あなたも
「理不尽なことで人から怒られた。
何度もその記憶がよみがえって、やることが手につかない」
などの経験があるかもしれません。
でも、中学・高校時代に
「どうしてもこの英単語が頭に入らない。どうして記憶力が悪いんだろう」
と感じたこともあるはずです。
一見当たり前に感じますが、実はこれ何か矛盾していますよね。
イヤなことを忘れられないなら、英単語も忘れないはず。
そうした記憶をうまくコントロールするのは、「記憶のシステム」を活用することです。
そもそも人は、忘れるようにできている
記憶術の中で、もっとも有名な図表があります。
この曲線によれば、人は、20分後には44%も忘れ、56%しか覚えていません。
1時間後には、55%を忘れます。
1日後には、74%を忘れます。
ということは、単純に考えればイヤなことがあっても、翌日には74%を忘れている、ということになります。
「時が解決してくれる」とは、よく言われる言葉ですがその通りです。
つまり、私たちは、イヤなことを忘れる技術をすでに手に入れています。
とはいえ、「大丈夫ですよ、10年後には忘れていますから」と言われても、「今すぐ忘れたいんだ!」というのが希望ですよね。
著者は過去に『本当に頭が良くなる1分間勉強法』(KADOKAWA/中経出版、年間のベストセラー1位を獲得しています)で、「1分間で、大量のことを暗記できるか?」ということに特化した本を書いています。
今回はその逆です。
「いかに、1分間で、イヤなことを忘却できるのか?」
という、スピード忘却術です。
イヤなことが忘れられずに、次の行動に移せない
私たちは、毎日やることが一杯です。
その中で、イヤなことがあってそれを忘れられずに落ち込んでいるのは、時間の無駄です。
キラキラと前向きに生きる1時間も、ガクンと落ち込んでいる1時間も、同じ1時間。
必要なことを一生懸命解決策に向かって考える時間は必要です。
でも、ぐるぐると悩んでいるのは、もったいない。
ならば、イヤなことは1分間で忘れて、次のことを始めた方が、あなたの人生において、大いなる利益につながるのではないでしょうか。
一度きりの人生ですから。
イヤなことを忘れられないのは、理由がある
脳は、繰り返されたものを重要だと認識し、記憶に定着させます。
何度も繰り返されるCMを見て、人は「ホンモノだ」と思うのです。
「結婚指輪は給料3か月分」というのは、論理的根拠はありません。
10年前は「ハロウィン」は、日本では今ほどメジャーな行事ではありませんでした。
それが今では、「ハロウィン」が普通の行事になっています。
繰り返しテレビで放送されたことで、ハロウィンというイベントが存在するのが、多くの人にとって当たり前だと認識されたのです。
繰り返されたものを、脳は「正しい」と勘違いします。
子どものころから「お前はバカだ」と繰り返し言われたら、「私はバカである。これは正しい」と脳が勘違いします。
逆に「あなたは天才よ」と言われ続けたら、誰が何と言おうが、「私は天才である。これは正しい」と信じ込むことができるのです。
つまり、イヤなことを多くの人が忘れられないのは、何度もその出来事を頭の中でリフレイン(繰り返し)をしてしまっているからです。
つまり、イヤなことを忘れるためには、脳の中で繰り返さないことが前提として大切になってきます。
イヤなことは、イメージから消す
エピソードを伴った出来事は、記憶に定着しやすい性質を持っています。
「歩いていて、猫のなきがらを見てしまった」ということも、イヤなことです。
いま、あなたは想像してみて、イヤな気持ちになりませんでしたか?
しかしながら、1時間後には、忘れているはずです。
それは、ほとんどの場合、あなたの実体験につながったエピソードではないからです。
自分がその出来事の当事者か、当事者ではないか。
当事者であれば、記憶が鮮明にとどまっています。
登場人物を変える
では、どうしたらイヤな気持ちを消せるのでしょうか。
それは、登場人物のあなたと上司を、動物に変える、というテクニックがあります。
上司があなたを起こっているシーンを、ハブがマングースに襲い掛かっているシーンに上書きをします。
その瞬間に、あなたのイヤな気持ちは消えます。
なぜかというと、上司があなたを起こっているシーンよりも、ハブがマングースに襲い掛かっているシーンの方が強烈で、さらには、登場人物から、あなたも上司も消えているからです。
今何が起きたかというと、
「イメージ記憶で、エピソードありで、自分が当事者だったもの」
↓
「自分を当事者から外し、違うエピソードに置き換え、違うイメージとして定着させた」
と、切り替えたわけです。
つまり、「イヤな気持ち」→「どうでもいい気持ち」への変換が成功したのです。
この方法で、1分で忘れることができます。
明日は、「落ち込まない思考回路」を手に入れる方法について一緒に読んでいただければと思います。
寒い日が続いていますので、ゆっくり休んでくださいね。
では、また。