新しい人間関係を築いていく時期ですね。
ですから、中間管理職向けな「人との付き合いかた」を読みます。
新人さんでコレができたら、無敵です。
中堅どころなワタシは、「ああ、コレを最近忘れていたから、あの失敗につながったなぁ」なんて、反省です。
著者が観たところ、人生の成功は1割が専門技術で、9割が人間関係。
たしかに専門技術は重要です。
しかし、それはあくまでも土台で、出発点です。
だから、非凡な才能を持ちながら、人を動かす技術を身につけていないため平凡な結果しか出せない人がたくさんいるのです。
どのような人間関係においても、相手が特定の行動をとるようにうまく働きかけていくには、次の5つの原理を理解していく必要があります。
1 自分の感情をコントロールする
2 お互いの信念の違いを理解する
3 相手のプライドを尊重する
4 適切な雰囲気を作る
5 共感を示して気配りを心がける
第1の原理 自分の感情をコントロールする
人間は感情の生き物である。
ほとんどの人は自分が論理的だと思っている。
確かに、ある程度はそうだ、が、私たちはたいがい感情にもとづいて行動している。
私たちは感情をもとに決定を下し、感情的な決定を論理によって正当化しているに過ぎない。
正当化とは「合理的なウソ」をつくという意味だ。
感情は素晴らしい人生には不可欠な要素のひとつだが、それをコントロールすることが重要だ。
自分の感情をうまくコントロールし、しかも相手の感情を大切にすれば、人を動かす力は飛躍的に伸びる。
感情的にならない
私は駐車場で車を停める際に、急に出てきた男性に気づき急ブレーキを踏んだ。
当然歩行者の男性は「気をつけろ」と言わんばかりに睨んできた。
男性は感情的に反応したのだ。
私には2つの選択肢があり、ひとつは同じように感情的に反応することで、もうひとつは理性的に対応して不愉快な状況を克服し、相手を味方に変える方法があった。
私は理性的に対応する方を選び、すぐに手を振りほほえみながら「すみません」という口ぶりをした。
すると男性はすぐに同じように笑顔を見せて手を振り、「大丈夫です」という口ぶりをした。
どの状況でも、感情的に反応するのではなく理性的に対応すれば、ほとんどの人間関係を好転させることができるのである。
言葉の攻撃にうまく対応する秘訣
受話器を手にした瞬間、相手から罵声を浴びせられる。
これはあなたが言葉による攻撃を受けているということだ。
たとえ人を味方につける技術を習得しつつあっても、言葉による攻撃に対しては取り乱してしまいやすい。
これにはまず、相手の言葉による攻撃に備える方法を考えておくことが重要だ。
第1段階 言葉による攻撃が起こりうることをつねに想定する。
第2段階 言葉による攻撃を受けている状況を心の中でリハーサルする。
第3段階 自分の感情をコントロールしながら対応する。
深呼吸し、相手の話を最後まで聞く。
第4段階 相手がようやく一息ついたら、「どうやら謝罪する必要がありそうです。
気に障ることを言ってすいません」と言う。
第5段階 それに共感を示しながら、「わかりました。私にもそういう経験があります。何かお手伝いできることはありますか?」と言う。
相手は自分が正当なクレームを言っていると感じていても、話を最後まで聞いてもらえたことに気分を良くして態度をいて一変させ、丁寧で理性的な対応をしてくれるはずだ。
いずれにしろ、あなたは酸っぱいレモンを甘いレモネードに変えるように、相手を味方に変えることに成功したのである。
愛6段階 自分の声を下げる
声がだんだん大きくなってきたら、少し間をおこう。
自分の感情をコントロールし、冷静さを取り戻して静かに話をしよう。
相手も冷静さを取り戻して、あなたの言い分を聞こうとするから、双方が落ちついた態度で話をすることができる。
心の初期設定をリセットする
人々は、どんなときも冷静さを保つことができる人に信頼と尊敬を寄せ、そういう人の言うことを聞く傾向がある。
そうなるのは簡単で、心の「初期設定」を変更しさえすればいいのだ。
初期設定とは、パソコンのそれと同じでなんらかの刺激に対するとっさの反応のことだ。
私たちはいつも同じように自分にとってごくしぜんな方法で反応する傾向がある。
不快なことに激怒することや緊張することは、あとから過剰反応であったと気づく。
プレッシャーにかかわる状況に対する自分の心の設定は、組織やチーム、家族などのリーダーとして人を動かす能力を左右する。
