スポーツドクターによるライフスキルを使ったメンタルトレーニング。
不機嫌をコントロールして、心を良い状態に自分を持っていくテクニックです。
こんばんは、ラブです。
どうして「不機嫌」が起きるのか
例えば、「大嫌いな上司がいるから、会社に行くのが憂鬱」だとします。
でも、よく考えると「大嫌い」という細胞で出来た上司というのは存在しません。
ですから、私たちが「大嫌い」と意味づけをした上司がいるんですよね。
私たちは、本来は意味のついていないモノに意味づけし、それに苦しんでいると言えるでしょう。
それが人間なんだと著者は言います。
しかし、私たちは自分自身が無意識でやっている「意味づけ」に気づくことがなかなかできません。
私たちはあまりに認知の脳の働きに慣れすぎてしまっているので、無意識に自分自身よりも、外側でおきるできごとに関心を持ってしまうからなのだそうです。
著者はメンタルトレーナーをしているスポーツドクターです。
アスリートが本番で最高のパフォーマンスを発揮できるための「心のつくり方」を専門にアドバイスしています。
「よりよく生きるための技術」として「ライフスキル」を用いて、心のマネジメントをする辻メソッドを紹介しています。
できごとに意味づけしたのは、誰?
たとえば、雨が降っていたとします。
傘をさす、という行動がとれるのは認知の脳の働きです。
雨に対して、定規を出すのではなく傘を出すことができるのも、認知の脳の働きです。
ここまではよいとして、
「うっとうしい」「憂鬱だなぁ」「嫌だなぁ」
と、ちょっとブルーな気分になりませんか?
これが認知の脳による意味づけの影響です。
「雨はブルーなものである」という意味を脳が勝手に作っているのです。
そして心にブルーな感情が生まれて、不機嫌という心の状態を起こしてしまいます。
雨はただ空から降っているだけです。
赤ちゃんは、雨だからと言って憂鬱にはなりません。
つまり、「雨が降って憂鬱になる」のは、後天的に認知の脳が作り出したもの。
この意味づけが心をつくることに気づくことで、心が外側のできごとに翻弄されることを防ぐことができます。
気づくだけで、変わる!
気づくだけで、”接着”された意味が、少しはがれます!
これが「気づき」の効果です。
そうすると、嫌な気分がちょっとだけご機嫌の方に傾きます。
心の針をほんの少しだけ「ご機嫌」の方に動かせるのです。
持っていかれていた心が自由になる感じです。
それを積み重ねていくことで、外側の出来事に翻弄されて、不機嫌になりやすい状態から、うまく抜け出せるようになります。
気づきの効果は侮れないのです!
今日は雨が降っていたので、ワタシも早速実践してみましたが、なるほど少し「ご機嫌」の方に針が動くのを感じられました。
無理なポジティブシンキングはしない。ただ「好きなもの」を考える
ポジティブシンキングをすればよい、というものではない、と著者は言います。
「憂鬱な雨」を「恵みの雨」と認知しなおすには、ちょっと疲れを伴うこともありますね。
意味づけを変えるには、実は相当のエネルギーが必要だからなのです。
著者が勧めているやり方は、「意味づけ」から離れて、ただあるがままの世界に気づき、外側の出来事とは関係なく、自分がご機嫌になれるように脳を使うものです。
頭の中に2つの脳があるとイメージしてください。
ひとつ目の脳は、認知の脳です。
外側の出来事に次々と意味づけをします。
この意味づけに引っ張られて、心は不機嫌になります。
そこで、認知の脳がそういうことをやっているのと同時に、外側で怒った出来事とは関係なく、もうひとつの脳で「好きなもの」について「思う」「考える」のです。
雨が降っているとか、電車に乗り遅れたとか、外側で起こった出来事とは、関係なく、好きな趣味や食べ物のことをちょっと思い浮かべます。
このとき、認知の脳は止まっているわけではありません。
