猫のメメとモエ

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『精神科医が教える「怒り」を消す技術』備瀬哲弘

私たちは、日にの生活であらゆる感情を抱きます。

そして、その感情の影響を受けながら思考し、行動しています。

ここで意識したいのは、そのような、感情、思考、行動などは、1つ残らず自分自身が選択したものということです。

感情に振り回されて怒りを表し、よくない結果を招いたとしても、その責任は自分にあります。

「頭が真っ白になってしまい、思い出せない」

・・・などといって、自らの行動を自らの感情のせいにして開き直っても、当然負うべき責任は自分自身にあるんですよね~。

 

先日、社内のお局様がお怒りのご様子でした。

いやもう、ピリピリしちゃって、大変です。

「いい大人が自分の感情のコントロールもできないなんで、情けない」

他の人が、職場で怒りをうっかりと爆発させているのを目にするたびに、私たちはそんな感慨を持つのではないでしょうか。

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健康な人は誰しも怒る

怒った姿をまったく見せない同僚などがいると、「うらやましい」とワタシも思います。

しかし、怒りは誰もが自然に持つ感情のひとつです。

いつも穏やかにふるまっていると評判の人と、「あの人、怒りっぽいよね」と陰口をたたかれる人の違いの1つは、怒りを外側に頻繁に表すかどうかにあります。

ただ、その違いは社会的にかなり決定的!

 

ですから、怒りのコントロールは、わたしたちが求めてやまないものになるのです。

 

私たちの感情は、ある事柄を認識したとき、それらを何かの意味づけをして起きます。

その瞬間、自分でも意識できないほどの短時間でわたしたちは「どの感情を抱くのか」を自ら意思決定します。

 

4つの視点から怒りを理解する

怒りは、私たちにとって基本的な感情のひとつで、日常の中にありふれた感情といっていいでしょう。

体系的に怒りを理解するには、「4つの視点」から考えることができます。

感情はいくつかの縁からなる多層的な構造をもっています。

 

怒りも同じく、4つの層から理解できます。

この、社会的にも表出してしまうと、実によろしくない感情と思われる「怒り」。

まずは分解して考えてみましょう。

怒りは4つの視点でみることができます。

それは、認知、整理、進化、社会です。

4つの視点① 思い込みの視点

怒りは、人間だけが持つものではありません。

動物も怒ります。

動物は攻撃を受けて生命的な危機に直面した際に、ときとして怒り、闘争する構えを示します。

「ときとして」というのは、戦っても勝ち目がない場合には、闘争自体が生命的危機につながるので、逃走を選択することを示します。

 

人間は、ほかの動物と違い、生命の危機を感じなくても、心理的ストレスを感じることで怒りを覚えます。

たとえば、

「あいつの口のきき方が気に入らない」

「上司の恰好がだらしなくて、むかつく」

など。

 

人は怒りの感情を持つと、

「あいつの〇〇は悪い。被害を受けた。自分は正しい。あいつの〇〇が自分を怒らせる」

というふうに、他者が怒りをもたらすかのような解釈をし、自らを納得させ、正当化します。

 

このような感情がもしもあなたに湧き出てきたら、「怒りは他者が広めるわけではない」ということを再認識すると、少しコントロールできます。

そして、思い込みがそこに働いていることに目を向けていきましょう。

 

ここで、「被害を受けた」と感じるかどうかは、その人の考え方次第。

おそれを抱いている傾向が強い人ほど、他人の振る舞いをストレス刺激として受けとめられます。

 

おそれず、ゆるすことを選択していくことは、怒りをコントロールしていくうえで忘れてはならないポイントとなります。

思い込みの視点(A)あなたは必ず正しいわけではない

そもそも、「自分は正しい」という前提こそが、一方的な思い込みです。

そのような視点で物事をとらえていると、「一般的によくない」とか「非常識だ」とか受け止める機会が多くなります。

そのため、怒りを感じやすくなるといえるでしょう。

 

ここで一歩、踏み込んで考えることで、あなたはその瞬間怒りをコントロールできます。

 

「あいつの口の利き方は、果たして万人を怒らせているのか?」

 

もちろん、その可能性はゼロではありません。

しかし、その話し方の方が、人気があることも可能性としてはあるかもしれません。

そんなときに「なんであいつの方が人気があるんだ!」と逆上するでしょうか?

