周りの人に気遣いができる「お察し上手」な人は、相手の気持ちを気遣って、何かと「もうひとがんばり」してしまいます。
「忙しい先輩のために、この書類を今日中に完成させないと」
「彼氏のために、ダイエットを頑張らないと」
「病気のお母さんのために、家事をしないと」
誰かに頼まれたわけでもないのに、こんな風に頑張ってしまうなら、あなたも「お察し上手」なのかもしれません。
「お察し上手」は、あらゆることに敏感なため、周りの人から受ける情報量が圧倒的に多く、その分自分を見失ってしまうことも珍しくありません。
著者はカウンセラーです。
クライアントには、「お察し上手」が多いそうです。
でも、「お察し上手」は感謝されることもあるけれど、相手に合わせすぎて疲れ果ててしまうこともよくあるとか。
そんな人が、自分軸を取り戻す具体的なワーク。
人のためにがんばりすぎにならないためのちょっとしたスキルを身につけてみませんか。
「人は人」に苦手な人の名前を入れる
「お察し上手」な人は、ついつい相手に合わせすぎて自分を見失い、「他人軸」になってしまうものなのです。
そこで著者が提案する方法は、アファーメーション(肯定的断言)です。
よく「私は私、人は人」という言葉を聞きますよね。
職場でデキる同僚の姿を見たとき、きょうだいの誰かが親に褒められていたとき・・・誰かと自分を比べて焦りそうになったときに、一度は口にしたことがあるでしょう。
実は、これを少し応用するだけで、「他人軸」から「自分軸」になる第一歩を踏み出せます。
「人は人」という言葉に、あなたが振り回されてしまっていると思う相手の名前を入れてみるのです。
「私は私、A部長はA部長」
「私は私、BさんはBさん」
「私は私、彼は彼」
「人は人」と言う寄りも、より意識的に、相手との間に線を引くことができるようになります。
もし、この言葉を発することで寂しいような、申し訳ないような気がするとしたら、あなたはその人との距離が近すぎる証拠。
「他人軸」になりやすい状態なので、むしろそう感じなくなるまで続けてください。
うひょー。「私は私、娘は娘」と言ってみたら、寂しくって仕方ない気分に!?
母親が娘に気持ち的に依存するって、よく言うけれど自分もそうでした!反省!
仕事上で、うまく切り離して考えられなくなっちゃった人がいたのですが、このワークをしたら、けっこうラクになれました!
このアファーメーションは自分にだけ聞こえる程度の小声でいいそうです。
この言葉を1日何十回、何百回とつぶやくだけで(だけで?)OKだそうです。
職場の上司の暴言が気にならなくなった人、パートナーの情緒不安定に振り回されなくなった人など、数多くの人がこのアファーメーションで前向きになれたとか。
毎日続けると、どんな人でも3週目くらいから変化を実感できるそうです。
相手との癒着をはがす
さらに強力なアファーメーションが必要な場合のやり方です。
著者のクライアントさんで、医者家系で自身も医者だった人がいました。
娘さんも医学部に進むことは親戚も含めてみんな期待するところでしたし、お母さんは大変なプレッシャーを抱えていました。
しかし娘は自由人で気乗りしないと勉強しない。
最低点を更新することが続き、お母さんは結果ごとに落ち込み、叱咤し、時には寝込むような状態が続いていました。
お母さんは完全に「他人(=娘)軸」になっていたのです。
そうした”近すぎる”距離の癒着関係をはがすためのアファーメーションです。
「”私は私”、”娘は娘”。
私は娘ん受験結果に関係なく娘を愛していて、”私は私”で幸せでいられる。
”娘は娘”で、自分が幸せになる道を自分で考えて自分で選ぶことができる。
だから、私は娘を信頼する。
私は大丈夫だし、娘も大丈夫だ」
個人セッションの場でその言葉を書いて彼女に読んでもらった尾ですが、まず1行目から詰まって先が続けられず、全部読み切るのに10分以上かかりました。
親子だけでなく、夫婦、あるいは、職場の人間関係など、近すぎる距離にある関係は、「私は私、人は人」よりも、より強い言葉を入れる方がより効果があるそうです。
このアファーメーションを効果的にするには、次のようなことを意識するとよいそうです。
・ネガティブな言葉を使わない
・相手を否定する言葉を含めない
・私は、夫は、という主語を明確にする
・「選ぶ」「信頼する」「幸せになる」といった主体的な言葉を入れる
・安心感やパワーを感じられる「大丈夫」という言葉を入れる
「私は」という主語を意識する
日本語は主語が無くても文脈から主語を推測して会話が成立します。
そのためひとたび「癒着」のような近い関係性が生まれると、相手のことを自分のことのように語ってしまう場面がすくなくないのだそうです。
「他人の身に起きたことが、まるで自分のことに感じられる」ように思えたら、こんなワークに挑戦してみませんか。
1日の行動のすべてに「私は」「夫は」「母は」などの主語を必ずつけて思い出してみるのです。
「”私は”時間通りに家を出て駅に向かった。
けれど”私は”つい雑誌の発売日が気になってコンビニによってしまい、”私は”いつもの通勤電車に乗れなかった。
けれども、後続の電車は空いていて、”私は”座れなかったけれど快適に会社の最寄りの駅に到着できた。
”私は”デスクの上を整頓してからパソコンを立ち上げ、”私は”今日やるべきことを確認した」
と言う感じです。
友達とのメールやSNSでやり取りする際にも、「私は」を意識してみるといいでしょう。
・・・
このワークを日々意識したら、今度は会話でも主語を意識するようにしてみましょう。
・・・
「私は、今日忙しいので、これ以上、仕事は増やせません」
「私が、その仕事を手伝ってあげようか?」
「私は、A案、B案、どちらでもいいと思います」
「私は、今からランチに行ってきます」
などのように、「私は」を意識したり、
「あなたはA案に賛成なんですね?」
「先輩はその仕事を私に手伝ってほしいんですね?」
と言う風に、他人に対してもあえて主語を明確にします。
「私は」「あなたは」と主語を意識して話をしてみると、それだけ「自分」と「相手」の間に線を引けるようになります。
つまり、私とあなたの違いが認識できるのです。
どうしても、夫の気分ばかりが気になって、今日はせっかく連休の初日だというのに、憂鬱になってしまっていました。
残っていた仕事を休日出勤して片づけたのですが、帰りが遅くなってしまったのです。
帰り道、夫のご機嫌がナナメになっていないかと、ひやひやしていたのです。
でも、よく考えると
”私は”やりたい仕事をしっかりこなすことができて、
”私は”充実感いっぱいの1日だったんです。
それに、ちょっと帰りが遅くなったからと言って、私が気に病むほど夫は不機嫌になってもいませんでした。
自分軸を取り戻せたら、もっとハッピーになれる気がします。
今日も1日お疲れさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。