猫のメメとモエ

生命線があと10年分しかない!どうせなら、やりたいことに(あまりお金をかけずに)ちょっかいを出すことにした猫好きのブログ。メンタルトレーニング、自己啓発、一人旅、猫めぐり、山歩き、真剣な子育て、ジョギング、写真。その他いろいろ。

『人生を変えるトラウマ解放エクササイズ』デイヴィット・バーセリー

職場でのあまりにひどい扱いや、学校や家庭での心を傷つける対応に、ときに私たちは深いトラウマを抱えてしまうことがあります。

 

しかし、マハトマ・ガンジーマーティン・ルーサー・キングマザー・テレサ、そしてネルソン・マンデラ

彼らは極限的なストレスを乗り越えた人々です。

彼らはみな、人生で多くの困難を経験しています。

彼らもトラウマを抱えることとなりました。

しかしストレス一杯の時期を、他の何百万人と言う人々の人生を変えるために働くことで克服したのでした。

 

暗闇で膝を抱えているような生き方と、

そうではないまったく違う生き方。

かれらは決してごく少数の人が持つ特別な力を持った人たちではありませんでした。

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トラウマを抱えるのは、ごく本能的なこと

ストレスと不安に加えて、私たちはトラウマも経験します。

アメリカではベトナムから帰還した兵士たちが、PTSDが帰還兵のなかで気づかれていたにもかかわらず、ケアがされなかったため、多くの自殺者を出す結果となってしまったのは、有名な話ですね。

トラウマを感じたとしても、それを自分の欠点だと判断してはいけません。

あなたがある環境において起きたことに対して、トラウマを持ってしまうのは、本能的なモノであり、意識的なコントロールができないからです。

 

実際トラウマ反応は悪いわけではなく、むしろ良いことでもあります。

そして、弱さを示すものではなく、むしろ体の防衛反応なのです。

危険に直面したときに生き残るための、体の基本的な緊急警告システムが活性化しているだけです。

人生を生きていれば、様々な経験をしますから、強烈な経験によるショックが起きるのは仕方のないことで、どうにかして防ごうとしても、どうにもなりません。

エチオピアの人々の方法

著者はイスラエルパレスチナスーダンウガンダエチオピアなど戦乱の地で治療を行うことを仕事としてきました。

エチオピアで働いているころ、著者が訪問した村では、近所に住む数家族が毎朝、コーヒーを一緒に飲む習慣があることに気づきました。

このコーヒータイムはほぼ2時間かかります。

まず豆を煎って粉に挽いて、それから湯を沸かして美味しい珈琲を作ります。

その2時間の間、彼らは目の前に起こったことを話し合って処理するのです。

その場所は戦争が行われている地域でした。

そのため彼ら自身が体験した悲劇や他の人から聞いた事件について、頻繁に議論されていました。

彼らは自分の痛みを他の人に話す間、他の人々から励ましを受けていました。

 

ここでのポイントは、トラウマの処理にこの方法が優れている、ということではありません。

辛い体験を話しても、トラウマを完全開放することはできません。

ただ、その社会に合ったヒーリングの方法は存在しているということです。

核家族し、共同体的つながりが立たれている私たちの個人主義的文化では、一緒に長時間過ごすのは無理です。

しかし私たちは、どんなに過酷な悲劇でもそこから回復できることを体が知っているのです。

新しいことを始めるための本能的なメカニズム。

 

フリードリヒ・ニーチェは「時期尚早の瞑想」の中で次のように語ってます。

「私たちは内側から成長し、変容し、過去と未来の世界を統合し、傷をいやし、失ったものを新しいものに置き換え、そして閉ざされた構造を内から作り直す力を持っている」。

人間はトラウマから学び、それを超えて進化してゆくように設計されているのです。

トラウマに打ちのめされたからこそ起きる「目覚め」

圧倒的なトラウマに襲われると、ある人は人への信頼を失う一方、ある人は兼用を経験します。

変容を経験する人は、いったん傷ついた心を再び取り戻すだけでなく、彼の人生そのものが新しい方向に向かって歩みだします。

多くの人が、この深まりを「目覚め」と呼んでいます。

 

トラウマから立ち直ったある人が、著者に次のように言っていました。

「誰にも悲劇は起こってほしくありません。

しかし、あの事件以後、私は妻に愛しているというようになり、私の子どもたちにも毎日キスをしています。

今まで体験したことがなかったほど、人生が豊かで、満たされ、濃密になりました。

人生が以前よりもずっと深い意味を持つようになったのです」

トラウマの会見を生き延びた人々に起こるこのような変容は、決してまれなことではありません。

辛い経験がなぜ、以前より深く豊かな人生を与えてくれるのでしょうか。

目覚めて人生に十分感謝して生きるようになるためには、トラウマになるような悲劇を味わわなければならないのは、なぜでしょうか。

 

