律神経のバランスを崩すと、全身にさまざまな影響が出て、免疫力の低下にも影響し、病気になりやすくなります。
長時間睡眠が習慣になると、ストレスに対しても耐性が下がります。
また、長時間睡眠のあとは、自律神経の副交感神経が優位になりすぎます。
副交感神経はリラックスすることに働きかける神経なので、寝すぎはリラックス過剰を招きます。
また、気温が低い冬は、自律神経の交感神経が緊張しますので、冬は夏よりも長い睡眠が必要になります。
暑い夏は、副交感神経が優位になりますので、冬よりも活性酸素が貯まりにくくなります。
夏はそういう意味で、冬よりも1時間くらい睡眠時間を短くした方が体調が整います。
今日も一日お疲れさまでした。
ゆっくり休んで素敵な夢を。
では、また。