ただのポジティブシンキングとは違います。
まずは、どんな出来事にどんな感情を持ったのか、しっかり受け止めます。
嫌なら、「嫌だなぁ」でいいんです。
落ち込んで泣いたっていいんです。
その次に、感情を選ぶのです。
毎日いろいろなことがありますよね。
人生には、上司に叱られることも、とんでもない失敗することも、悪口を言われることもあります。
ここに、AさんBさんの二人がいます。
大きな失敗をして、二人とも上司にとても叱られました。
二人とも「あー、おしまいだ。クビになるかもしれない」と、とても落ち込んでいました。
Aさんは自分を責めて、翌日の朝出勤するときも凹んだままでした。
「こんな失敗をする自分はダメだ。
どうしようもないダメ人間だ・・・」
やる気がなさそうに、無表情で真っ暗な顔のAさん。
周りの人もフォローしたいけれど近寄りがたく、いつまでも落ち込んでいるAさんを周りの人はだんだん疎ましく思うようになりました。
そしてAさんは孤立して、さらに人と話すのが嫌になり、さらにどんどん孤立してきました。
そのせいで余計に一人で仕事を抱えすぎ、処理できなくなり、小さなミスをまたしてしまいました。
自然と居場所が会社に無くなって、ますます嫌になって辞めたくなりました。
そうして彼はクビになったのではなく、自分から退職したのです。
今度はBさんです。
同じように落ち込んでいたBさんですが、泣いても怒っても、事実は同じだと思いました。
そして、
「失敗したという事実はかえら変えられないんだったら、ここから何を学んだか、何かいいことを探してみよう」
と決心したのです。
「今まで過信していたからだ。
これ以上悪くなる前に問題が発覚してよかった」
「これだけ大きな失敗だけど、ここで気づかなかったら、もっと大きな失敗をしていたはず。
今のうちに気づいてよかった」
「自分の不注意から、人に迷惑をかけた。
今後そういうことがないように、自分が有頂天だったと気づかせてくれたメッセージだと思おう」
「つらいけれどここで素直になって、人に謝ることを教えてもらったじゃないか。
感謝しよう」
そして彼は思います。
「明るく出社して素直に謝って、新人の頃のように初心に戻ってやりなおそう。
きっとそんなチャンスをもらったのだ」
会社に行ったBさんは明るく挨拶し、上司に謝罪しました。
そうしたら上司も、「昨日は言いすぎた。私の指示もよくなかったのだ」と言ってくれました。
元気に出社したBさんに同僚たちも集まってきて、「がんばろうな」「明るい顔をしてきたから、さすがって思ったよ」と言いました。
彼はそこから仕事の新たな面を見つけて、ますますがんばろうと思ったのです。
同じようなひとつの事実から、違うふたつの人生が見えます。
Aさんの人生。Bさんの人生。
どちらの人生がいいですか?
でも、これは二人の人生ではないのです。
どちらも一人の人間のひとつの人生です。
考え方を変えただけで、一方は新しい人生を拓いただけです。
まずは、目の前の事実を受け入れます。
逃げても騒いでもだだをこねても、その事実は「なかったこと」にはなりません。
目の前の事実から「よかった」を探す
陽転志向は誰にでもできます。
ある日著者がテレビを見ていたら、派遣切りで仕事を失った男性がインタビューを受けていました。
他の同じようなニュースでは「どうしていいかわからない」とか「先が見えません」というコメントが多かったので、どうせ同じコメントだろうと聞き流していました。
しかし、その男性は言いました。
彼は34歳。
今まで一度も正社員になったこともなく、アルバイトと派遣社員しか経験がありません。
しかし彼はこう言いました。
目の前の事実を受け止めていたのです。
「ある程度の時給と住まいが手に入るという環境に安易に流されて、いつかちゃんと正社員になる努力をしなきゃなあと思いながらずるずると今になってしまったんです。
気が付いたら、僕はもうこの歳になってしまったんです」
そこで彼は考え込むように黙り、あらためて顔を上げ、笑顔でこう言いました。
「今回の件で、今までの自分の生き方を反省することができました。
僕にとっては再スタート。
チャンスなんです。
実家に変えるきっかけになったし。
それに・・・先は確かに見えないけれど、きっとよかったんだと思います」
彼は、リストラというひとつの事実のなかから「よかった」という明るい側面を見つけ、明るい方向を自分で選んで笑っていました。
しかし同じ状況にいる人でも「なんてついてないんだ・・・」といったことばかり考えてしまう人もいます。
そんな人は、
「ひどい、こんなにがんばってきたのに」
「会社は情というものはないのか?」
「なんで俺ばっかりこんなつらい目にあうのだ?」
「なんで俺ばかりこんなつらい目にあうのだ?」
「友達に馬鹿にされたらどうしよう」
「田舎に帰っても仕事がないだろうし・・・」
と、すべて悪い方向にもっていきます。
おなじところからスタートしているのに、進む道がまったく違うのです。
同じ目の前の事実から「よかった」を探した人のこれからの人生、「ついてない」ばかりを探した人のこれからの人生、実はあなたはどちらも自由に選べます。
泥の入ったバケツに手を入れる
人生はいろんなことが起こるもの。
失恋、失業、失敗、挫折、病気・・・大切な人が亡くなるということまで。
泣いても笑っても、その事実は消えず、亡くなった人は生き返ることはありません。
つらいことがあったとき、その事実はまるで暗闇であり、「泥の入ったバケツ」です。
でも、どんな泥バケツにも「えいやっ!」と思い切って手を突っ込んでかき回したら、1個くらいは輝く石が混じっているものなのです。
目の前の事実はひとつ。
そこから「よかった」を探すか?
世間を恨んで「ついてない」を探して立証するか?
どちらがいいかをあなたが決めるのです。
言い換えれば、そこから幸せになる道を選ぶか、それともどんどん不幸になる道を選ぶかを自分で決めるのです。
どんな事実にも、ふたつの道があるし、選ぶ権利はあなたにしかありません。
それが陽転思考の「事実はひとつ考え方はふたつ」です。
失敗などが合ってショックだったりすると、「もうだめだ」「ひどい」「バカにされる・・・」などの思考にとりつかれがちです。
しかし、それを一度受け止めることが大切。
が、過去はもう、どうにもならない。
落ち込むだけ落ち込んだら、一緒に「よかった」を探してみましょう!
さらに、「繰り返し『よかった』を意識する」ことが大切だと著者は言います。
陽転思考は、すぐに定着!とはいかなかったりするそうです。
「あ、嫌なことがあったぞ!」と思ったら、陽転思考を手に入れるチャンスですので、トライしましょう。
はじめはうまくいかなくても、繰り返して習慣づけていくことが大事だそうですよ。
今日もお疲れ様でした。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。