幸せになる為の本はたくさん巷に溢れています。
が、結局読んでも実践に落とし込めないで終わることも多々あります。
本著は脳科学をもとにわかりやすく具体的な方法をたくさん示しています。
あなたが実践してみたいと思ったことがひとつでもあったら、嬉しいです。
著者は、「1冊の本から、3つくらい実践できるものを見つけること」と「そこからすぐできそうなものを、すぐできるステップまで下げて1つを1週間とか1か月とかかけて試してみること」を勧めています。
ひとつで良いので、「やってみようかな?」と思えるものをあなたが見つけてくれたら嬉しいです。
「一流の学校に行ったら幸せになれる」
「美人になったら幸せになれる」
「年収が1000万円を超えたら幸せになれる」
それらは現在の調査の中で、「そうではない」ことがはっきりしています。
知的レベルの高い生活を続けている人が認知症になりにくかったり、
年収が200万円よりは500万円、それより1000万円が微妙に幸福度は上がるそうですが、それ以上は幸福度のグラフは頭打ちで、家族や友達との関係など他の要素が結局幸福度を大きく左右しています。
美人かどうかに至っては、美人の方が幸福度が微妙に低いという世界的統計がある、と樺沢紫苑先生がYouTube動画で先日話していました。
どうしてか?
女性ならわかりますよね。ひがまれますからね。敵が増えます。
ワタシの職場でも立場が上になるほど、スキのない女性管理職は足を引っ張られやすいです。
では、仕事を一生懸命やれば幸せになれるのか、というとそれも著者は否定しています。
仕事をさぼれば幸福になる、と言っているわけではありません。
仕事以上に「大切なもの」をないがしろにして、必死に働くから不幸せになるのです。
幸せになる為に、がむしゃらに仕事をする、というのは間違っている、とあなたも生活の中で気づいていると思います。
本著は、そんなあなたのために幸せになる為の実践的なガイドブックです。
1.幸福は脳内物質である
私たちが「幸せ」と感じるときに、脳内では具体的にドーパミン、セロトニン、オキシトシン、エンドルフィン、アドレナリン、ノルアドレナリン、GABAなど、なんと100種類以上の幸福物質が出ています。
特に日常的な幸福感を構成するのは、「ドーパミン」「セロトニン」「オキシトシン」が注目されています。
エンドルフィンやアドレナリン、ノルアドレナリンは、追い詰められた時などに分泌される特殊な状況で出るものなので、日常生活では使いづらい脳内物質です。
「ドーパミン」「セロトニン」「オキシトシン」は、それぞれ大切であり、どれかが突出して他が無視されていても、あなたの人生の幸せ度合いを底上げしていくことはできません。
2.幸せの優先順位
セロトニン的幸福は、心と体の健康の幸福。
オキシトシン的幸福は、つながりと愛の幸福。友情、人間関係、コミュニティへの所属などが入ります。
ドーパミン的幸福とは、お金、成功、達成、富、名誉、地位などの幸福です。
これら3つの幸福が著書のタイトルでもあります。
これらの幸福には優先順位があります。
1番目がセロトニン(健康)的幸福。
2番目がオキシトシン(つながり)的幸福。
3番目がドーパミン(成功)的幸福。
これが正解だと著者は著書の中で繰り返し力説しています。
健康はすべての基盤であり、どんなに仕事で大成功しても身体がボロボロになったり、メンタル疾患で長期療養となってしまったら、元も子もありません。
どんなに年収が上がったとしても、そのために家族をないがしろにして、つめたい過程になっていったなら、幸せとは言えませんよね?
まずは、セロトニン。心と身体を脳科学的な見地からも整えることから、すべては始まります。
3.セロトニン的幸福を得るには
(1)セロトニンが足りなくなるとどんな症状が出るのか?