ですから、電車に乗り遅れたなら、待ち合わせている人に連絡するとか、次の時刻表を調べるなどできます。
ただ、ライフスキルを使っているので、気分よく過ごすことができます。
緊張しなくなったピアニスト 「大好きなカルボナーラ」
筆者のところに、本番前に緊張しすぎて、いつも硬直して困っているピアニストが相談に来ました。
本番前はガタガタ震え、
「いつも練習でひっかかってしまうところは、上手く弾けるだろうか」
「審査員は私の演奏をどう評価するだろうか」
そんなことばかりが頭を巡って、緊張に拍車がかかってしまう。
そこで、著者のトレーニング方法に取り組みました。
・「意味づけは自分が作り出している」ことに気づく
・「今」に生きる
・好きなことを考える
・感情に気づく
など・・・
中でも彼女が驚いたのは、「好きなことを考えると演奏がうまくいく」ということだったそうです。
著者が発表会の本番で、彼女にやってもらったことがありました。
1回目は、いつも通りに演奏してもらう。
2回目は、「好きなことを考えてから」演奏してもらうことです。
1回目は、いつも引っかかってしまうフレーズや技術面に注意しての演奏となりました。
でも2回目の演奏の前に著者が「好きな食べ物は?」と質問しました。
「カルボナーラ!濃厚なのが大好きです!」と答えた彼女。
「笑顔になったね。その気分のまま演奏してみて」という著者の指示。
それだけで、彼女は「楽しいと感じながらの」「のびのびと」演奏できたそうです。
さらに演奏が終わってから、苦手意識があったフレーズも自然とできていたことに気づいたとか。
好きなことを考えるだけでも、気持ちをコントロールすることができるんですね!
ここで注意点です。
大事なのは、本番だけライフスキルを使うことではなく、練習の時も日常生活でも、常にライフスキルを使う練習をするということだそうです。
毎日の中のちょっとした機会にやって、ライフスキルの力をつけていくことが肝心なようです。
気軽にやってみることが肝
ここでもうひとつ大事なのが、「がんばりすぎないこと」。
「100%の上機嫌に入ってやる!!」の勢いで頑張っちゃうと、かえってうまくいきません。
プロのスポーツ選手であっても、一番絶好調な状態である「ゾーンに入る」のは、なかなか難しいことだそうです。
かえって、それを目指すことで心が揺らいでしまい、良い状態の「フロー」から、あまり好ましくない「ノンフロー」に入ってしまうものだとか。
そこで、気楽な感覚で取り組むことを著者は勧めています。
「ご機嫌っぽくなる」くらいを目標にするとよいそうです。
「気にしないようにしよう」「忘れよう」「我慢しよう」のワナ
ワタシがよくやってしまうのが
「『電車に乗り遅れてしまったこと』を、気にしないようにしよう!」
なんて一所懸命に思うこと。
しかし、何故かますますイライラが募ってしまうことがよくあります。
これらの
「〇〇を気にしないようにしよう」
「〇〇を忘れよう」
「〇〇を我慢しよう」
の考え方は、外側と思い切り”接着”しているので、認知の動きなのだそうです。
ちっとも外側の出来事から解放されていないので、意味づけが生じてしまい、心がゆらいで、切り替えができないのです。
心の切り替えの練習はいつでもできる
とにかく、自分の認知に気づくことが大事です。
意味づけに気づいて、心を切り替えていく。
外側の出来事から解放してあげること。
もちろん、意味づけに気づいても、いきなりガッと心がご機嫌の方向に針が動くわけではありません。
最初は針の動きさえ感じない、という人もいるそうです。
毎日少しずつ意識してみることが大切であると著者は言います。
明日は、ご機嫌になるための目標設定の仕方と、「表情」「態度」「言葉」を用いたライフスキルなどについて勉強したいと思っています。
今日も一日、お疲れさまでした。
暖かくして、良い夢を。
では、また。