精神科医であり、いまだに月6回の病院診察をしながら、年3冊の出版をしている著者。
そんな著者も、勤務医時代は自分自身が時間に追われる生活の中で、精神的に病んでしまう経験をしています。
そんな中で自分自身でさまざまな時間術を編み出していきました。
特にこの人の仕事術については、人の4倍ともいわれています。
しかしその方法は特別な才能が必要なことではありません。
私たちも仕事の時に「今日はなんだかうまくいっているな」と嬉しく感じている瞬間がありますよね。
あの最高の瞬間を意図的に出せる状態にすれば、あなたももっと早く帰宅し、さらには趣味や好きなことに時間をたくさん使うことができます。
著者は毎日YouTube、Facebook、ブログを更新しています。
月20冊の本を読んで書評を後悔し、月2、3回のセミナーと講演活動をしています。
しかし、だからといってプライベートを削ってはいません。
毎日7時間以上必ず睡眠をとっています。
プライベートでは週4,5回のジム通い、月15回以上の会食、年30日以上の海外旅行もしています。
本書の時間術は根性論ではなく、脳科学的見地から集中力を保って仕事時間を過ごす方法を紹介しています。
ワタシもやってみました。
飽きやすく集中時間が短いADHDタイプの自分に合うやり方だと、うまくいきました。
あなたがやってみようと思うスキルがひとつでも見つかったら、嬉しいです。
「今でしょ」時間術
「今でしょ」が流行したのは10年前ですが、あなたも「今に生きる」ということばに、響くものがあるのではないでしょうか?
今にコミットして生きることは、次々あなたの仕事が片付いていくための最適な仕事術でもあります。
2分判断
すぐ終わる仕事は、後回しにしないで、今すぐ終わらせるのがマストです。
この「すぐ終わる」は2分で終わるという基準だとわかりやすいです。
メールも「その仕事に手を付けている今」すぐ返信すれば、思い出したりするロスタイムなしに2分で返信できますもんね。
30秒決断
「迷っている時間」は、結局無駄であることが多いですね。
考えるほど、「やらなくていい理由」が頭に浮かんでくるばかりです。
ひらめきや直感は意外にっ正しい。
30秒考えるのと、60分考えるのとで、同じ決断であることもあります。
30秒で即決決断をしていくと、時間を節約できます。
「未決」を決断する
そうはいっても、「本当に重要な決断」は、30秒では決められないこともあります。
そんなときは、「5月30日の12時に決める」などと決める日を決断します。
あるいは意図的に「保留」にします。
すると、それまでの間、その案件を何度もくよくよと考えこね回す時間のムダがなくなり、情報がそろったところで、改めて判断・決断ができます。
未決を決断すると、脳のワーキングメモリの節約になり、決断するまでの集中力を相対的に高め、集中時間を創出できます。
「いつまで」ではなく「いつやる」
未決の決断をするとき、ほとんどの人は「5月30日までに決める」としてしまいます。
しかしそうすると、「今日は25日。まだ、決められていない!」と先延ばしになってしまいます。
ですから「5月30日の15時~16時に終わらせる」と、作業時間を指定します。
この時間は、他の予定が入らないよう確保します。
期間と言うのは、時間を二次元的に「線」で見る発想です。
「今でしょ」時間術では、「今」を「点」として考えます。
ですから、仕事を先延ばしにする場合も、未来の「点」のような限られた時間をイメージし、そこにスケジュールをいれます。
だから、一瞬一瞬の小さな時間もフォーカスして、仕事を一気に片づける集中力を持つことができるのです。
「今、アポ」仕事術
著者は交流会などで人と会って、「その話、今度直接聞かせてください」という話になることがよくあるそうです。
しかし、その後に非常に残念な一言が続いてしまいます。
「日程に関しては、あらためてご連絡させていただきます」。
あらためて連絡は、まずありませんね。
本当に連絡したかったら、その場ですぐにアポイントメント。
これができる人は、次の仕事を手に入れることができます。
「今」にコミットする人と仕事する
「後日連絡します」の人たちがすべて悪い人であるとは著者はまったく思っていません。
しかし、仕事柄膨大な数の人と話をしている著者にとって、人は2種類です。
「今」にコミットしている人と、そうでない人。
「結果にコミットする」はライザップのキャッチコピーですが、著者の座右の銘は「今にコミットする」です。
そういう人は締め切りが早いだけでなく、メール返信も仕事の質も厳密です。
ですから、著者がビジネスパートナーで選択できるときには、「今」にコミットできる人。
仕事ができる人に選ばれる自分にしていく近道ですね。
午後時間を最大限に生かす時間術
1日を2倍活用できる究極の時間術のポイントに午後の使い方があります。
脳の究極のリセットをすることで、午後も最高の集中力を発揮し、翌日のパフォーマンスさえも上げることができます。
運動リセット術
午後は午前中よりも集中力がどうしても低くなります。
ここで著者は、夕方にジムでエアロビクスなどの有酸素運動をしています。
はっきり言って、夕方ジムとか無理に決まってますけど!