セロトニンが十分出ていると、あなたは体調がよく、リラックスもでき、集中力もあり、自然の中にいると気持ちがいいと感じることができます。
しかし、これが欠如していくとあなたはうつ病の状態に近づいていきます。
気分が暗い、どんよりしていた気分が続き、憂鬱で、何もしたくない。
人とも会いたくない、気力がわかない、イライラする、すぐかっとなる。
さらにいつもよりすぐかっとなる、など。
これは衝動性が高くなっているということ。
セロトニンが出ていない目安でもあります。
(2)セロトニンを手に入れる方法1 朝散歩
セロトニンを活性化させるための方法は「朝日を浴びる」「リズム運動」「咀嚼」です。
これらを組み合わせてセロトニンを活性化させる最高の習慣が「朝散歩」です。
早起きする必要も、朝7時から始める必要もありません。
あなたが起きた時間から1時間以内に外で散歩を15分程度する、というものです。
もうメンタル的に辛くなっている場合は、日向ぼっこからでOK。
5分でもよいのです。
毎日行うのは現実的でないなら、週1回からでもよい、とYouTubeで著者が言っていました。
「ちょっと気持ちいいな」
「空を久しぶりに見たら、嬉しくなったかも?」
くらい思えたら、上出来だそうです。
(3)セロトニン的幸福を手に入れる方法2 気づく
「毎日プチ幸せな人」が結果として10年後に大きな幸せを得て、「幸せな人生」を手に入れるのだと著者は言います。
小さな幸せとは、「今、大きな病気をしていない」などの「おおむね健康である」も当たり前ではない素晴らしい幸せとしてカウントできます。
また同時に「小さな不調のうちに気づく」と認識することは、けっこう大変なことだそうですが、とても重要です。
(4)セロトニン的幸福を手に入れる方法3 病気を予防する
睡眠不足、運動右側、夜更かし・徹夜、暴飲暴食をして、結果肥満になる。
そんな人が多すぎると著者は言います。
メンタル疾患においても、まず出てくる「疲れやすい」「感情が不安定」「イライラする」「仕事に行きたくない」などの「脳疲労」(メンタル疾患の予備軍)の兆候のうちに、休むことを心がければ、治りやすくなります。
しかしそれを放置してがっちり「うつ病」となれば、治るのに長い時間を必要としてしまいます。
(5)セロトニン的幸福を手に入れる方法4 「今」にフォーカス
過去を考えて後悔し、未来を考えて不安になる。
これがメンタルの患者さんの傾向だそうです。
「病気はいつ治るんですか?」「いつ社会復帰できますか?3か月で戻れますか?」と先を焦る患者さんも多くいるのですが、社会復帰の前に、今ある症状を改善するのがダ前提です。
「今、楽しい」「今日、楽しい」
それを積み上げると、「今週1週間楽しかった」「1か月楽しかった」。
これが50年続くと「私の人生はなんて楽しい、幸せな人生だろう」と思うはずです。
大病している人は別として、青空の下を歩くだけで、ほとんどの人は「さわやか」な気持ちになるはずです。
それはとってもとっても小さいこと。
でも、間違いなく「幸せ」です。
「健康」はいちばん 感じやすい幸せ。
だから、その幸福に気づいて味わい、感謝することが、幸せの第1歩となります。
(6)セロトニン的幸福を手に入れる方法5 自己洞察力を高める
今の自分の健やかさに気づくことは、意外と難しいことです。
自分の状態に気づくこと、つまり自己洞察力が低い人は、「最近疲れている」ということに気づけないのです。
自己洞察力は、自分の体調に気づく能力であり、自分のセロトニン的幸福を感じ取れる能力です。
そのためにできる小さなステップに「起床瞑想」があります。
目が覚めた時、身体にだるさがないか、痛みはないか、すっきりしているか。
それを100点満点で自己評価。
できれば「日記」や「手帳」に書きます。
今、ワタシもトライしております。
自己洞察力が低くて調子を崩したことがあるので。
後で見直すと、けっこうおもしろいです。
(7)セロトニン的幸福を手に入れる方法6 3行ポジティブ日記
ワタシが今回この著書をご紹介したかった理由はたったひとつ、コレです!
