私たちの1日の思考の半分は、目の前にあるものではなく、実体のない雑念だと言われています。
そこから「身体」や「呼吸」「まわりのもの」に注目する習慣を5分でもつけていくことで、脳科学的にも海馬を活発化し、うつやストレスを軽減できることがわかっています。
やがてストレスに対する反応も自分で選べるようになります。
キーワードは、「呼吸」「五感」「雑念」です。
こんばんは、ラブです。
瞑想がブームですが、マインドフルネスという形で実践している人が世界中で増えています。
マインドフルネスは、昔から仏教などで取り組まれていた「瞑想」の手法を仏教という宗教性を排除したものです。
ストレスコントロールには、緊張状態のONとOFFを切り替えることが大事です。
しかし、集中したいのに焦燥感で集中できなかったり、休もうと思っているのに十分にリラックスできないことがあります。
そこで活用されているのが「マインドフルネス」です。
「マインドフルネス」という言葉は「注意の集中」や「気づき」という意味があります。
企業で取り組むようになったところも多く、ヤフーやグーグル、インテルやフォードでもこの「マインドフルネス」の時間を仕事の就業時間の前に設けているそうです。
マインドフルネスの効能
うつ病・不安症・パニックに有効
マインドフルネスを行うことで、そうした症状に「陥る自分」に「気づく」ことができるようになるので、症状の改善に効果がみられるそうです。
また、産後夫が仕事の都合で遠くに住んでいたために、ひどい産後うつで苦しんでいた女性が、5週間のマインドフルネスを行ったところ、子どもの癇癪にも上手に対処できるようになったとか。
マインドフルネスによって、「起きてしまったこと(こどもの癇癪)に、キーキーと怒ることは無意味だ」と自分で気づき、「そのストレスへの対処方法を自分で決められるようになった」そうです。
うつ病の再発にも有効
うつ病の再発率は6割もあるそうです。
そのため、心療内科などでは回復後も数年抗うつ薬を使用して、再発を抑えています。
しかし、マインドフルネスを行うことによっても、抗うつ薬と同様またはそれ以下の再発率に抑えることができるという研究結果も出ています。
しかし注意点があります。
現在うつ病を発症している人は、「とても疲れやすい」状態なので、マインドフルネスによって疲れてしまうことがありますので、実践には医師との相談が必要です。
脳への影響~雑念をコントロールできるようになる
こんな実験を3日かけて行いました。
マインドフルネスを経験していない被験者を集めて、2グループに分けます。
1つのグループには、音声ガイドに合わせてその音に合わせ、ゆっくりと散歩や体操を行わせました。
もう1つのグループには、ただの散歩と体操をさせました。
そのあと普段の生活に戻してから、脳の働きを調べたところ、2つのグループで大きな違いが出ました。
前頭葉のdlPFCという大脳の司令塔の働きをする場所の働きが全く違ったのです。
ただリラックスしたグループは、dlPFCの働きが少なく、デフォルトモードネットワークが起きていました。
デフォルトモードネットワークとは、リラックスしたことで、脳のさまざまな分野がネットワークで結びついた状態です。
脳が車でいうアイドリング状態になっていることです。
もちろん、スムーズなスタートをするためにアイドリング状態になることは大事ですが、ずっとアイドリングしていると、エンジンがボコボコいうように、悪いことも起きます。
デフォルトモードネットワークでは、脳のさまざまな場所がネットワークでつながった状態ですから、リラックスしてヒマになった脳が「昔のことを思い浮かべてクヨクヨし始める」「これからのことを想像して、不安が増大する」という状態になってしまっているのです。
私たちは、1日の半分を雑念で過ごしている
わたしたち人間の思考は、1日の半分を目の前にあるものに対してではなく、そうした雑念にとらわれているそうです。
たとえそれが「楽しいこと」であったとしても、このぐるぐるした雑念であると、楽しいものではなくなってしまうそうです。
マインドフルネスをしたグループ
ただリラックスをしたグループと異なり、マインドフルネスを行ったグループは、大脳の司令塔であるdlPFCが活発に活動していることがわかりました。
そしてdlPFCがデフォルトモードネットワークをうまくコントロールしていることがわかったのです。
自然と浮かんできてしまう雑念に飲み込まれず、「自分は今、こんなことをかんがえているんだな」と客観視できるようになること。
雑念にとらわれている自分に「気づく」ことができるようになること。
それがマインドフルネスをするようになってできるようになります。
