大事な手帳、財布、携帯、筆記用具といった日常の小物から、直近の予定、現在取り組んでいるプロジェクトのTo Doなどといったデジタルのものまで、使用頻度が高いものなのに、気づくと行方不明になるモノがありませんか?
そうしたものが見つけられないのは、あなたが気合が足りないわけでも、根性がたりないわけでもありません。ましてや、だらしないからでもないのです。
すべては毎日の生活をちょっとだけ変えていく「ライフハック」。
最近注目されている言葉ですが、人間の行動や心理を研究する中で生まれたハックです。
これらをうまく活用することで、長年のあなたの悩みを割と簡単に解決することができます。
前回も本書で気に入った個所を2回にわたって書きました。
一番下の欄に貼ってあります。
とても気に入っているハックばかりです。
しかし、何度も読み返すうちにもっと気に入るタスクを見つけたので、さらに紹介させてください。
「30秒以内に見つかるか」というルールを徹底する
大事なものがいつもなかなか見つからない!
これを解消するひとつの指標として、こうした使用頻度が高いものについては「30秒ルール」を作ることが考えられます。
よく使うものは、絶対に30秒で見つかるようにしてしまいましょう。
昔から言われていることですが、手帳や財布ならば室内に固定した置き場所を用意すること。
デジタルのTo Doリストを使っているならば、ブックマークやショートカットをつくるなどといった近道ですね。
この30秒ルールを拡張させていくと、あなたが大事にしていることを生活の中でさらにフォーカスしていくことができます。
あなたの人生そのものが「あなたのやりたいこと」にベクトルを向けていくことができます。
最近クリップしたウェブサイトのリンク、契約書や保険証といった重要書類のような、決して使用頻度が高いとはいえないものについても、30秒でどこにあるかを見つけ出すことができるかどうかをチェックしておきましょう。
また、30秒以上かけて何度も探しているものならば、それは使用頻度が高いものだから、意識して置き場所や管理方法を明確にする、といったように。
探し物に時間をかけてしまうたびに、「30秒でこれを見つけるにはどのようにほかんすればいいのか?」を考えて次に備える!
それだけでも、探す時間に自分を責めてしまうイライラを、「次に備えている時間なのである」というポジティブなエネルギーに変換させることができますね。
落ち込んだときは、自分を肯定する言葉を大量に投下する
「他人に批判されて辛い」
「仕事で失敗をして落ち込む」
こういった逆境は、生きている限りいくらでもありますが、下り坂になった気持ちを立て直すハックは、いくつか持っているとよいでしょう。
ここで参考にするのは1955年にアルバート・エリスが提唱した論理療法の考え方です。
その研究によると、気分の落ち込みなどの心理的問題は、悪い出来事そのものが理由ではないのです。
むしろ、それをあなたがどのように受け取ったか?という認知を介して生まれてくるのです。
例えば「他人に批判されてつらい」という考えの裏には「私は批判されるべきではない」「批判される状況はあってはいけないのに、それが起こっている」という”受け取り”が隠れています。
この隠れた「~べき」という気持ちはイラショナル・ビリーフ(不合理な考え)と呼ばれています。
その考えはやがて「どうせ自分は」という挫折感や絶望感を生むというのがエリスの考え方です。
これを打破するには、落ち込んだときのネガティブな思考の裏にある「本当は~であるべき」という自分を拘束する考えを見つけること。
そして、それに対してポジティブに疑問を持ち込むことが有効です。
たとえば、「仕事で失敗して落ち込んでいる」という状況の背後で「自分は失敗すべきではないのに」という気持ちが潜んでいます。
そこで「失敗は誰だってあるから、自分だけが失敗しないということは不合理ではないか?」と考えにメスを入れること。
そのうえで、ここは成功している、ここはなかなか上出来だった肯定感のある捉え方をありったけ投入します。