3行ポジティブ日記。
書いていて気持ちが良くなるし、楽しいことを見つける視点が養われますから、自然と気持ちが前向きになります。
寝る前にベッドでその日あった良かったことを3つ書くのです。
寝る15分前以内、できれば寝る直前が良いそうです。
どういうわけか、この3行ポジティブ日記をつけはじめたら、寝つきが非常によくなりました。
そんな効能は樺沢先生の他の本でも読んだことはない気がするのですが。
思えばワタシは以前から寝る前に「反省タイム」とばかりに、クヨクヨ失敗を反芻しがちでした。
それがポジティブ日記でポジティブな気分になったからではないかと思っています。
人は、寝る前の感情によって、今日一日の印象が決まるそうです。
終わりよければ、すべて良しなのです。
ポジティブな気持ちで眠りにつくことで、セロトニンが出て、あなたはますます幸せになります。
(8)セロトニン的幸福を手に入れる方法7 緩急をつける
自分自身が緩急をつけるのが下手すぎるので、反省しながら書いています。
睡眠を削り、休息もとらず、必死に働く。それこそが不器用な自分が一人前として生きるための唯一の道だと信じてきました。
しかし、著者に言わせるとそういう人は、メンタル疾患、がん、脳卒中、心筋梗塞などの生活習慣病になるのだとか。
精神科というのは、ある意味「頑張り続けた人」が行き着く先だそうです。
自分を犠牲にして、よくそこまで働けるなというほど一生懸命な人は、簡単にギブアップしないから、完全に燃え尽きて「うつ病」になるまで頑張り続けてしまうのだとか。
緩急をつけるとは、「オン」と「オフ」の収支を合わせること。
昼はバリバリ働き、夕方からリラックスして、夜はぐっすり眠る。
これた緩急をつけた1日の過ごし方。
それが無理でも、週末にゆっくり休んで収支を合わせるのもいいいのです。
休むことに罪悪感を感じてしまうあなたであるならば、「だらだら1日を寝て過ごす」ことを無駄だと思ってしまうかもしれません。
どこも、悪いことはないのです。
休息ではなく、充電だと思って、休息も大事にしてバランスをとっていきましょう。
4.オキシトシン的幸福を手に入れる方法
セロトニン的幸せを手に入れることが、まず第一の土台です。
その次の土台はオキシトシンは、人とのつながりによって出るものです。
オキシトシン的幸福を手に入れる場面はこんなものがあるのです。
スキンシップ
赤ちゃんをだっこしたり、手をつないでも、オキシトシンは出ます。
マッサージや肩たたきもOKです。
オキシトシンを最も簡単に出す方法がこのスキンシップです。
友情、仲間との交流
アイコンタクトや会話など、心の通った交流によっても、オキシトシンは出ます。
コミュニティやグループ、部活などに所属していると「安心感」があると思いますが、あの「帰属意識」でもオキシトシンは出るのです。
ポジティブな交流があると、オキシトシンは出るのです。
親切、感謝をする
特に親切は重要です。
新設した数を数えたり記録した利することを著者は勧めています。
なぜなら、親切を数えると幸福度がアップするからです。
そこには自尊感情が高まる、というメリットがあります。自分が価値ある存在であることを自分でしっかり認めることができます。
感謝というものオキシトシンと深くかかわってきます。
「ありがとう」という言葉を口にすると、オキシトシン以外にも、エンドルフィン、セロトニン、ドーパミンと、4つの幸福物質が出ます。
著者は1日3回、誰かに「ありがとう」を言うごくシンプルなごくシンプルなワークを勧めています。
ペットとの交流
オキシトシンの分泌は人間に限ったものではなく、犬や猫などのペット、動物との交流でも得られることが分かっています。
植物を育ててもオキシトシンは出ます。
老人ホームの入居者グループに毎日観葉植物の世話などの簡単な仕事を任せたところ、幸福度が改善し、死亡率が半分に下がったという結果があります。
世話をする=相手の役に立っている、ということも重要なポイントです。
5.ドーパミンの光と闇
「あなたにとって、幸せとは何ですか?」という質問をした場合、どんな答えが返ってくるでしょう?
「仕事の成功」「社会的成功」「お金」「買いたいものを買える」「社会的地位」などではないでしょうか?