そんなことをしても冷笑されるだけだと、私たちは知っています。

 

怒りのコントロールのためには、怒る前に、その都度自分に問うことが大切です。

思い込みの視点(B) 良し悪しの判断をやめる

私たちの捉え方には、それぞれクセがあります。

それでも人間は、自分の考え方が一般的だと思い込みがちです。

そして結果として、些細な違いに対して怒りやすくなるのです。

そのため、「のんびり仕事をするな!」「ミスをするな、自分はもっと早いぞ」と怒りを感じてしまいます。

 

医師である著者には、研修医時代に研修先の病院にとても腕の立つ先輩がいました。

その人がこのタイプでした。

研修医だった著者は、常に「早く仕事しろ!」と大声で叱られ続けました。

それはオフで会ったときにさえ同じで、「さっさと注文しろ!」などと怒鳴られていました。

周りの人にもその先輩は、同じ態度で接していました。

彼は仕事熱心でしたが、当然まわりからの評価は、彼の実力に見合わない低いものでした。

思い込みの視点(C) 予定が狂っても慌てない

先の先輩医師が、著者に対して怒りが止まらなかった理由後日著者なりに分析してみました。

著者なりの結論からいうと、「自分の予測や期待との違いがゆるせない」という彼独自の捉え方が、怒りに多分に影響していたと分析できました。

 

私たちは、予測や期待と言った自分なりの予定が狂ってしまうと混乱します。

混乱すると、心理的ストレス刺激ですから、その反応として「闘争か逃走」を選択する準備状態になります。

4つの視点② 生理的な視点

怒りの感情が起きるときは、命の危機にさらされるような緊急事態のときと体は捉えます。

 

体内は、自律神経の働きによって、意思とは無関係に制御されています。

怒りの感情が起きると、当然交感神経の活動が高まり、多種のホルモン分泌のひとつ副腎髄質からアドレナリンの分泌が増加します。

その結果、心拍数や血圧の上昇、消化活動の抑制、骨格筋への血流の増大、同行の拡大、発汗が起きます。

心臓病、心筋梗塞狭心症、虚血性疾患につながります。

 

先に自律神経は意思とは無関係に制御されるとありましたが、そんな自律神経に能動的に介入する経路が1つだけあります。

それが呼吸です。

私たちは緊張しているとき、無意識に深呼吸しているのです。

緊張から気持ちを鎮めるために、体が要請しているために深呼吸は起こる現象です。

このような体の生理的反応は、怒りを鎮めるメカニズムとして利用していくことができます。

4つの視点③ 進化的な視点

もしも人類にとって、怒りは「無くなった方が良いもの」であれば、進化の過程で消失しても不思議ではありません。

しかし、現代人にとって、怒りは心理的、社会的にさまざまな侵害に対する防御のために必要であるのではないでしょうか。

たとえばある日、社長にこう言われたとします。

「お前、全然使えないな。今のままだとクビだぞ」

このようなときに、あなたが

「ふざけるな!いい仕事をして、絶対見返してやる」

といった、怒り感情を持ちつつ、この怒りをバネにして努力を積み重ねたとします。

結果、仕事ができるようになったとすれば、侵害に対する防御を果たせたことになるでしょう。

このようなケースを考えた時には、怒りは私たち人間に必要性を見出すことができます。

4つの視点④ 社会的な視点

人間は社会的な動物。

社会的秩序を守る、という視点からとらえれば、怒りは社会秩序の調整・維持に役立つものと言えます。

列に横入りする人間を許せないと思ったり(文化圏によっては、横入りについて、その判断は変わりますが)するのは、社会秩序を構築するために必要な感情ともいえます。

怒りを定義する

こうした4つの視点から『怒りの心理学』では、怒りを次のように定義します。

「怒りとは自己もしくは社会への、不当もしくは故意(と認知される)、物理的もしくは心理的な侵害に対する、自己防衛もしくは社会維持のために喚起された、心身の準備状態」

怒りはひたすら抑えるべきか?

