今のあなたの自己評価を捨てて、新しい自己評価に書き換えれば、あなたの人生はどうなるでしょうか?
まず、あなたの脳内で、現実と自己評価にギャップが生まれます。
そして、現実に違和感を感じた脳が、新しい安心状態を現実につくり出そうと「勝手に」現実を変える行動を指示します。
すると”自動的に”あなたの新しい自己評価に合った現実が実現していきます。
以前ご紹介した『神メンタル』。
今回は、後半部分の「アファメーションを用いたあなたをあなたの思うあなたに変える方法」について。
すぐできる方法なので、一緒に読んでいただけたらと思います。
新しい思い込みをつくり出すことができるだけでも十分です。
それだけでも現実を変える力はあります。
しかし、ここでさらにこの自動的な変化の流れを強化することもできます。
そのために必要なのが「自分は必ず変化する」「自分は必ず実現できる」という「確信」です。
この確信を意図的に作り上げていく方法があります。
「思い込み」は不可能を可能にする
陸上競技の世界では、1マイル(=訳1.6㎞)を4分以内で走破することは無理だ、と何百年も言われてきました。1923年にフィンランドのパーウ”ォ・ヌルミ選手が4分10秒3で世界記録を樹立させました。
これは当時世界記録を2秒も更新するもので、世界は驚愕しました。
それでもやはり、4分を切ることはできなかった。
「やっぱり人類は4分を切るのは無理なんだ」
こんな認識が世界に広がり、これ「レンガの壁」と呼ばれました。
「1マイル4分の壁はエベレスト登頂よりも、南極点到達よりも難しい」といわれていました。
そんな背景の中、イギリスの医学生ランナーのロジャー・バニスターという選手が挑戦しました。
しかし、はじめは記録が伸びませんでした。
そこでバニスターは視点を変えました。
「もう4分を切ることを目指すのはやめよう。
これからは自分の記録を毎回16分の1秒(=0.0625秒)縮めることだけを目標にしよう」と考えました。
毎回16分の1秒タイムを縮めることはそんなに難しくない。
これを繰り返していけば4分も切れる。
つまりは、乗り越える壁を4分と言う”人類には不可能”といわれているとてつもなく大きな壁”から、たった16分の1秒という”これならできると思える壁”に変えたわけです。
結果、どうでしょう。
16分の1秒ずつ更新することはたやすかったのです。
最終的に1954年にバニスターは3分59秒4という、人類初の1マイル4分の壁を破る世界記録を樹立したのです。
しかし、話はこれで終わりません。
実は、4分10秒3というバニスター以前の世界記録からバニスターが記録を出すまでは31年かかっています。
それくらい4分の壁は非常に大きな壁でした。
ところが・・・。
バニスターが4分の壁を破っていたことで、世界の思い込みが崩れました。
すると、バニスターから1年以内に、4分の壁を破る選手が23人も現れたのです。
「絶対できない」と思い込んでいたものが「いや、できるんだ!」とわかった瞬間。
人類は、何百年もできなかったことができるようになったわけです。
人間の思い込み、には2種類あります。
ひとつは、「悪い思い込み」。
それは、世界のトップアスリートたちのパフォーマンスさえも、何百年も制限してしまうほどの強力なものでした。
しかし、一方「いい思い込み」も強大でした。
バニスターが4分を切ったことで「できるんだ」という思い込みを世界に広めました。
それにより、たくさんのアスリートが力を発揮しました。
あなたの日常にも、少なからず「いい思い込み」、「悪い思い込み」が存在するはずです。
ここで重要なのは、人類にとって不可能だと言われたことさえ、「思い込みが変わると実現できる」ということです。
ならば、意図的にあなたの「今の思い込み」を変えることができれば、あなたの「今」も変わる、ということです。
思い込みが生まれるメカニズム
では、人に「思い込み」が生まれるメカニズムを解明してみましょう。
①体験
