マインドフルネスと聞くと、多少なりとも「アヤしい」と思う人はいるかもしれません。
実は、マインドフルネスは、科学的研究によるメソッドがベースになったもの。
著者はハーバード大学に留学しているとき、実際に病院でがん患者にマインドフルネスを実践している現場を目にしたことがあります。
これは、がんの痛み自体は取り除くことはできないけれど、痛みに対する自分の向き合い方を変えることができる、という考えによるものです。
痛みに対する自分の反応は変えられるというトレーニングでした。
現代はネットにより情報や刺激があふれかえっています。
そんななか、「今していることに注意を向ける」という科学的なメンタルトレーニングとして、ビジネス分野でも広がっています。
マインドフルネスはそんな中で、Google、インテルなどの先端企業でも社員研修に採用されています。
また、テニスのジョコビッチ選手などのトップアスリートも取り入れています。
脳は、疲れた、いらつく、つらいなどのネガティブな感情に支配されやすいものです。
それは、脳の中の偏桃体という不安や恐怖などのネガティブな感情を認識する部分が影響します。
マインドフルネスは、そのような偏桃体の支配から抜け出して、目の前に起こっていることに気づこうというものであり、「気づきのトレーニング」ともいわれています。
本著では、「日記を書こう」「座禅をしなさい」といった「新しい試み」を生活に取り入れるというタイプのものではありません。
これまでに「やっていること」をもとに、視点を変えて注意を向けるというもの。
ワタシもやってみたのですが、実践がとてもしやすかったです。
いつもやっているしぐさに、いつもより少し意識を向けてみるだけ。
それを1週間意識し続けてみる、というものです。
week1.痕跡を残さないように暮らす
自宅内のどこかの場所を選び、そこを使った痕跡を残さないように暮らします。
ふつうは、洗面所やキッチンなどがいいとのこと。
そこで料理したりシャワーを浴びたりしたら、食べ物やせっけんの匂い以外、いっさい痕跡を残さないように完璧にきれいにしてその場を離れます。
コツは、その場所に「痕跡を残さない」という文字を紙に書いて貼っておくことです。
禅画では、カメがこういう行動を象徴しています。
カメは砂浜を移動するとき、しっぽで地面を履いて足跡を消していくように見えるからです。
文字の代わりにカメの絵を貼ってもいいでしょう。
この練習では、私たちのちょっとした「怠け心」にスポットライトが当たります。
そして、どれほど多くの小さなモノが私たちの生活を支えて1日中働いているかを気づかせてくれます。
week2.「つなぎ言葉」に注意する
無意識に口にする「つなぎ言葉」に気を付けて、できるだけ言わないようにします。
つなぎ言葉とは、「あの→」「ええっと」「でー」「そのー」「みたいな」「ほら」「っていうか」など、とくに意味のない言葉です。
最近では「基本的に」とか「まぁともかく」など。
そして、「なぜ使ってしまうのか」にも注意して見ましょう。
最初は、自分がどんなつなぎ言葉を使っているかに気づくことさえ難しいものです。
しかし、徐々に気を付けていると、テレビなどからも、周囲の会話からも、そこら中からつなぎ言葉が聞こえてきます。
今の10代の若者は「Like(みたいな)」を、年間平均20万かい使うというから驚きです。
また、つなぎ言葉を使わない人がいる事にも気づくようになります。
つなぎ言葉がない話し方がどれほどわかりやすく、力強いかということもわかってきます。
マーティン・ルーサー・キング、ダライラマ・ラマ、バラク・オバマのスピーチは、つなぎ言葉がないことによって、ダイレクトに人の心をつかんでいることが分かります。
つなぎ言葉を使ってしまう理由は、ひとつに言葉をあいまいにしてやわらかくするためということがあります。
また、相手が強く反応することを恐れて使うことも。
また、自分が間違うことを恐れて使ったり。
しかし、つなぎ言葉を使ってばからしいほどに話の内容を薄めてしまうと、聞き手にはほとんど何も伝わりません。
聖書だってこんな感じになります。
「イエスが、まあ何というか、言ったんです。
汝の、ほらあの、隣人をね、えーっと、自分と同じように、まあ、ある意味、愛したらどうか、みたいな・・・」
week3.自分の手に感謝する
日に何度か、手が忙しく働いているときに、それが誰かほかの人の手であるかのように、観察しましょう。
また、手がじっとしているときに、じっくり眺めてみます。
手の甲に「私を見て」と書いた紙を貼り付けます。
仕事などで無理な場合、ふだんははめない指輪をはめます。
指輪がはめられない仕事の場合、手を洗ったり手袋をはめるときに手を意識しましょう。
ふだんしないならマニキュアなどを塗るのも思い出すヒントになります。
この練習により、私たちの手が実にさまざまな仕事を上手にこなしていることに気づきます。
この練習をしていると、人が独特の手の動かし方をすることに気づきます。
そして、手が変化していることに気づきます。
あなたの手は、赤ちゃんだったころどんなだったでしょう。
あなたのその手が年を重ねてどう変化するかイメージしましょう。
そして、さらに今後年老いていき、動かなくなり、やがて土に還ることを想像します。
寝ている間も、手は私たちの面倒を見てくれます。
ずり落ちた毛布を引っ張り上げたり、隣に寝ている人を抱きしめたり、目覚まし時計を勝手に消したりします。
禅では、意識していなくても体が自分自身の世話をすることは、「本性」、つまり人間の生来の善性や知恵が果たす機能なのだと説明しています。
心が邪魔しなければ、人が本来持っている叡智と慈悲がともに働くということを教えているのです。
手が目を傷つけないように、あらゆるものが手と目のように助け合っていることがわかります。
人と人とのかかわりも同じ。
人の本性は自分も人も傷つけるようにできていないのです。
冷たい飲み物ばかりを摂っていると、気づかないうちに胃が重くなったりしがちですよね。
台風も近づいていて、天気が荒れ模様な日は、あったかいものでほっこり過ごすのも良いですね。
今週もお疲れさまでした。
ゆっくり休んでください。
あなたに最高の夢が訪れますように。
では、また。