つまり、「幸せ」と聞くと、ドーパミン的幸福がまっさきにイメージされやすいものなのです。
しかし、このドーパミン、5年前はネットで検索すると「幸福物質」「幸福ホルモン」が検索結果にたくさん表示されていましたが、今回著者が調べると、違いました。
特に英語サイトの「ドーパミンとは?」では「依存症の原因物質」と解説されているのだそうです。
「光」の部分 自己成長の原動力
ドーパミンには光と闇の部分があります。
まず「光」の部分としては、簡単に言うと「自己成長物質」です。
何かを頑張って成果を得たときに「やったー」という達成感が得られるのは、ドーパミンによるものです。
「また次も頑張ろう!」とさらに高い課題にも取り組めたり。
これを繰り返している中で人間は成長します。
「もっとすごい結果を出そう」「もっと頑張ろう」「もっと便利にしよう」という感情とやる気、モチベーションを引き出してくれるのがドーパミン。
また、ドーパミンが分泌されると、集中力、生産性、モチベーションが上がります。そんなことからドーパミンは「学習物質」とも言われています。
「闇」の顔 依存症の元凶
しかし、ドーパミンは「もっと、もっとの物質」です。
仕事や勉強でさらに上を目指すのは良いことですが、1位を目指すようになると、努力の量も時間もかなりたくさん要するようになります。
ドーパミンで幸せになるのは、簡単なことではありません。
しかし、お酒を飲んで幸せになるのは実に簡単。そこに闇があります。
人間は「楽」「簡単」な方に流れるようにできているからです。
こうして、簡単に人間はアルコールやギャンブル、買い物、ゲームなどに依存していきます。
上手に使えばあなたの自己成長と成功を加速させます。しかし、ドーパミンのダークサイドに吞み込まれると「仕事に行けない」「学校に行けない」状態になり、人生を失います。
非常に扱いにくいドーパミン。
あなたがドーパミンとどう付き合うかによって、人生を成功させるか失敗させるかの分かれ目になります。
ドーパミン的な幸福を手に入れる方法 お金や物に「感謝」する
一番初めに紹介した通り、日本の研究でも「所得」よりも「健康」「人間関係」「自己決定」の方が幸福度に関連している、という結果が出ています。
お金による幸福感は長続きしないという結果が出ています。
高額宝くじ当選者についての研究です。高額宝くじ当選の「幸福感」は、数か月から半年しか続かないと言います。本著では何度も繰り返し説いているのですが、ドーパミン的幸福は逓減します。劣化するのです。
しかし、抜け道があります。
「お金」を手に入れ、その幸福感を持続させることは可能です。
それは「少額のお金」で大きな幸福感を得るお金の使い方があります。
お金の専門家たちの著書によくある内容です。
「お金を使う時に感謝するとお金が戻ってくる。お金が増えていく。だからお金に感謝しましょう」です。
お金に感謝することで、何があるのでしょう?
「つながりの物質」であるオキシトシンが働かせることができるのです。
お金は人が払うものですよね?
つまり人との「つながり」や「信頼」があって商品は売れていく。そこに注目してみましょう。
感謝、親切、社会貢献を意識し、自分と顧客や社会全体の幸福に寄与したい。
そう思う会社は、人間的に好かれ、信頼もされます。
その信頼の対価がお金です。
お金を使う私たちもサービスに対する感謝をもって支払う。
そうすることで、サービスを提供する会社と私たちの互いにオキシトシンが溢れます。
オキシトシンは逓減しません。
ずっと幸せでいられます。
これは「物」や「食」に対しても同じです。
感謝の気持ちを持っていれば、その欲望は暴走しません。
満足と幸福に満ち溢れるのです。
仕事中毒になっていたころが、ワタシにもありました。
仕事で成果をあげることにばかり集中し、心や体、家族をおろそかにして、結局調子を崩してしまいました。
会社で認められたい、という気持ちが沸き起こり、どうにも止められなくなることがありました。
しかし、そのドーパミン的な幸福は、「もっと高いところまで!」と天井知らずに上がっていきました。
私たちの幸せは、そんな空の上にあるものではありませんよね。
一番の土台は健康であり、あなたのことを大事にしてくれるごく少ない数の大切な人との交流。
社会的な成功やお金はそのあと。
それらを手に入れたとしても、感謝を持って生きることが何より重要なのですね。
あなたも、世界でひとりしかいないあなた自身を、もっと幸せにしてください。
では、また。