それには、自分の身体や自分の周りの空間に「気づく」という作業をしていきます。
ちょっとやってみよう~実践編
マインドフルネス~準備の段階
椅子に座ったり、人によっては座禅のポーズで行います。
背筋を伸ばし、肩の力を抜きます。
目は開いても閉じても大丈夫。
①まず、自分の呼吸に気づきます。
・呼吸は身体に任せて息をします。早くなっても構いません。
・息が入ってくる感覚に気づきます。
・息が入ってきたら、お腹が膨らみます。
それに対して「ふくらみ、ふくらみ」と心の中で唱えます。
②しばらく続けます。
・しばらく繰り返すと、雑念が浮かびます。
・雑念が浮かんだら、「雑念、雑念」と心の中で声をかけ、「戻ります」と心の中で声 をかけて、体の感覚に注意を戻します。
マインドフルネス~パノラマ的注意
①体全体の感覚に注目します。
・お尻が椅子についている
・足が床についている
・背筋が伸びている
②雑念
・雑念が少し減ってきます。出てきたら、そのへんに漂わせておく感覚です。
・周りの音、その場の空気の流れを感じます。
・呼吸に注目します。「ふくらみ、ふくらみ」・・・。
マインドフルネス~瞼をあける
・瞼の裏を意識して、ゆっくり目を開けます。
おだやかさ、落ち着きを感じるかもしれません。
眠気よりも「目覚め」を感じると思います。
それは、「雑念」にとりこまれて、「夢うつつ」の状態から「目覚め」るからです。
日常生活の中でも十分実践できます
慣れたら、1日30分くらいやるとよいそうです。
実は実践の時間はさほど重要ではなくて、5分や10分でもよいそうです。
また、自然のある公園を「五感を満たしながら」歩くことでも、同じ効果がみられることが分かっています。
とにかく、あれこれと雑念にとらわれるのではなく、周りのことに注目しながら過ごす時間を持つことが大切なのです。
大切なのは、体の感覚に注意を向けることです。
一時的に思考が止まり、気分が落ち着きます。
これを繰り返すことで、リラックス効果が一層高まります。
自分の感情を客観的に眺めるトレーニングです。
はじめは雑念がたくさんでてきますが、それ自体は悪いことではありません。
むしろそこからの気づきが生まれます。
これを継続していくと、次第に時々の思いにとらわれない自分が出てきます。
マインドフルネス 脳への影響
海馬が5%増える
酷いストレスにさらされたり、うつ病になったりすると、海馬が縮んでしまうことがわかっています。
この海馬がマインドフルネスを行うことで、5%増えたという結果が出ています。
これは、「新しいことを習得した」のと同じくらいの脳の成長です。
マインドフルネスで不安を解消することで、不安や恐怖によって活動が過多になった偏桃体の働きを小さくすることもわかっています。
中高年になっても、脳は変えていくことができることが2004年の報告で分かっています。
マインドフルネスで海馬を増やしていくことは可能なのです。
1日のトレーニングで遺伝子レベルでも変化がある
マインドフルネスにより、ストレスなどで変化してしまっている遺伝子の活動が劇的に下がるということもわかっています。
それは、1日の心のトレーニングでも変化があるそうです。
慢性炎症というも遺伝子の活動があります。
肥満や老化、ガンに関わり、それが動脈硬化やガンの発症につながっていく遺伝子です。
それが、1日のトレーニングだけで、進みが遅くなることが分かったのです。
継続のポイント
1 力まないこと。
マインドフルネスでなくとも、「五感を使う」ことを意識するだけでも効果があります。
2 必ずしもおちついて目をつぶらなくても大丈夫
①風を感じる
②周りの風景を楽しむ
そんなことでも、脳にはとても良いのです。
古来の日本文化にはマインドフルネスがあった
もともと日本にあった伝統文化には、「目の前のことに集中する」ことによって心を整える方法がたくさんありました。
「茶道」「華道」もその一つです。
ですから、茶道や華道の先生は姿勢よく凛とした姿が印象的ですね。
しかし現代の日本はスマホ文化。
我々は「考えている時間」ばかりが多くなっているのです。
目の前のことや自分の身体の感覚、五感を意識することで、過度に「考えてしまう」脳を整えていくことができるのです。
自然の中を歩いたり、目の前のことに集中することは、脳のためにもとても良いことなんですね。
毎日の生活の中で、ちょっと意識してみたいと思いました。
おつかれさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。
今回参考にしたのは、NHK「サイエンスZERO」の『マインドフルネス』の回と、某有名通信メンタル講座です。