たとえば、全米屈指の心理カウンセラー、リサ・ウィルバーの例を紹介しよう。
ある日、彼女は緊急の電話相談を受けた。
相談者によると「大問題」が発生したらしい。
お察しの通り、少し不都合な事態が発生しただけである。
幸い、リサは冷静さを保つように自分の心を設定していたので、落ち着いて相談者の話を聞きながらいっしょに解決策を模索することができた。
今までずっと慣れ親しんできた心の初期設定を変更することはできるだろうか。
もちろんできる。
そのためには次の6つおステップに従うといい。
1 心の初期設定を変更して冷静さを保つ決意をする
2 混乱しそうな状況が発生したときに冷静さを保っている姿を鮮明にイメージする
3 実際にそのような状況が発生したら、冷静さを保とうと意識する
4 たとえうまくできなくても、自分を許す(どんな人でもしくじる)
5 冷静さを保つよう心の初期設定を変更したら、それに喜びを見いだす
6 いったん初期設定を変更できれば、何度でもそれができると自分に言い聞かせる
他にも感情をコントロールする方法として、
・一瞬考えてから口を開く
・説得の限界を感じたら議論を打ち切る
・情報の発信者を見極める
などがあります。
第2の原理 信念と真実の違いを理解する
自分が絶対に正しいという確信を持っていたのに、それが間違っていたということが、なぜ頻繁に起きるのだろうか。
その理由は、信念体系(もののとらえ方、考え方)に支配されたわずかな情報にもとづいて判断し決定をくだしているからだ。
人間とはそういうものである。
信念体系にうまく対処するためには、信念と真実の違いを理解することがたいへん重要である。
それはどういう意味か。
真実とは事実のことであり、それ自体は中立的であり、感情がない。
一方、信念体系は主観的だから、人間関係をよいものとみなすか悪いものとみなすかはそんなに簡単とはかぎらない。
しかも、いったん確立すると、信念体系は変えることがたいへん難しい。
なぜならそれは主に無意識レベルで機能しているからだ。
そうした信念体系のそれぞれにまったく違う私たちにとって必要会ことは、「互いの信念の違いを理解する」ことである。
まず相手を理解し、次に自分を理解してもらう
スティーブン・コーヴィーは『7つの習慣』のなかで第5の習慣として「まず相手を理解するように努め、そのあとで自分を理解してもらうこと」を挙げている。
こではたいへん素晴らしいアドバイスだ。
いったん相手を理解したら、自分を相手に理解してもらうようにコミュニケーションを図ることが必要だ。
だから効果的なコミュニケーションに関するかぎり、自分の要求やニーズを五手にわかってもらう責任は私たちにもある。
ずっと前にこんな金言を教えてくれた人に、私は今も感謝している。
射手が標的をはずしたら、それは標的の責任ではない
つまり、相手が誤解したら、それは相手の責任ではないということだ。
私たちは自分の気持ちを人々が汲み取ってくれるのを期待しがちだが、彼らにそんなことはできない。
もともと信念体系が違うのだから、私たちが自分の気持ちを明確に表現しないかぎり、それを正確に理解してもらえる可能性はかなり低い。
したがって、私たちはその責任を相手に押し付けることはできない。
そんなことをしようとしてもうまくいかないから、がっかりするだけだ。
自分の気持ちを理解してほしいのなら、はっきりとそれを言葉で相手に伝える必要がある。
他にもお互いの信念の違いを理解するには、
・相手の振る舞いを好意的に解釈する
・憶測をまじえて答えない
・相手のものの見方を学ぶ
・自分の信念を柔軟にコントロールする
などがあります。
第3の原理 相手のプライドを尊重する
勇壮な馬は力強いが、大変荒っぽい。
プライドは馬と似ている。
私たちはその乗り手である。
怒りや恨み、反感はプライドと深くかかわっている。
あなたが動かそうとしている相手は、それらのネガティブな感情を抱きやすいかもしれない。
だから、たとえ相手が目的達成を手伝う力を持っていても、あなたが相手のプライドを尊重しないなら、いくら頼んだところで力は貸してくれないだろう。
そんなわけで、自分の行動にはつねに細心の注意を払わなければならない。
どんなときでも相手のプライドを尊重することを心がけよう。
人を動かす達人は、いつも相手のプライドを尊重しながら行動する。
そいて、そうすることによって、世の中をどんどんよくしていくことができる。