ロジャー・バニスターで言えば、バニスターがいくら挑戦しても4分を超えられない、という体験をします。
②考え方
さまざまな体験により、「これはこういうものなんだ」という考え方が生まれます。
たとえば、何かをして怒られたら、「これはやってはいけないものなんだ」という考え方が生まれる。
私たちは、体験を通して何百、何千、何万という考え方、思考を自分の中につくり出しています。
③視点
無数の考え方が生まれると、私たちはこの考えに基づいて世の中をみます。
そして、「そんな自分の考え方は正しい」と裏付ける情報ばかり探すようになります。
「4分の壁を破るのは難しい」という考え方から世の中をそういう視点で見ると、「あの人も更新できなかった」「今回もダメだった」と、できない情報ばかり集めます。
④感情・思考
そして今度は、自分の視点にふさわしい感情や思考が生まれます。
「ああ、やっぱり無理なのかなぁ・・・」
「難しいよね・・・」
「・・・どうせ無理だよね・・・」
といった感じです。
⑤行動
生まれた感情や思考にふさわしい行動をします。
「できる」と思って取り組んでいれば、自然と練習方法、日常の過ごし方にも影響が出ます。
「難しいよね」「どうせ無理だよね」という感情・思考での行動で練習しても、超えられるわけがありませんよね。
⑥結果
行動にふさわしい結果が出ます。
「1マイル4分を切れない」などの結果です。
⑦強化
「1マイル4分を切るのは難しい」という考え方を持ち、視点、感情・思考が生まれ、行動をする。
そして、「4分を切れなかった」という結果が生まれると、そのあとは「やっぱり自分の考え方は正しい」と考え方が”強化”されます。
そしてこの①~⑦のループが何回も何回もくりかえされ、強化され・・・確信になってしまうわけです。
思考が現実化する本当の理由
世界が「4分を切るのは不可能」という思い込みを持つ中で、バニスターはなぜ4分を切れたのでしょうか?
そして、バニスターが4分の壁を破った後、1年のうちに23人が4分の壁を破れたのはなぜでしょう?
それも、この思い込みが作らせたメカニズムです。
バニスターがやったのは、②「考え方」を変えたことです。
「16分の1秒ずつ更新することならできるのではないか」という考え方に変えました。
このことで③「視点」が変わります。
「16分の1秒タイムを縮めるために、何をしたらいいだろうか?何ができるのだろうか?どんなことを心がける必要があるだろうか?」という視点で世の中を見始めます。
すると、「何かできるんじゃないか?」「おお!これくらいならできる!」という④「感情・思考」が浮かんできます。
そして、その感情にふさわしい練習や試合当日に向けての準備、過ごし方などの⑤「行動」をする。
やがて⑥「結果」として、16分の1秒縮まると「やっぱり縮まるんだ!」「不可能ではないんだ!」と自分の考えが⑦「強化」される。
そうなると、「さらに何ができるか?」と行動します。
やっぱりできた!
こうして「できるという思い込み」が形作られ、そのいい思い込みが確信になるわけです。
言葉の力によって思考を変えていく
あなたのすべての思い込みは、このように「考え方」が根本になています。
では、その「考え方」をどう変えていけばいいのでしょう?
その有効な手段の1つに「アファメーション」があります。
アファメーションとは、自分自身に「肯定的な言葉で宣言する」ことをいいます。
宣言、つまり「はっきりと誓う」ということ。
自分自身に対して肯定的な宣言をすることで、自分の考え方に影響を与え、感情・思考をコントロールするというのが狙いです。
「自分はこういう人間だ」
「こういうことを実現する」
などの言葉を唱え、何度も自分の脳に投げかけ(宣言)、「考え方」を強制的に変える・・・言葉の力によって思考を変えていくわけです。
あなたもアファメーションをやったことがあるかもしれません。
しかし、人によってはうまくいく人とそうでない人がいます。
そこにどんな違いがあるのでしょうか?