以上の「怒りという感情」の分析から考えると、怒りのコントロールは、感情をひたすら抑え込むことではないようです。

 

怒りは一般に否定的に論じられますが、肯定的な側面もあります。

あなたは会社や学校ではグッと抑えていても、家族や恋人に怒ったことはないでしょうか?

心理学の論文でも、適切な怒りが、他者との間に共感や相互理解をもたらし、対人間の信頼や親密さを増す働きがあるものとするものがあります。

また、親しい人に対して理性的説得という形で怒りを表すことは、相互理解が得られ、建設的な関係を築くことが期待できます。

しかしこれは、ごく信頼関係のある間柄で、理性的に行われる怒りの表出。

社会的には表に出すときには、ごく気を付けて行われるべきものであることは間違いありません。

怒りを表す人と隠す人

怒りを面に出す人と出さない人がいますよね。

怒りを面に表す人ををアンガー・アウト、表に出さない人をアンガー・インといいます。

アンガー・インとは、怒りによってイライラしたり、はらわたが煮えくり返ったりするようなときのことです。

その怒りは自分自身に向けられます。

湧き上がった怒りのエネルギーが内側に向かうのです。

外側には平静を装っているので、他者には自分の怒りは伝わりません。

第3者から見ると、その人の周りは穏やかなので、葛藤も生じません。

 

しかし、それが素晴らしいかというと、そうではないんです。

他者からの不当な扱いや搾取に対しても怒りを見せないでいると、相手から舐められて「やりかえしてこない」と認識され、不利益を被り続けることもあります。

これは先ほどの進化論的考え方からも、怒りという感情が必要であることを証明します。

また、社会的にも、一部の勝者とそのほか大勢の敗者で構成される社会は、混乱に陥る可能性が高く、長続きできないと考えられるでしょう。

こうした意味からも、怒りは必要な感情です。

怒りの完全な鎮静化へ

では、実際にあなたの生活での人間関係をよりよいものにするために、怒りをコントロールする力を身につけていきましょう。

怒りを記録し、評価しよう

怒りを記録して評価を与える、というスキルを本書では紹介しています。

そして相手との関係性によっては、自分の感じた怒りを相手に伝えるのです。

場合によっては謝罪を求め、建設的に処理をしていくことになります。

ただしこれは、相手次第。

どうなるかは、相手に期待するだけ。

 

だから、これからもよい関係を築きたい相手にだけ、このようなエネルギーを注ぎましょう。

「今後は、そこまで良好な関係を保てなくていいかな」と思う相手には、説得はあきらめてしまいましょう。

怒りを評価した後に、「怒りを捨て去る」ことに集中した方がいいでしょう。

 

私たちが怒りのコントロールを行う目的は、あくまで「心の安らぎを得て、よりよい人生を歩む」ためです。

怒りを消す技術① 怒りを書き出す

怒りを記録(アンガー・ログ)として書き出します。

決まりは無いですが、こんな内容を書けば過不足ありません。

①いつ

②状況(具体的に。その時聞こえた音、においや騒音、刺激なども書いておくと、気づくこともあります)

③思考(何を考えたか)

④感情

⑤行動

⑥重みづけ(その出来事は自分にとって、重要度はどれくらいか、100点満点で)

⑦評価と選択(①~⑥を通過し、この怒りを捨て去るのか、それとも理性的な説得を行うのか、自分でどちらかを「選択する」)

⑦の選択が難しいことが多いと著者は言います。

自分の怒りが正当であるとしても、説得ができるかは二の足を踏むこともあります。

そんなときは、アンガー・ログを見直します。

怒りを消す技術② 相手との関係性を評価する

自分が怒っていることを相手にわからせることは、エネルギーを費やすと同時に、リスクを背負う行為です。

たとえそれが落ちつきはらって、理性的に行われても、それは変わりません。

 

だから、その相手にわからせるほど、リスクを負うほど、あなたにとって相手は重要なのかをよく見直してみましょう。

自分を中心に同心円状の図をイメージしてみるとわかりやすいと思います。

重要な他者である配偶者、恋人、親、子供、親友がいます。

その次の円に友人や親せき。

そしてその次の円に職業上の人間関係があるといった図です。

 

その人は、大切な他者ですか?

ただの職場の同僚ですか?

