「失敗してもいいから、挑戦しよう」
よく耳にする言葉ですが、著者はこれまで自分の仕事に対して、「失敗してもいい」と考えたことはありません。
たしかに、人生における最大の失敗は、失敗を恐れて何も挑戦しないことです。
しかし、だからといって「失敗してもいい」というのはあまりに無責任です。
ユーザーは貴重なお金と時間を使って、商品やサービスを使ってくださるのです。
それにもかかわらず、「失敗してもいい」などというのは、失礼ではないでしょうか?
「確信」がもてるまで考え抜く~考えた末の失敗は成功のもとになる
プロダクトを作るために投資した人もいます。
そのような無責任な姿勢で仕事に向き合うのは、プロフェッショナルとして許されないと著者は思います。
もちろん、この世に約束された成功など存在しません。
新商品は、常に賭け。
だからこそ、成功するために安易な妥協はしない。
「絶対に成功する」という確信がもてるまで、ありとあらゆる努力をする。
それが「すごい人」たちに共通する姿勢です。
だから、著者がリーダーを務めるプロジェクトでは、企画を徹底的に叩きました。
多くの企画は、直感から始まります。
「これが面白いんじゃないか?」「こんなものがあったら、便利ではないか?」こうした直観力がなければ、いいプロダクトは生み出されません。
しかし、思いつきや独りよがりなものかもしれません。
だから叩いて、あらゆる角度からツッコミを入れる。
それで説明がグラつくようなら、企画は突き返し、そしてさらにロジカルに考え抜くように求めます。
市場調査でのゆーさーのニーズを把握し、類似商品をマッピングし、「その企画」がどんなニーズを満たそうとしているのを明確にします。
マーケットの歴史を俯瞰して、いまなぜ「その企画」が必要なのかを明らかにし、ありとあらゆることを考え抜くように求めるのです。
何度も、企画を突き返すことがあります。
結果的に没になるものもヤマのようにあります。
しかし、このプロセスを経ることで、直感がロジックに裏付けられたときに確信は生まれます。
成功のイメージが明確に描けるようになる。
その核心を本人がもてたときに、初めてゴーサインを出すのです。
もちろん、それでも失敗はあります。
その時は仕方ない。
著者は、一切言い訳を聞きません。
それよりも、失敗を活かすことが大事。
ここでロジカルに考え抜いたことが活きます。
なぜなら、失敗を検証することができるからです。
ロジカルな商品開発は、魚を捕るための魚群探知に対して、「この90度に魚群がいるのではないか」と仮説を立てること。
そこになんらかの手ごたえがあれば、さらに45度に制度を絞って考えること。
そうすれば、いつか必ず成功できます。
重要なのは、仮設の制度。
そして、このサイクルを速く回すこと。
それが、その人の成長速度を決めるのです。
「成功」は捨て続ける
年功序列的な人事制度の廃止が、著者が社長になって、最初に打ち出した方針でした。
人間は弱いので、会社に長くいるだけで報われる仕組みでは、ユーザーのために身を削るような努力をすることはできない。
だから、在籍年数にかかわらず、ユーザーに大きな価値を提供した人から優先的に給料を支払う仕組みに移行したのです。
それだかでなく、著者は新しいプロダクトを生み出すクリエイティブな仕事と、成功したプロダクトを磨き上げるオペレーションの仕事を区切りました。
需要なのは、クリエイティブな能力を発揮してヒット商品を生み出した後は、オペレーション部門に引き継いでもらうということ。
誰でも、自分が生み出した成功には愛着があります。
自分の手でもっと磨き上げたいと思う。
しかし、それを手放してもらう。
つまり、成功を捨て続けてもらうということ。
そして、また新しい価値の創造に向かってもらう。
これを会社の文化にすることに、決断の狙いがありました。
これは厳しい道です。
しかし、成功を捨て続けることが、その人の成長につながると著者は考えています。
新しいことに挑戦すれば、失敗のリスクはあります。
だから、過去の成功にしがみついてしまう。
「守り」に入ってしまうのです。
そして、同じことをやることに執着し続ける。
気づいたときには、時代に取り残されてしまう。
だから、成功は捨て続けた方がいい。
たとえ厳しくても、常に新しい価値を生み出すことに挑戦し続けた方がいいのです。
それが、その人の「市場価値」を高め続ける唯一の方法です。
もちろん誰でも不安になります。
新しいものであるほど、失敗の可能性があり、心が折れそうになることもあります。
しかし、あきらめず努力を重ねて、何度か成功すれば、確信が持てるようになります。
そのとき、はじめて本当に優秀な人になることができます。
過去の実績を捨てることは、本当に勇気が必要ですね。
でも、そのサイクルを回して言ったら、どんなに視野が広くなるでしょうね。
のっぴきならない事情で、新しい分野に足を踏み入れることもあります。
そんなとき、「これが自分の市場価値を高める唯一の方法なんだ」と思うのも、よいかも。
今日もお疲れさまでした。
風邪などをひかないよう、あたたかくしてお休みください。
では、また。