猫のメメとモエ

生命線があと10年分しかない!どうせなら、やりたいことに(あまりお金をかけずに)ちょっかいを出すことにした猫好きのブログ。メンタルトレーニング、自己啓発、一人旅、猫めぐり、山歩き、真剣な子育て、ジョギング、写真。その他いろいろ。

「信じる力」を求めた高梨沙羅の4年間~『弱さをさらけだす勇気』松岡修造

高梨沙羅さんは17歳で初めて出場したソチオリンピックで「金メダルの本命」と言われました。

しかし、重圧はあまりに大きく、失速してまさかの4位。

悔し涙にくれました。

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そのあと、彼女はいちからジャンプに取り組みました。

体力強化に努め、ジャンプの根幹となる助走姿勢や着地姿勢などを改善し、技術面の精度を1つひとつ高め、足の裏の感覚をとぎすますなど、練習に練習を重ねてきました。

しかしその間も、ソチオリンピックで失速して負けてしまった夢を何度もみて、うなされました。

空中に飛び出すと体が動かず、着地バーンに吸い込まれていく自分。

助走ゲートにポツンと座っている自分。

そのイメージから逃れられずにいました。

ソチから2年以上過ぎて著者がインタビューしたときも「ソチでの失速がいまも頭の中に焼き付いて夢に出ます」と言うほどでした。

 

2017年2月、冬季オリンピックのプレ大会となった平昌でのワールドカップ(W杯)個人第18戦で沙羅さんは優勝。

ジャンプの男女を通じてW杯勝利数最多タイ53勝という記録をつくりました。

けれど、著者がインタビューに行っても、笑顔がありません。

実は、満足できるジャンプができなくなっていたからです。

 

「苦しくても結果を残すことが、ソチからの沙羅さんの課題です。

思うようにいかないなかでも、沙羅さんは勝った。

これこそが『結果を残す』ということじゃないんですか?」

著者は問いかけました。

ジャンプが満足できなくても、W杯で勝った。

けっして沙羅さんが弱いわけでも、ダメなわけでもない!

そう思っての言葉です。

「いつも”いい内容のジャンプ”のあとに結果がついてくると思っていたので、勝っても複雑な気持ちでした。

でも、そういっていただいて、少し自信になりました」

 

そして、いきなり逆インタビューが始まりました。

沙羅さん:「勝ちたい試合にピークを合わせるには、どうしたらいいですか?」

修造:「僕はピークを合わせても勝てなかった。弱かったから!ただ、世界のトップはみんな、最高のパフォーマンスで勝つんじゃなく、6~7割の力で勝ち抜いています」

沙羅さん「アベレージ(平均)の力を上げないと勝てない、ということですか?」

修造:「それができているのが沙羅さんじゃないですか!W杯最多勝利タイは、この3年の積み重ねの表れなんですよ」

 

風などの自然条件が常に変化するスキージャンプは、ピークの合わせ方がとても難しい競技です。

これまで沙羅さんは、W杯で圧倒的強さを発揮していましたが、世界選手権では2015年が4位、2017年が3位。

「大事な試合にピークを持っていく力が自分に足りない」と自己分析していました。

誰もが力を認めているのに、ただ一人、沙羅さんだけが認めていない。

自分に対して厳しいだけに、「自分が強いなんて1度も思ったことがないんじゃないかな」と見えるほど、自分自身に対して厳しい人です。

別の言い方をするなら、羽生結弦さんと正反対の性格なのかもしれません。

「彼女の性格は、たぶん変わらないだろう。

沙羅なん、だからこそ、もがけ!苦しめ!自分と向き合え!」

と著者は思いました。

ここを乗り越えることで、自分の本当の意味で信じる力が生まれ、大事な試合にピークを合わせるカギがあると考えたからです。

 

2017~2018年のオリンピックシーズンに入っても、沙羅さんはソチの悪夢を見ていました。

しかし、「いまは受け入れることができています」と話してくれるまでになりました。

そして2月12日の女子ノーマルヒル

大きなプレッシャーがかかるなか、沙羅さんは103.5mのスーパージャンプを決めました。

あとから飛んだルンビ選手とアルトハウス選手に抜かれ、最終的には銅メダルという結果になりましたが、沙羅さんは喜びにあふれていました。

「最後の最後に最高のジャンプができました」

 

じつは外国人選手は彼女のテイクオフから学んで強くなっていました。

しかしどの選手も自分を高め、競い合う中で、沙羅さんは自分が満足できる最高のジャンプをし、悲願のメダルを手にしました。

 

彼女にとってこのオリンピックは、他の選手との勝負ではなく、”自分に勝てるか、勝てないか”の勝負でした。

彼女は以前から言っていました。

「ソチでは自分に負けてしまった。

平昌ではソチの自分を超えたい」

小さな体に重圧を背負い、外国勢が台頭する中でベストのジャンプができたこと。

これが「ソチの自分に克つ」という自分への約束を果たすパワーになったんだと著者は思います。

ソチのトラウマを振り払うように、この4年間沙羅さんは必死に駆け抜けてきました。

そして、最後の最後に弱気な自分に打ち克ち、スーパージャンプを見せました。

取材を通して彼女の苦悶を見続けてきた著書には、沙羅さんの胸の銅メダルが金色にしか見えませんでした。

今も銅メダルだと思っていません。

彼女のメダルは、”自分越えの金メダル!”です!

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今日も1日お疲れさまでした。

ゆっくり休んで素敵な夢を。

では、また。

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