「自分のことが嫌い」。
あなたがそんな思いに苦しんでいるなら、その言葉の意味をもう少しだけ突っ込んで考えてみましょう。
あなたが言う「嫌いな自分」は、いったい誰のことでしょうか?
家族や友達を傷つけてしまったあなたかもしれないし、重要な仕事でミスをしてしまったあなたかもしれません。
あるいは、失恋してしまったあなたかも。
いずれにしても、あなたの言う「嫌いな自分」は、過去の自分です。
「自分のことが嫌いだ」という本当の意味
「いや、今の自分も嫌いなんだ」とあなたは思うかもしれません。
でも、過去の自分を嫌っているいまこの瞬間のあなたは、過去のあなたを超えているということじゃないですか?
たとえば、ある小学生がいたとします。
いじめっ子で、先生からいくら注意されても弱い者いじめをやめようとしない。
しかし、ある日いじめた相手の涙を見て、「なんてヒドイことをしてしまったんだろう」と、突然その子は気づいた。
俺はなんて思いやりのないやつなんだろう、と自分の残酷さに気づいてショックを受けた。
自分の思いやりのなさに気づけたということは、その子の中に思いやりが生まれたということなんです。
自分がバカだと気づけた自分は、バカではない。
過去のあなた、昨日までのあなた、いやほんの1秒前までのあなたは、確かにダメだったかもしれない。
でも、そんな自分のダメさに落ち込んでいるあなたは、ダメじゃない。
ダメじゃない自分が確かにあなたの中にいるからこそ、自分のダメさに気づけるのですから。
「自分を愛してあげましょう」は、無責任なアドバイス
よく、「ダメな自分を丸ごと愛してあげましょう」と言う人がいます。
温かくて優しい言葉に聞こえますが、うっかりすると「ダメな自分をダメだと思えるダメじゃない自分」を殺すことになりかねません。
私たちが環境破壊を憎むのは、よりよい世の中を実現したいと思っているからです。
それと同じで、嫌いな自分のことは、嫌いでいてもいいのです。
でも、ただ嫌いと言っているだけでは意味がありません。
嫌いな自分を超えられることを信じ、そして、あきらめずに小さな1歩を重ねていけば、それでいいのです。
だから、「ダメな自分も愛してあげましょう」と言う言葉は、「過去の自分を乗り越えていける自分を信じてあげましょう」という意味に解釈すべきだと著者は言います。
川の水は流れています。
昨日見た四万十川と、今日見ている四万十川は、まったくべつものであるはずです。
「四万十川」という名前を呼べば、ひとつの物質的な川が存在しているように思えますが、錯覚です。
実際は一瞬一瞬、新しい水が流れているからです。
あなたも同じです。
昨日までのあなた、いやほんの1秒前のあなただって、もう存在しないのです。
身体も新陳代謝を毎日繰り返しています。
1か月前のあなたの細胞は、すっかり生まれ変わってしまいます。
形ある身体でさえそうですから、形のない心は、もっと自由に変われるはずです。
1秒ごとに私たちは、考え、感じ、経験する川のように常に流されています。
1秒1秒生まれ変わっています。
さっきまでのあなたを好きになれないなら、それでいいから、この新たな1秒で、さっきまでのあなたを超えていきましょう。
私たちは、1秒ごとに新しい自分です。
ということは、1秒ごとにチャンスがあるのです。
1日、24時間で、86、400秒。
私たちには、その数の成長のチャンスがあるのです。