落ち込むこと自体は避けられなくても、自己否定で2重に傷つけている状況を修正できれば、ポジティブな受け取り方が次第にあなたの心の下り坂を、自分で立て直してくれるのです。
習慣のトリガーとして優秀なのは「時間」「場所」
新しい習慣を定着させるときに最も成功しやすいのは、毎日必ず発生するものをトリガーに設定し、その流れで実行する行動だけを入れ替えるという作戦です。
たとえば、夕食後に必ずテレビを観てしまうという人は、夕食の終わりというトリガーが、テレビを観るという行動につながっていますので、この流れを脱線させて別の行動にすることを試します。
たとえば著者の場合、風呂掃除は著者の担当なので、これは必ず発生するトリガーとして機能します。
そして、何度かの試行錯誤の末、風呂掃除の前に運動着に着替えてしまうと、その流れでランニングを実行できる可能性がもっとも高いことが分かりました。そこで風呂場の近くに運動着をかけて、トリガーから行動が流れになるように工夫することで、この習慣を定着させるのに成功しました。
たとえばトリガーを「朝8時」といった恣意的な時間を設定するよりも「朝食後にその流れで」といったように。
あるいは「夜に必ず」と自分に言い聞かせるよりも「最寄り駅まで帰ってきたらその足で」といったように、トリガーを選んでそののちの行動を変えてみることです。
同様に、夕食後必ずゲームをしてしまうのをなんとかしたいという人は、夕食後のタイミングでゲームをする手間がほんの少しだけ大きくなるように、箱に片づけてしまう、電源アダプタを別の部屋に置くなどといったことができます。
それを破ったときに大きな満足感が発生してしまいますので、トリガーから行動が自動化しないようにやんわりと阻害するのが有効なのです。
手作り手帳の「習慣トラッカー」
手帳やノートに1か月の日にちをつけて枠を書き、行動できたかを1目で見られる一覧表にします。
あなたの定着させたい「習慣トラッカー」を縦軸、日付を横軸にして書きます。
1日は横軸で1マスずつ。
この「習慣トラッカー」は小さいものから。
「甘い飲料を飲まなかった」「ストレッチをした」「誰かに感謝した」といったような日々を少しだけ前向きにする行動を入れることを奨励しています。
悪癖メモでやめたい行動を断ち切る
悪癖をやめる、というのは、なかなか難しいことですね!
これは、習慣が「トリガー・応答、報酬」の3つからできていることによります。
得てして私たちは「タバコを吸う」「爪を噛む」といった「行動」の部分を心理的に責め、そのプレッシャーで悪癖を断ち切ろうとします。
しかしそれでは、習慣そのものを引き起こしている「トリガー」と「報酬」がそのままですので、うまくいかないのです。
そこで、たとえばタバコを吸うたびに、なぜいま、このタイミングで吸いたくなったのかを詳細にメモしてみます。あるいは、そのときどんな気持ちだったのか(気持ちが落ちついた、イライラが解消できた、休息がとれた、などなど)もメモします。
無意識になっているトリガーと報酬を、白日の下に引っ張り出してくるのです。
すると、たとえば「ストレスが高まったとき」「作業が一段落したとき」といったタイミングがトリガーになり、「リラックスした」と言う報酬が得られている、といった分析ができるようになります。
トリガーと報酬が見えてきたら、同じトリガーを使って、行動だけを入れ替えられないかを試みます。
たとえば爪を噛みたいという衝動の高まりを意識したら、すぎにそれがトリガーだと判断してポケットに手を入れてしまうと言ったようにです。
そして一度行動を書き換えることに成功したら、どんなに小さいことでもいいので自分に報酬を与えます。
飴をなめるといったことでも、ガッツポーズを決めるといったことでも十分です。
そうして悪癖のトリガーと報酬を攻略することで、新しい習慣のループがしだいにできれば、なかなかやめられない行動から次第に離れていくことができるのです。
人生を楽しむためにやることは、派手な新しいことではないと思います。
習慣や身の回りをもっと快適であなたが求めるベクトルにそろえていくことだと思います。
あなたの人生が、もっとあなたの望む方向に向いてくれたらいいなぁと思っています。では、また。