しかし、著者は運動してシャワーを浴びると、朝とまったく同じ状態で文章が書けると言います。
「朝カフェ」の仕事が集中力を確保できるとあります。
同じように「午後の運動はリセットになる」のです。
時間の使い方を変えて、帰り道にジムに行ったり少し走ったりしたら、自宅に戻ってからの英語やスキルアップタイムが集中できるかも?
知的重労働には「運動」が必須
ノーベル文学賞候補で毎年名前が上がる村上春樹さんも、毎日1時間の運動を習慣にしています。
彼が小説をどのように書いているかを記した、『職業としての小説家』と言う本の中でも、運動習慣について、1章が費やされています。
村上春樹さんは20年以上毎日1時間ランニングを続けているそうです。
しかも、台風の日も大雨の日も例外なくやるそうです。
運動しないと調子が上がらず、執筆もできないということが書かれています。
運動が脳にいい科学的な根拠
運動すると頭がすっきりして、集中力や意欲が回復することは、あなたも経験していると思います。
その科学的根拠をわかりやすく著者は7つに分類しています。
1「海馬の神経を増やし、長期記憶を強化する」
BDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌され、神経細胞の増殖を促進する。
2「脳を育てる」
脳の容積が増える。シナプスのネットワークが増える。
3「運動後から学習機能がアップする」
35分のランニングマシンで走っただけで、その直後から認識の柔軟性(遂行機能)、学習能力が向上する。
4「頭がよくなる」
「運動する人」と「運動しない人」を比べると、長期記憶、推論、注意、問題解決、流動性知能の課題について、「運動する人」の方が成績が上だった。
5「作業記憶がよくなる」
運動の前と後では、作業記憶(ワーキングメモリ)のテストの結果が50%以上改善した。
6「ぐっすり眠れる」
週に150分の運動で睡眠の質は65%アップする。日中の眠気レベルが65%下がる。日中の疲労感や集中力が45%改善する。定期的な運動で睡眠が深まり、日中の集中力が大幅にアップする。
7「やる気が高まる」
運動を開始するとすぐにモチベーション物質であるドーパミンが分泌される。ドーパミンには、記憶増強効果、学習強化効果もある。また、継続的な運動によって、ドーパミンニューロン同士のつながりが強まり、さらにやる気がアップする。
こうしたことから、著者は週1回を「運動する日」と決めて、定期的な運動をして睡眠や集中力の質を上げていくことを推奨しています。
著者自身の経験からの実感では、まったく運動しなかったころと比べると、1か月で仕事は2倍以上はこなしながら、自由時間も大きく増えているそうです。
宵越しのストレスは持たない
24時間で収支をつける
著者は土日という概念はありません。
多くのビジネスパーソンにとっては、1週間の中で緩急をつけますが、著者は1日のリズムの中で緩急をつけます。
午前は必死に執筆し、午後はゆっくり執筆し、夜は原則仕事をしません。
土日に休む、と決めていると、金曜日や木曜日のパフォーマンスは月曜の60~70%になってしまいます。
このロスをなくすために、1日で疲れを取るようにすることを著者は勧めています。
交流は最大の癒し
夜のリセット術としておすすめの時間の使い方は「交流」です。
家族と食事をする。
誰かと飲みに行く。
気の合う仲間と盛り上がる。
家で猫と時間を過ごす。
こうした時間は「愛の物質」と呼ばれるオキシトシンを出します。
オキシトシンは動物を抱っこする等でも出ます。
心も身体も癒されるのです。
これが、翌日また100%バリバリ働ける基礎となります。
会社を出たら、仕事のことは考えない
緩急をつけるというのは、「仕事をするときはバリバリやって、休むときは仕事のことを一切考えない」ということが大切です。
お酒を飲みながら仕事のことが頭をかすめていては、真のリラックスができません。
家に仕事を持ち帰るのはやめた方がいいのです。
睡眠にいい生活習慣
「寝る前2時間」で人生は決まる
言い尽くされていることではありますが、寝る2時間前にひかえることは、
・食事
・飲酒
・激しい運動
・熱い風呂
・視覚系娯楽(ゲーム、映画)
・光るものを見る(スマホ、パソコン、テレビ)
・明るい場所で過ごす(特に蛍光灯はNG。会社やコンビニも)
です。
やった方がいいことは
ゆったりした時間を持つことや、リラックスした時間を持つこと。
・音楽
・アロマ
・非視覚系娯楽
・家族とのコミュニケーション
・ペットとたわむれる
・身体をリラックスさせる軽い運動
・熱すぎない入浴
・読書
など。
緊張して日中に活躍している「交感神経」を身体と心を回復させる「副交感神経」に切り替える2時間を過ごすことが大切です。
眠る15分前はゴールデンタイム
眠りにつく15分前は、記憶が最も定着します。
寝る前に1日の良かった出来事を振り返ることで、睡眠の質をさらに上げることができます。
今週もお疲れさまでした。
来週のあなたの時間が楽しく有意義なものになりますように。
では、また。
ゆっくり休んでくださいね。