怒りを消す技術③ 説得は行わないという選択

相手とのより良い関係を作るために、話し合いたい。

でも、「ちょっとやめておこうかな」と思うことも、よくあります。

それは、あなたとその人の関係性の中で機が熟していないのです。

理由は無いものの、この直感はけっこう当たっているもの。

怒りのコントロールは、あなたが「穏やかに生活する」ためのものです。

 

「今はやめておこう」と感じるならば、それがバランスとして必要なことなのです。

怒りを消す技術④ おそれを手放す

人間は怒りの感情を皮肉な態度で表してしまうことがあります。

そうした態度をとるもとになってしまうのは、実は「おそれ」です。

「おそれを抱いている」「おそれを抱きやすい状態」であるから、怒りを感じ、特に皮肉な態度で見せつけようとします。

 

実はおそれは、私たちの生活で必要不可欠な感情です。

現代社会で、詐欺にだまされないよう、あざむかれないように生きるには、おそれの感情が欠かせません。

しかし、これが過度に強くなると、他人の一挙手一投足を疑惑の目で見て、いかなる言葉も信じられなくなります。

おそれによって怒りが発生しやすくなり、怒りは多大なエネルギーを消費するので、疲弊します。

 

おそれを完全に手放す必要はありませんし、危機管理は必要ですが、次のようなことをしていくことでおそれを減らすことができます。

おそれを手放す(A) 傾聴する

私たちは、テレビを観ていても、人と話をしていても、実は自分と会話をしています。

「自分の声」こそが、おそれを生むきっかけを作っています。

皮肉の多いときは、「自分の声」に批判が多くあります。

自分が過去に経験したことに照合し、まだトラブルが起こっていないのに、非難めいた「自分の声」を聞くこともあるでしょう。

 

人と話をしている最中に、「自分の声」に気づいたら、「相手の話に集中しよう」と自らに注意を促してください。

そして、人の話の1区切りごとに「今の話は、これこれこういった理解でよろしいでしょうか?」などと復唱し、相手の内容と自分の理解のズレが生じないよう確認していくといいのです。

1回でもこれができると、心の中に温かいものを感じることができます。

ずっとできなくてもいいので、とにかく1回やってみましょう。

 

おそれを手放す(B) 評価をやめる

怒りを感じているときというのは、他人がどう自分と違うかに、厳しい目を向けています。

「他人が正しくない行いをするのではないか」ということをおそれているのです。

ここは、「他人の行動を評価しない」と言う行動を選択していきたいと思います。

 

「どうしてそんなバカげたことをするんだろう」

「あの人いつも『余計なこと』をして」

と、自分の価値観にもとづいた勝手な評価をしてしまったら、当然怒りやすくなります。

 

そんなときは、「私は、反対することに賛成する」というフレーズを唱えます。

人それぞれの見解の相違があるのは、当たり前。

自分の意見に賛同がされなくても、不用意な評価はやめておきましょう。

おそれを手放す(C) 空気を読みすぎない

おそれを抱きやすい人は

「他人が正しくない行いをするのではないか」

「自分が被害を受けるのではないか」

「自分だけが我慢していないか」

というおそれを抱きやすいものです。

これは性格の一面であり、生来の気質や親からの影響もあり、さまざまな要因がもとになっています。

すべてを取り除くことは現実的ではありません。

しかし、コトンロール可能なものは排除することができます。

それが、「空気をよみすぎない」です。

 

空気を読むことは、他人の非言語的メッセージを読み取ることを強要しています。

他人の評価をものすごく気にしてしまう風潮です。

他人の評価を気にしないように心掛けることも、怒りのコントロールの役に立ちます。

「他人からの評価は、自分でコントロールできないもの」と割り切る選択を繰り返していくことが必要です。

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日常の工夫① 挨拶を欠かさない

日常の工夫② 感謝を示す

日常の工夫③ 感謝の対象を広げる

などが、実践として書かれていました。

毎日を感謝とハッピーで過ごすことも、怒りをコントロールするためには必要ですね。

 

特に、今回の後半部分は、怒りを抱きやすいひとのために書かれたものです。

読んでいると、知り合いの誰かを思い出したりしませんか・・・

 

今週もお疲れさまでした。

ゆっくり休んでくださいね。

では、また。