猫のメメとモエ

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リーダーシップの身につけ方~『スタンフォードの心理学講義 人生がうまくいくシンプルなルール』ケリー・マクゴニガル

スタンフォード大学ビジネススクールで2013年、「思いやり/共感型リーダーシップ」というコースがスタートしました。

初日の授業で著者は2枚の写真を見せ、「どちらがリーダーに見える?」と尋ねました。

1枚目は、偉そうな顔をした中年男性。

口元は固く閉じられ、片方の口が少しひきつるように、ニタニタ笑っていて、目は相手を見下す”上から目線”。

2名目は、少し若い女性で、相手をしっかり見据え、穏やかな笑顔、頭を少しかしげていて、優しく話を聞いてくれそうです。

学生たちからは、苦笑いが起こりました。

学生からすれば「最低!」に見える男性の方が、よりリーダーらしく見えて戸惑ったのです。

答えは、「両方ともリーダー」です。

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「見下す人」「思いやりがある人」リーダーシップには二面性がある

この問題は、米ノースカロライナ大学のビジネススクールが行った研究が基になっています。
何人もの人にインタビューを受けてもらい、その時撮影したインタビューの様子を専門家に見せ、移り変わる表情を分析。
さらに他の分野の専門家にも店、各人が持つリーダーシップについて調べてもらったのです。
その結果、リーダーシップには二面性があることが分かりました。
人を見下す傾向にある人、優しく思いやりを示す人、どちらも素晴らしいリーダーの素質があるという結果でした。
 
実際の仕事の現場でも、同じ調査をしました。
同じプロジェクトの仕事をしている同僚同士、人を見下すタイプか、思いやりを持つタイプか、お互い評価しました。
また、そのプロジェクト遂行にあたり、どれくらいリーダーシップを発揮しているかも聞きました。
この研究でも「上から目線の人」と「優しく思いやりのある人」、どちらも良きリーダーであることが明らかになりました。
 
ビジネス界では「思いやりは弱みにつながる」と思われているため、スタンフォード大学ビジネススクールの学生たちは、この結果に驚きました。
「これからの時代、リーダーシップに思いやりは大切になるだろう」と思って授業を受けたのですが、「思いやりがリーダーシップとどう関わるか」について、理解していなかったのです。
賄賂や汚職が横行する国から来ている学生もいれば、「冷酷な競争に勝ち抜くのが最優先。気持ちよく協力なんて、ありえない」といった業界で働いていた学生もいました。
この人たちに「思いやりを持ったリーダーシップ」は説得力に欠けます。
 
リーダーは、やろうとおもえば、威嚇や脅しで自分の立場を有利にすることができます。
けれども、「公平で親切心に溢れ、相談相手になる」ことで、尊敬を勝ち得ます。

スタンフォードが定義した「思いやり」

もちろん思いやり/共感型リーダーシップは、「優しい笑顔があればいい」という単純なものでなく、思いやりを構成する要素は以下の3点と考えます。

①他者の欲求、要望、苦難に対する配慮。

②他者との相互依存の気持ちを持ち、相手を思いやり、強い関係を築くこと。

③他者の必要を満たし、苦しみを軽減させ、幸福のために支援をすること。

温かい家庭のような、悲しみに気づき、心配し、苦難に心動かされ、相手を励ます態度。

「自分の属している組織や地域が成長するのを見たい」という気持ちを根っこに持つこと。

そのためには、個人的な成功を一番にするのではなく、組織全体のゴールを目指すことが求められるのです。

自分が成し遂げたいことのために彼らのニーズを利用するのではなく、彼らの満足感や幸福感を心から気に欠けることが大事です。

 

最近の研究によると、思いやり/共感型リーダーシップは、強く、モチベーションの高い集団を作り、さらにリーダーの「燃え尽き症候群」を防げることも明らかになっています。

リーダーの立場にいなくても「必要な資質」

この資質は、リーダーでなくとも、どんな立場にいようと必要です。

不満だらけで苦情を訴える顧客への対応をするとき、思いやりをもって対処してみましょう。

嫌な客は苦痛を伴います。

個人的に責められていると感じ、自己防衛に走りたくなります。

しかし視点を変え、「不機嫌な客に攻撃される自分のストレス」に注目するのではなく、「誰かの心配事を解決してあげられる喜び」に関心を向けることができる、そのチャンスを得られていると考えてください。

「顧客の心配事を、簡潔明快に解決できる」という点では、思いやりのあるなしでも結果は同じかもしれません。

しかし、この思いやりは仕事への認識と、周囲からのあなたの評価を変えます。

 

おっくうな仕事は、著者にもあります。

そんなとき、「この仕事が『思いやりのある教師、助言者になる』という自分の目標を達成するために自分を鍛え、導いてくれる」と思うように著者はしています。

学生の成績をつけたり、出張をしたりするのは苦痛でしたが、心から楽しめるようになったそうです。

自分にとって「一番価値のあるもの」は何か

思いやり/共感型リーダーシップを実践するもう1つの方法は、自分にとって一番価値があるものは何かを常に考えることです。

ある研究によると「自分にとって一番大切な価値を考えることが、思いやりのある行動につながる」ことが明らかになっています。

それはあなたが「他者、あるいは自分よりも大きな何かとつながっている」と実感させてくれるからです。

価値観について考えることは、新しい情報を受け入れるときや、周囲の反応に広い気持ちで対処するのに、一役買ってくれます。

 

著者は毎朝、「今日は、どんな価値観を表現して見せようか」と考えることからスタートします。

勇気を示すこと、周囲の人たちを大事にすること、そしてもちろん思いやりを持つことです。

朝起きると、自分が大切にしている価値観を思い出し、それをその日のイベント仕事にどう生かせるかを考えます。

「自分が大切にする価値観」は、難しい選択や苦難への直面の際、道しるべになります。

周囲の人たちをどう巻き込むかを考えることも大切です。

「自分以外の誰の意見を取り入れるべきか」

「ほかに考慮すべき関係者はいるか」

「どうしたら要望・意見をもっと知ることができるか」

「ほかに知恵を貸してくれる人はいないか」

「誰かと協力すべきところを、自分一人でやろうとしていないか」

と自分に問うのです。

 

最後に、自分自身に心を配ることも、思いやり/共感型リーダーシップに大切です。

企業の重役や上級管理職の人間に聞くと、「自分を思いやるのが一番、難しい」と口をそろえて言います。

「他人を思いやる方が、まだ易しい」と考える人が多いのです。

しかし、自分に対して思いやりの気持ちを持つことは、力強さの源泉であり、サービス精神を発揮するための源です。

最も素晴らしいリーダーは、自分の幸福を大事にする人だと断言できます。

健康や幸福を犠牲にするリーダーは、メンバーに同様のことをすべきと言うメッセージを発信しているようなものだからです。

最高の仕事をするために、毎日1つでいいから「自分にとって最高」と思うことを続けてください。

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スタンフォードの心理学講義 人生がうまくいくシンプルなルール』についての紹介は、これで終了します。

具体例が本著にはもっとたくさん載っていますので、もし気に入っていただけたら、書店で手に取ってください。

 

週も半分まで来ましたね。

ゆっくり休んでよい夢を。

では、また。

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