待ってました!ケリー・マクゴニガル先生の新刊!
『スタンフォードの自分を変える教室』と違うのは、本著が「日本の読者」を意識したところです。
構成テーマが「時間管理術」「目標設定の立て方」などのビジネススキルから、コミュニケーション術、ストレス対策など多岐にわたっています。
最新の心理学、行動科学の見地もふんだんに盛り込まれています。
アメリカ・シリコンバレーは、起業かを生み出す世界の中心地として長年、注目を集めてきました。
その人材を生み出しているのが、シリコンバレーの中心にキャンパスを置くスタンフォード大学です。
スタンフォード大学の学生が成功をする秘訣は何でしょう?
それは、「失敗を厭わない姿勢」だと著者は言います。
スタンフォード大学の学生が「成功する理由」
失敗を恐れないよう勧めるスタンフォード大学のこの考え方は「ほとんどの新興企業が失敗する」シリコンバレーの企業文化の原動力となっています。
スタンフォード大学のを含め、サンフランシスコのベイエリアには「すべての経験から学習する」という哲学が根付いていて、成功への階段を上っていくには
「リスクをとること」
「居心地のいい領域から抜け出すこと」
「失敗に前向きであること」
が、不可欠なのです。
成功のカギとなる「成長型マインドセット」
別の言い方をするなら、スタンフォード大学は、「成長型マインドセット(拡張的知能観)」を学生に教えているとも言えます。
「成長型マインドセットという考え方を最初に提唱したのは、スタンフォード大学の心理学者、キャロル・ドゥエック教授です。
「成長型マインドセット」とは、自分自身に挑戦することでしか潜在的な能力を発揮できないという考え方です。
難題に直面したときは、成長する絶好のチャンスです。
失敗したり、目標を達成できなかったとしても、それはあなたが無能で力不足なのではなく、振り返って反省し、成長へ向けて前進する必要があるということなのです。
成長を阻む「固定型マインドセット」
「固定型マインドセット」とは、能力・知性・才能をあなたが持っていようといまいと、それらは固定的であり、変わらないと信じる考え方です。
この「固定型マインドセット」の持ち主は、例えば試験の成績が悪かったりすると、もともと自分には素質がなかったのだと考えます。
この人が挫折を経験すると、ほとんどの場合は諦め、すぐに成功できる「別の何か」を探し始めます。
そして、自分の得意分野を探すことや、失敗、苦労を避けることが、人生の目標になってしまうのです。
ドゥエック教授の研究によれば、「成長型マインドセット」の持ち主は、困難を耐え抜き、仕事に意味を見出し、長期的に成功する傾向にあるそうです。
入学当初の学生に多い「アヒル症候群」とは?
意外かもしれませんが、スタンフォード大学の学生も入学当初は、「固定型マインドセット」の持ち主が多いのです。
彼らは生まれた時から「頭がいい」「才能がある」「特別だ」と言われ続けてきました。
あなたは人より優れていると褒められ続け、リスクをとる意欲が失われているのです。
彼らがスタンフォードのような一流大学に進学できたのは、基本的には、完璧であることを追い求めてきたからです。
しかしひとたびスタンフォード大学にやってくると、このようなマインドセット(心の持ち方・考え方)は、未来の可能性をさらに引き出す手助けにはなりません。
彼らはスタンフォード大学で、「自分に何ができるのか」試せるチャンスを得るのです。
そのためには苦労したり、場合によっては失敗することを厭わない姿勢が必要です。
「成長型マインドセット」を教えるために、スタンフォード大学では学生に、「スタンフォードのアヒル症候群」の話をよくします。
スタンフォードの新入生に蔓延する考え方で、2つの有害な特徴があり、この2つが同時に発症すると、成長型マインドセットを妨げます。
1つ目は、成功することや、最も優秀な成績で卒業することがとても重要だと信じること。
2つ目は、「成功するために必死で努力しているわけではない、と周囲から見えることが重要だ」と信じること。
アヒルが泳いでいるときの状態に似ていることから、「アヒル症候群」と名付けられました。
