電車で座れたときとか、スーパーで長蛇のレジ待ちのときとか、眠りに落ちるちょっと前の時間を使って、「呼吸を意識する3分間」を持ってみませんか。
マインドフルネスの要であり一番入りやすい方法、それが「呼吸を意識する」。
ワタシもやってみたのですが、「眠る前にグズグズと『今日の反省』を始めてしまって、1時間以上眠れない」という症状が一気に回復しました。
わたしたちは<今>を意識することが苦手なのです。
せっかく素敵な場所で楽しい時間を過ごしていたとしても、
「あ、あの書類提出するの、忘れてた。期限は今日だっけ?」
「昨日、あんなこと言っちゃったけど、〇〇さんどう思っているだろうか・・・」
と過去や未来にそわそわしてしまいがち。
これは、そもそもたくさんの思考を生み出すというのが心の大切な働きであるからです。
もちろんそれは大事な働きでもあり、私たちはそのおかげで過去の反省を糧にし、未来に向けての新たな行動を起こせます。
しかし問題は、心の中が過去の後悔や未来への不安だからけになることです。
過去や未来にばかり目を向けない
過去や未来にばかり思いをはせていると、「きっと今回も無理だ」「あの人に嫌われているに違いない」と心が生み出すおしゃべりも、すべて真に受けてしまうことになります。
心が作ったゆがんだ世界を<現実>としてとらえてしまうのです。
マインドフルネスは、<今>という時間に集中することによって、<今、ここにいるあなた>に連れ戻してくれます。
呼吸を意識する
呼吸を意識することは、マインドフルネスの<今>に意識を集中させるための最初のトレーニングであり、要です。
まずは3分間、呼吸に意識を集中することを著者は勧めています。
肩の力を抜いて椅子に座るか、または仰向けに寝た瞬間に目を閉じてみます。
実際やってみると、3分間ずっと呼吸に集中し続けるのはなかなか難しいことです。
いろいろな考えが浮かんできて、ともすると<今>から意識がそれてしまいます。
でも、それはよくあることなのです。
だから逸れてしまったとしても、「今、こんなことを考えた」と深追いはしない。
また呼吸に意識することに戻ればいいのです。
<今>を意識する
呼吸には、不安な時や苦しい時に、気持ちを静めてくれる効果がります。
だから、不安や苦しさを感じた時は目を閉じて呼吸に集中し、自分の呼吸にそっと寄り添うようにするといいのです。
不安を感じたら、呼吸する。
心に痛みを感じたら、呼吸する。
そう、マインドフルネスではいつでも呼吸を意識します。
著者自身も、こんなことで何が変わるんだろうと初めは半信半疑でした。
しかし、やってみるとわかるのですが、つまりこれは「呼吸に集中して意識を<過去>や<未来>から<今>に戻すことによって、<今>やるべきこととや考えることが、はっきりと見えてくる」ということなのです。
起きてしまったことは変えられない。
しかし、呼吸に集中して<今>を意識することで、<現実>に対する感じ方は変えられます。
要は、おきてしまったことをどうとらえるか、ということです。
呼吸を通じて<今>をとりもどせば、それは客観的な目で<現実>をとらえられることに繋がります。
そうして、物事をシンプルに考えることができるようになり、どう行動すればいいのかも見えてきます。
ただし、これは頭で理解する類のことではないのです。
たとえば、ひと呼吸置いて冷静になったり、深呼吸して心を落ち着かせたりすることは誰しも一度ならずもあることです。
それと同じで、「呼吸によって不安や心の痛みに対処する」というのも実践して初めてわかるもの。
「ただ、そこにあるもの」
呼吸に意識しながら、痛みや不安を「ただそこにあるもの」として観察することも大切です。
そうやってあなたの中の痛みや不安を客観的に眺め、受け入れることができれば、苦しみから解き放たれる第一歩となります。
すべてをコントロールすることはできない
呼吸というのは、生き方について気づきを与えてくれるものでもあります。
私たちは、「<現実>は動かしようもない」と思って苦しむこともあります。
しかし、呼吸のように、そして雲や風、波や虹のように<現実>もまた形を変えているものです。
呼吸を意識し<今>に心を戻すことで、私たちは<現実>が動いていることを曇りのない目で見ることができるようになり、問題の対処法も見えてきます。
また、呼吸はある程度は自分でコントロールできますが、完全にはコントロールできないものです。
そこからの気づきは、「すべては自分でコントロールすることはできない」ということ。
現代社会に生きていると、時に私たちは「何もかも自分でコントロールせよ、自分で何とかせよ」と追い立てられているように感じることもあります。
でも、本当はそれは不可能です。
呼吸は、それを受け入れることも教えてくれます。
また、呼吸は身体のなかに入ると同時に、外へ出ていくものです。
「自分と自分の外の世界」の線引きをあいまいにしてくれます。
あまりにも強い線引きをするがゆえに苦しみのもととなることがあります。
呼吸は目に見えないけれど、なくてはならないもの。
呼吸に意識を向けることは、<今>を生きることにもつながり、ひいては生きやすさにつながっていきます。
レッスン
1日に何回か、呼吸に意識を向けられるといいです。
まずは、胸に入ってくる息、出ていく息のひとつひとつに意識を向けます。
吸う息が鼻を通り、のどを通って、肺に届くのを感じてみる。
吐く息が肺から喉、鼻を通って出ていくのを感じてみる。
さらに、吸う息と吐く息の温度の違い。
さらに、吸ったときは、身体全体に酸素がいきわたるのをイメージします。
胴、手の先、足先まで酸素がめぐっていくというイメージです。
もっと深く吸わなくてはと考えなくてもいいのです。
マインドフルネスでは、あるがままの呼吸を観察すればいいのです。
やってみると、けっこう驚くのが、疲れていたりストレスが溜まっているときは、自分の息がけっこう浅いですね。
あなたもそうではないでしょうか。
しみじみしちゃいます。
今日もお疲れさまでした。
呼吸が浅かったら、疲れている証拠。
寒いので、温かくしてゆっくり過ごしてくださいね。
では、また。