まずはアファメーションを行う上での注意点と、正しいアファメーションのポイントを紹介します。
正しいアファメーション
ポイント1 「現実的な目標を宣言する」
現実とかけ離れていると、心の中で「それは無理だと思う」という気持ちが生じてしまいます。
現実とあまりにかけ離れることで、変化を起こすうえで重要な「内側からの変化への意欲」が湧かなくなります。
「現実的な目標」とは、自分なら実現できなくはないと思える目標のことです。
ポイント2 「肯定的な言葉で宣言をする」
アファメーションは「肯定的な言葉のみ」に効果があると言われています。
人間の脳は「否定語」を認識できないという特徴があるからです。たとえば「ライオンをイメージしないでくださいね」といわれたら・・・あなたの脳は必ずライオンをイメージしてしまうはずです。
「間食をしない」とアファーメーションしたワタシは、「間食をしている自分」が脳裏に浮かび、そのときのダイエットは進みませんでした・・・・
「間食をしない」ではなく「〇〇キロになった」・・・これが脳のメカニズムに合った効果的な言葉なのです。
ポイント3 「現在完了形の言葉で宣言をする」
アファーメーションで唱える言葉を決める際に、絶対外してはいけないポイントは「現在完了形で宣言する」ということ。
たとえば、「私はお金持ちになる」ではなく「私はお金持ちである」という表現・・・これが現在完了形の言葉です。
”もうすでにその状態である”ということが重要です。
「お金持ちになる」という表現には、「今はお金持ちではない」と言う意味合いが含まれています。
何度も「お金持ちになる」と宣言を繰り返していると、「今の自分はお金持ちではない」という自己評価、考えを何度もインプットしてしまいます。
すると「私は今はお金持ちではない」という情報ばかりを収集するようになる。
すると、それにふさわしい行動をして、「私はお金持ちではない」という結果が生まれ、「やはり私はお金持ちではないんだ」という考えが強化されます。
アファーメーションの絶対条件・・・「私は〇〇である」という現在完了形を忘れないでください。
ポイント4 「臨場感が伴うイメージを作り上げる」
アファーメーションで唱える言葉ができたら、その言葉が実現している場面のイメージを作り上げてください。
あなたが唱えるアファーメーションが実現したとき・・・
あなたはどこにいるのか?
あなたは何を手にしているのか?
どんな光景を目にしているのか?
誰と居るのか?
何を話しているのか?
周りに人がいるのであれば、その人たちはどんな表情をしているのか?
あなたはその時どんな気持ちになるのか?
アファーメーションにより現実が自動的に変わるまでには、次の3つのステップを踏みます。
①アファーメーションをする
②アファーメーションにより「現実を変えたい」という感情(欲求)が生まれる
③現実を変える行動をより自動的に起こし始める
脳は細部まで鮮明にイメージを作ると、それが現実に起きた時と同じような生態反応を起こします。
たとえば、次の文を読んでください。
「あなたの右手を広げたその上に、梅干しが10個山盛りに載っています。それを1つずつ左手でつまんで、口の中に入れてください」
唾液が出てきたのではないでしょうか?
細部までイメージすると、脳はそれだけで唾液を分泌させてくる、生体反応をさせてくることがわかります。
これをアファーメーションに置き換えます。
細部までイメージを鮮明に作り上げ、その状況をしっかり体験すれば、実現した感情=生体反応がうまれます。
理想的なアファーメーションの手順
これを踏まえた上でのアファーメーションの理想的なやり方は、次の通りです。
①実現したイメージを思い浮かべる
②イメージを体験したら、紙にアファーメーションの言葉を書き出す
③最後に鏡の前に立ち、自分の眼を見て宣言する
④これを「毎日繰り返す」
毎日繰り返す、と習慣づけるのがなかなか大変なことです。
でも、歯を磨いたり顔を洗ったりする「いつもの習慣」にくっつけて行うと、無理なくできます。
私たちの脳が一番嫌うのは「変わること」。
私たちの脳が最優先にするのは「死なないこと」であるのは、前回の本書の内容でもふれています。
今の状態で不都合なく生きているなら、脳は変化を嫌い、考え方を変えようとしません。
だからこそ、「毎日繰り返す」おとで、脳にあなたの実現したいことを最優先させるのが、変化をもたらすうえで最も重要なポイントなのです。
4月も終わり、少し疲れてきたかもしれません。
新しい人間関係を構築していることでしょう。
無理しないでいきましょうね。
では、また。