学生がスタンフォードに入学すると、彼らはたいていアヒルのように行動します。
表面は落ち着いて、自信を持っているように見えますが、本当のところは、周りに追いつこうと必死なのです。
数年前に、スタンフォード大学はあるメジャーなオンラインサイトで「全米中で学生が最もストレスを抱える大学」と名指しされました。
これは、アヒル症候群が原因だとも考えられています。
エリートとして生きてきたスタンフォードの学生は、それまでの人生でずっと、自分をできるだけよく見せる訓練をされてきました。
失敗を避けたいという欲求が邪魔をして、「可能性にチャレンジしない」という選択をすることがあるのです。
「努力や苦労をしているところを表に出さない」ことを目標にしてしまうと、彼らを成功に導いてくれる物事から遠ざかることになりかねません。
「アヒル症候群」は、スタンフォード特有のものではありませんが、この問題に意欲的に取り組んでいるという点でスタンフォードはユニークです。
新入生のオリエンテーションでもこの現象について紹介され、挑戦や失敗は学びのプロセスであり、スタンフォード大学の学生らしからぬことではない、と教わります。
自分自身の問題を隠さずにいることで、問題について安心して話し合えるようなコミュニティ作りに貢献するよう、学生に促すのです。
寮のプログラムや同級生同士のカウンセリング、学校職員のトレーニングを通して、「成長型マインドセット」という気風が大学に定着するよう取り組んできました。
著者も授業で、ほとんどの学生が間違うだろうと知りながら、ある実験結果について予測してもらったり。
間違ったことに対する著者の反応は「非難」ではなく、「興奮・ワクワク感」です。
心理学がいかに世界観を変えられるかを共有し、この講義がその”変化”を受け入れる機会だということを、共有できるようにしています。
著者は、間違うことへの”熱意”ができるだけ伝染するよう努め、新しいアイデアを進んで取り入れるロールモデルとなるよう心がけています。
あなたが「成長型マインドセット」で重要なのは、あなたが「自分自身の人生の軌跡に影響を及ぼすことができる」と信じることです。
たとえば、この間の講義では、不安を克服するための研究結果を再現するよう、著者は学生に求めました。
この研究はもともと米ハーバード大学ビジネススクールの研究者によるもので、「体の姿勢」が人の気分や生理的な面まで影響を及ぼすことを明らかにしたものです。
不安を和らげ、自信をつけ、ストレスホルモンを減少させる効果がある「姿勢」です。
これは、「姿勢よく座るか、あるいはまっすぐに立ち、両腕をリラックスした状態で両脇に沿える」だけです。
こうした実験は2つの意味で「成長型マインドセット」を育てるのに役立ちます。
まず、こうした実験を実際にトライをすることで、自分の習慣や「居心地のいい領域」ではないところで、物事にトライしてみるようになります。
次に、「自分や自分の人生は発展途上であり、勝利にたくさんの可能性を秘めている」という認識を与えます。
まとめ
ルール①
「成長型マインドセット(拡張的知能観)」を持つこと
「成長型マインドセット」とは?
「自分自身に挑戦することで、潜在能力を発揮できる」という考え方
具体的な行動
→失敗しても、「自分の能力不足だ」と思わないこと
→難題に直面したときは、「成長する絶好のチャンス」と心得る
→ミスを悔いるのではなく、「ミスの内容を理解すること」「ミスが修復可能かどうか」に関心を払う
ルール②
失敗を厭わず「すべての経験から学習する姿勢」を持つこと
具体的な行動
→挑戦や失敗は、学びのプロセスと考える
→過ちや失敗は、”対処法を見つけ出すためのきっかけ”に過ぎないと知る
→失敗やミスは、「新しい発見の機会」だと考える
ルール③
「アヒル症候群」から脱出すること
具体的な行動
→ミスは包み隠さず、ミスに対処する
4月は、新しい自分と出会う季節ですね。
ちょっとした失敗なんか、「これも、自分の成長の糧なのだ~!」と笑い飛ばしていきましょう!
ゆっくり休んで、素敵な明日を迎えてください。
では、また。