不安になると、「ああ、不安になるなよワタシ!」と自分に言い聞かせています。
が、そうすると余計に不安は増大していったりしまもせんか?
著者も人一倍不安に悩んで生きてきました。
この感情に負けない強さを欲していました。
不安を克服できるたくましさを望んでいたのです。
そして出会ったのが「レジリエンス」の研究でした。
30年以上の研究の背景があるレジリエンスは、「逆境や困難、強いストレスに直面したときに、適応する精神力と心理的プロセス」と定義づけられています。
そこで教えられたことは、意外なものでした。
不安を敵対視してはいけないというのです。
不安になると、いつも無理やりポジティブなことを考えて忘れ去ろうとしていた著者でした。
しかしレジリエンスを教えてくれた心理学者は、「不安は私たちが生きるために必要な感情だから、敵にするのではなく、いかにうまくつきあっていくかを考えなくてはいけない」というのです。
つまり、不安を受け入れて「てなずける」スキルを身につけることが大切だ、ということでした。
たとえば、昔は「ネガティブな思考はよくない」という考えが主流でしたが、実証的な心理学の研究が進むにつれて、風向きが変わってきたのです。
たとえば、自分のやりたいことを夢見る人がいます。
いつか理想の仕事や理想のパートナーに出会うことができるとポジティブに想像することに夢中になる人がいます。
それは、私たちを良い気分にさせるのですが、このような「ポジティブ幻想」は目標達成の邪魔になりうることが分かってきました。
自己啓発的なポジティブ・シンキングだけでは人生でもビジネスでも成功しないのです。
「不安」は心が「今、ここ」にないときに生まれる
仕事には不安がつきものです。
みなさんは
・内容が複雑な仕事を頼まれた。締め切りに間に合うだろうか?
・新しいプロジェクトに取り組まなければならない。気持ちが重くなる・・・
・上司が代った。うまくいくだろうか?
・給料が上がりにくくなった気がする。大丈夫だろうか?
こんな気分になったことがありませんか?
思い当たる項目が多いなら、職場で不安になることが癖になっているかもしれません。
この項目には、ある共通点があります。
答えは、思考の「時間軸」です。
仕事における不安に関する質問で共通することが、考え方が未来を向いていることなのです。
つまり、不安とは心が未来に向いているときに生まれる感情なのです。
心が「今、ここ」にあるときには、不安や心配の感情は生まれません。
何が起こるかわからない不安定な将来に向いていることが不安を呼ぶのです。
著者は、勤勉な人ほど、不安の感情に振り回されやすいと考えています。
まじめな人ほど、常に先のことを考えて仕事をしているからです。
ただ、この癖は必要のないことまで、先を考えるので、結果として「不安感情」が癖になると言います。
不安があまりに重なってしまうと、自信が無くなってしまいます。
すると、行動面ではパフォーマンスが下がります。
せっかくの成長のチャンスを逃してしまうようになるのです。
また、不安には睡眠障害のリスクがあり、老化の原因にもなると考えられています。
不安感情のポジティブな役割に注目する
しかし不安という感情は悪いことばかりではないのです。
要はどうつきあい、どう活かすかなのです。
不安感情のポジティブな役割としては、3つあります。
①アラーム機能
・問題、リスクに対して早期の「気づき」を促す
②モチベーション昨日
・積極的な行動への「意欲」を喚起する
③プッシュ昨日
・挑戦、課題に対して背中を「一押し」して促進する
不安やストレスによる落ち込みは、誰にでも起こることです。
それをうまくてなずけるスキルとして、「レジリエンス」があります。
この「レジリエンスのスキル」は学習可能であると言います。
要点は以下の通りです。
※まずは、精神的な落ち込みの原因となるネガティブ感情をコントロールしなくてはいけない
※また、不安などのネガティブ感情が生まれるきっかけとなる「思い込み」にも対処する必要がある。
そうすれば、いつまでも落ち込まずに「底打ち」することができる。
※さらには、人は誰でも「立ち直る力」を有している。
一度、精神的に落ち込んでも、元の心理に回復する力が私たちには備わっている。
※しかし、その回復力が日々のストレスや仕事・家庭の問題で消耗してしまうことがある。
だからこそ、再起する力に必要な心理的筋肉である「レジリエンス・マッスル」を普段の生活で鍛えておくことが肝要である。
※具体的には、自己効力感、強み、社会的支援、感謝などのポジティブ感情を意識し、仕事などのストレスを感じるたびに活用し訓練することで、レジリエンス・マッスルは鍛えられていく。
そして、大きな困難や逆境の時に、その鍛えられた力は発揮され、スムーズに立ち直ることができる。
※そして、壁を乗り越えた経験をそのままにしておくのではなく、逆境体験を振り返り、教訓を引き出すことで、次につながる知恵が身に付き、困難のたびに強くなる。
感情をコントロールする3つの基本
基礎編としては、不安感情に心に支配されないよう、感情のコントロール方法を紹介しています。
まず1つ目が、不安などのポジティブ感情を直視してそれに気づき、受け入れることです。
それは容易なことではありません。
不快な感情だからです。
私たちはその感情にすぐふたをして押さえつけるか、無理やり忘れ去ろうとします。
ところが、ネガティブ感情には粘着性があります。
感情に抵抗しようとするのではなく、受け容れるという姿勢が大切です。
2つ目の基本が、感情のきっかけとなる「思いこみ」をてなずけることです。
ただ、「ストレス→思い込み→感情」のプロセスは瞬間的です。
裏側にある「思い込み」に気づくことはあまりありません。
この気づきを得るには、知識と訓練が必要です。
基本の3つ目のステップが、しつこいネガティブ感情を適切に「気晴らし」することです。
気晴らしとは、意識の対象を変えることです。
不安であれば、不安の感情から別のことへ意識をシフトするのです。
他の対象に注意が払われることで、次第にネガティブ感情の反芻が弱まり、最後には気にしないレベルまで落ち着くというわけです。
しかし、気晴らしにはコツがあります。
頭の中だけで別のことへ切り替えようとしても、うまくいくことは稀です。
だから、頭の作業だけに頼らずに、体を使ったアクションもすることが気晴らしの秘訣なのです。
時間も忘れて没頭できることであれば、最適な気晴らしと言えます。
感情コントロールの方法として、
・マインドフルネス
・ボディスキャン
・見えない感情に名前を付ける
・「思い込み」が何かを分析する
・ストレスはその日のうちにリセットする
などを著者は挙げています。
また、気晴らしの習慣を持つには意識することが重要だそうです。
暮らしの便利さは、ときに規律正しい生活態度をおろそかにする甘えを生み出し、日常活の中から感情と気晴らしとなる行為をなくしていくのかもしれません。
公共交通機関が発達し、車社会になるほど、歩かなくなります。
オフィスの中でも、パソコンの前に座っている時間がほとんどで、体を動かすことがどうしても少なくなってしまいます。
不安に支配されないためにも、気晴らしの習慣を持つことは非常に大切です。
しかし、その行為は自然にできるものではなく、意識しないとできない時代になっているのです。
放っておくと「不安のカタマリ」になりがちなワタシです。
「そうか~、先を見越して仕事しようとしていたんだね、イイ子、イイ子」と、自分を認めてみようか?と思います。
マインドフルネスとボディスキャン。
感情に名前つけをして、「思い込み分析」。
その日のうちにリセット・・・。
・・・そうなんですよね、気を付けないと翌朝までフツウに悩んでますから。
でも、不安感情は大事なアラーム。
そう思えれば、かわいく見えるかも?
今日も1日お疲れさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。