そのための手段として、
・相手に恥をかかせない
・相手に勝とうとしない
・まず「そうですね」と同意する
・相手を「重要な人」として扱う
・人前で相手をほめる
・反論するときは相手への敬意を忘れない
があります。
第4の原理 適切な雰囲気を作る
笑顔で相手の協力を引き出す
これから気難しい見込み客と商談を開始しなければならないとか、不愛想な店員を相手に、レシートが無いのに商品の交換を依頼しなければならないという状況を想像してみよう。
そういう時に相手が笑みを浮かべて協力してくれるなら、こんなに快適なことはないが、現実はなかなかそうはいかない。
私たちは日常的にこういう難しい局面に遭遇し、ストレスを抱えながら毎日を送っている。
いい方法がある。
自分が望んでいるものを相手が与えてくれることを確信しながらアプローチするのだ。
ばかばかしいという前伊、次の事実を心に留めてほしい。
あなたが相手の協力を予想したからといって、相手が変わるわけではない。
そして、それが相手を変えるのである。
つまり、自分の心の中で相手の協力的な姿勢をあらかじめ想定することによって、あなたはそれにふさわしい態度をとるようになる。
なぜなら、相手の協力的な姿勢に対して事前に感謝の気持ちを表せば、相手はそれに応じようとするからだ。
つまり、あなたが相手の問題解決能力に敬意を表すれば、相手は高い養家を与えてもらっていることを感じ取ってモチベーションをアップさせるのである。
笑顔はポジティブな環境をつくる究極のツールである。
いつもこのシンプルな行為を実践すれば、驚異的な成果をあげることができるだろう。
他にも
・自分が緊張していることを知らせる
・「あなたの意見に賛成だ」と言ってから自分の意見を伝える
・自分ではなく相手の利益を優先しているという姿勢を見せる
・敵対的な相手には「どうすれば力になれるか?」とたずねる
などがあります。
第5の原理 共感を示して気配りを心がける
いやなことを言われたら視点を変える
哲学者のバーノン・ハワードはこう主張している。
「ロボットに失礼なことを言われても、あなたは気分を害しないだろう。
なぜなら、たんなる機械にプライドを傷つけられたとは感じないからだ。
しかし、あなたはほとんどの人が機械的に行動する傾向があることをしらないから、誰かに何かを言われるたびにプライドを傷つけられたように感じてしまう。
人間の人格を根底で動かしている機会を深く見通すことができれば、誰に何を言われようと気分を害することはない」
いんげんをたんなる機械とみなすかどうかは、議論の分かれるところだが、彼の指摘はたいへん興味深い。
誰かが失礼なことを言ったとき、たぶん私たちはそれを自分への個人攻撃とみなす。
その結果、自尊心が傷ついて1日が台無しになるおそれがある。
そこで、その状況を逆転して自分い有利な展開にするにはどうすればいいかを考えてみよう。
個別の状況は多種多様だが、一般論としては次のような方法がある。
1 忍耐力を鍛える絶好の機会とみなす
2 感情的に反応するのではなく、理性的に反応する練習をする
3 こんな哀れな人と同じ問題を抱えていないことに幸せを見いだす
4 こんないやな人を味方につけることができたら素晴らしいと思って、そのためお計画を立てる(もちろん、時と場合による)
今後、自分にとって不快な状況に遭遇したら、視点を変えて適切な雰囲気をつくることができないかどうかを考える習慣を身につけよう。
上司、配偶者、子ども、顧客と問題を抱えているなら、どうすれば適切な雰囲気をつくることができるのかを考えよう。
起きてしまったことは変えることができない。
しかし、解釈を変えれば、不快な状況でも有利な展開につなげられる可能性がある。
ほかにも、
・前置きの言葉でやわらげてからアドバイスする
・批判者を称賛して攻撃をかわす
・ライバルを称賛して見込み客に好印象を与える
・交渉の最中でも相手への気配りを忘れない
・相手のための逃げ道を作っておく
・信用できない相手には気配りしながら距離を置く
・人の話を遮らない
・「自分は正しい」と断定せず、控えめに表現する
・相手の都合を見計らって話しかける
・支払いの督促にも気配りを忘れない
などがあります。
忙しい日々だと、周りの人への気配りをホントに忘れがち。
でも、支えてくれる人たちへの気持ちをいつも表しておきたいデス。
今日も1日お疲れさまでした。
ゆっくり休んで素敵な夢を。
では、また。