トラウマの後にやってくる自問自答の過程に、その答えはあります。

そのきつい体験があると、私たちの普段の理解や論理はひっくり返されるのです。

トラウマの重みの下で重大な疑問の中に投げ込まれます。

しかし、まさにこの時期こそが、自然な神経活動を発動させ、大脳新皮質、つまり私たちの内省を促す部分を刺激し、私たちの信念を再評価するように助けてくれます。

 

ガンジーキング牧師マザー・テレサをはじめとして、トラウマになる事件から苦しみながら立ち直った人たちは、自分がトラウマに意識を集中し、その事件を繰り返し反芻するプロセスを続けたことを知っています。

どうしてそのような不条理が起きたのか、その意味を探さずにはいられないからです。

トラウマになる事件はその時の彼らの世界観を超えていて、論理的には見つけることのできない事件です。

したがって、それは圧倒的な力を落ち、耐えがたく思えます。

しかしながら、それが圧倒的だと思えるからこそ、私たちは仕方なしに従来の考え方を抜け出し、結果的に新しい生き方へと押し出されてゆくのです。

こうして力ずくで意識を広げさせられると、私たちの思考に革命的な変化が起こります。

このプロセスが、世界観を広げてトラウマの体験すら受け入れられるようにと迫るのです。

私たちの人間としての成長過程には、トラウマを体験し考え方を再構成する能力が、最初から埋め込まれています。

そして、それは出来事を受け入れ、その意味を知り、より豊かで意義のある世界観をもって人生に深くかかわれるようになるためなのです。

 

著者の体験では、特定の信仰など持たない人でも、トラウマを克服した後は、自分の人生はより大きな計画の一部であるということをどこかで理解し始めるようです。

失敗しても人生を許すこと

トラウマに遭遇しても、そのあとより豊かな人生を送れるように、人生の再構築をするうえで重要なことは、過去を手放すことができるかどうかです。

これには、「許す」ことが必要です。

トラウマを解放することは許すという行動にほかなりません。

それは自分以外の人を許す、自分以外の何か大きな組織を許すことであり、さらに母なる自然を許すことでさえあります。

 

許しを実行した例として、ネルソン・マンデラの生き方があります。

彼は南アフリカで27年間監獄に囚われていました。

普通の人間であれば、こんなに長い間、自分の人生を奪われていたら、監獄から解放されても自分は犠牲者だという怒りを持ち続けることでしょう。

しかし、マンデラは囚われている間、怒りや苦痛の中に飛び込みませんでした。

その代わりに、彼は南アフリカが置かれている状況を高い視点から考察して、すばらしい未来に進むためには和解こそが唯一の道だと悟ったのです。

彼は、監獄から解放されたとき、すでに国の未来のビジョンを確立していました。

監獄での経験を回避しようとはせずに、それを深く体験したからでした。

その体験は彼の意識を変え、そして国民の意識を怒りではなく受容と和解に変える活動を始めたのです。

 

私たちは誰もが、過去を手放す必要があると知っていても、なかなかそうできません。

エゴ(自我)のレベルでの拒否反応があるからです。

エゴは過去を手放しません。

過去を手放すのは、もう1度傷つき、死の体験をすることと同じだとエゴは感じているからです。

 

手放すためにはつらい記憶を再体験する必要があります。

それを私たちは拒否してきました。

しかし、それを思い出すことによって、私たちはこの惑星における自分の弱さ、傷つきやすさ、不確かな立場を見据えなければなりません。

私たちは常に不確かな存在にすぎないと認めること。

それはエゴが持っている「確かな自己」という幻想を粉々にし、時には自分の思考体型を破壊しかねません。

 

一方わたしたちは生物としては、自分の成長を阻むものを取り除こうとします。

生まれながらに組み込まれている本能的な機能が、古いものを捨て去り、新しいことを始めるのを助けているのです。

この能力は私たちがエゴの抵抗を弱め、体の中に備わっている生物的な本能に焦点をあてた時に発揮されるようです。

 

フリードリヒ・ニーチェは私たちはある特別な力を持っていると言います。

それは「中にある自分らしく成長しようとする力、変容して、過去と未知なるものを融合させる力、傷を癒す力、壊れて失った機能を中から再構築する力」です。

 

ゆるしと手放すことは終わりのない進化を保証します。

私たちが癒しの必要性を感じる能力を増大させれば、生命力は私たちの中でもっと働きやすくなるのです。

 

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職場で、上司のキツさに参ってしまって倒れてしまった若い子がいました。

その人が、もうすぐ復帰してくるので、応援したいと思っています。

 

しかし著者は、トラウマを許す行為は決して簡単ではないとも書いています。

ワタシにも職場でのトラウマがあり、長い休みをとることになってしまいました。

でも、だからこそ以前よりも人の弱さや辛さに少し敏感になれたと思っています。

乗り越えるには時間もかかりました。

今でもトラウマの出来事に似たような場面があると、目の前にその出来事がフラッシュバックして、思考が真っ白になり軽いパニックを人知れず起こしていることもあります。

でも、トラウマを抱えた時期があるからこそ、もっと強く生きていきたいと思いました。

 

今週もお疲れさまです。

ゆっくり休んで素敵な夢を。では、また。

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