あなたは、片づけが好きですか?
ワタシはもともと、職場のデスクがいつも山盛りの書類で埋め尽くされるタイプでした。
「たくさん仕事を抱えていますもんね」
なんていってくれる人もいましたし、自分でもそう思っていました。
しかし、いつも大事な書類は行方不明。
期日を書いたメモもどこかに埋もれてしまい、おかげで期限を破ることもしばしば。
そんなとき、以前慕っていた上司がいつもデスクをきれいに片づけていたことを思い出しました。
「年齢を重ねたから、きれいになっていないと、訳が分からなくなっちゃうから、仕方なくそうしているんだよ」
と、照れながら言っていたのですが、自分もそのころの上司と同じ年齢。
そう、記憶力がどう考えても落ちている中、書類を山盛りにすると、本当にわからなくなってしまうのです。
そこで、ちょっとだけ片づけてみました。
整頓されファイリングされ、必要事項だけが目に入る。
とにかく気分が、最高でした。
そこから、ちょこちょこ片づけ時間をみつけてやっていったら、机の上がすっきり。
仕事は以前よりさらに増えていますが、それは書類にしておいておかなくても、付箋紙でメモってすっきりした机にペタリと貼り付ければ、気づく。
すっきりしていれば、カレンダーも見えるから、期日もわかる。
何より、イライラしない。
デスクにつくたびご機嫌になれる。
「あの書類は?」と聞かれても、でてこないのは、何ゆえか相変わらずですがwww
片づけについて、本書でも「片づけは目的ではない」と著者が断言しています。
大事なのは、「片づけの先にあるもの」。
目の前の物を片づけることは、あなたの思考を整理すること
収納グッズでは幸せになれない理由
著者は個人宅での片づけレッスンとともに、講師として片づけについてレクチャーするなど幅広い活動をしています。
著者のセミナーには、「片づけられるようになりたい」と多くの人が参加しています。
中には、あらゆる収納本、お片付け関連ブログをよみあさり、「これならできるかも」とさまあまな方法を試してきた人も、たくさんいるそうです。
しかし、
「書いてある通りに物を捨ててきたけど、なんだか思うとおりにならない」
「部屋はある程度片付いたのに、相変わらず毎日イライラが収まらない」
という方も多くいるのだとか。
これは、著者自身も経験があることだそうです。
小さなころから片づけが苦手で、”やりっ放しのぱなしちゃん”、とあだ名がつくほどだった著者。
遅刻も常習犯で時間管理も苦手でした。
独り身の内は、それも自分のことだけで済みましたが、家庭を持つとそうも言ってはいられません。
しかも育児が始まれば、片付かないことは危険が伴います。
何とかこの負のスパイラルを抜け出したいと、収納本を読んで実践したそうです。
あらゆるスキマに物を詰めていきました。
しかし、一見片付いたように見える空間も、いつの間にかリバウンド。
いつも片づけに追われていました。
家がきれいになりさえすれば手に入ると思っていた幸せも手に入らず、家族中も悪化。
片づけは、幸せな人生の通過点でしかない
「私はどうしたいんだろう?どんな暮らしを望んでいたんだろう?」
そんな迷いの中で、物をどう収めるか?よりも、大切なことは自分がどんな人生を歩みたいのか、自分の優先すべきことをきちんと理解できるようになる思考の整理が必要であると気づきました。
片づけという行為は、それ自体が目的ではなく、何かを達成するために必要な手段のひとつでしかありません。
片づけの先を見ること!あなたにとって、それはなんでしょう?
そのスペースが片付いたら、どのように過ごしたいでしょうか?
片付いたスペースで、あなたはどのような表情をしているでしょう?
そのことが何よりも大切なのです。
どんな人生を送りたいかという「自分の未来」、
どんなふうに暮らしたいかという「暮らしの未来」、
そして最後は、この場所をこんな風に使いたいという「部屋の未来」。
これらをまずしっかりイメージしてほしいと著者は言います。
片づけの方法は無限にあります。
が、なりたい未来を描くことで、とるべき行動が決まってきます。
パフォーマンスを上げるために
部屋の中や家の中で、自分時間を最大限に堂々と作るには、少しでも楽でシステマティックに勉強や仕事や家事や片づけを終わらせることが大事。
会社の作業でパフォーマンスを上げて業務効率を上げるために、動線を考え抜くのと同じです。
見えるものが整理できなければ、見えないものは整理できない
1日は24時間しかない限られた時間。
膨大な情報から何をえらびとるか、きりがない人間関係をどうスリム化するか。
実は目の前の片づけができていないと、物事に優先順位をつけることや、取捨選択が苦手になっていきます。
見えるものが整理できなければ、見えない時間や情報、人間関係の整理は難しいのも当然かもしれません。
物の片づけの作業を通して、物の要不要を見極めを練習するのです。
使用頻度の高い順に手前に収めるプロセスは、何事にも通じるものです。
「自分が大切にしたいものを選び取る」という作業の繰り返しで得る技術は、ほかの場面の決断力を強めていき、あなたの人生のさまざまなシーンで活用されます。
そのためにもまず、見えるものの整理。
チャンスの入り口が広がる
これは、本当のことですね。
ワタシは昨年くらいから職場のデスクが片付くようになったのですが(遅すぎる!)、片づけができるようになってから、チャンスが舞い込んできたときに、すぐに飛びつくことができる決断力がふわっといつの間にか増大していました。
先週、次年度の人事について内々に打診をもらいました。
以前なら、「ちょっと考えさせてください」と言ってしまうワタシでした。
そうして熟考というシンキングタイムでいる間に、ほかの人にポジションをかっさらわれることが20年くらい続いていました。
でも、山積みのデスクの上の埋もれた情報に、何かやり残しやほかの重要な何かが隠れている気がして、次のステップに躊躇していたのです。
それが、デスクが片付いただけで、「チャンスの女神は前髪しかない」とすぐに決断して「やります、お願いします」が言えました。自分で自分にびっくりしました。
確かに大変な部署に異動です。
来年度はブログを書くことができないかもしれません。
でも、やりがいはあるし、年齢的にもう回ってこないチャンス。
やってみようと思えたのは、間違いなく「机をきれいにキープできている」という小さな自信による後押しがありました。
片づけとは選ぶ技術
片づけとは、あなたのスペースの中から必要なものだけを「選ぶ」ということ。
よくわからない配線コード、ねじ、無料で配られた景品、買ったけれどいまいちだったもの、好みでないプレゼント・・・・。
そうした必要のないものを収納しようと百円ショップをさまよって、隙間グッズや細かい仕切りを捜し歩いてはいないでしょうか?
ワタシは先週やったばかりです!もうやめます。
著者によると、よく使うものや、心が和むものには、必ずお気に入りであるさりげない理由があるそうです。
これからの心地よい暮らしのために、家の中で一緒に生活するパートナーや仲間を選ぶことが重要なのです。
・時短に役立つツール
・ときどき眺めることであなたを癒す思い出の品や写真
・お気に入りの洋服
あなた自身に役立つものや、お気に入りの物、自分のこれからの生活にふさわしいものだけを選び、あなたのスペースに残すべきなのです。
あなたが選んだものは、より大切に扱うようになり、今まで以上によい仕事をしてくれるようになります。
外の世界では、好きなことばかり、とはいきません。
やりたくない作業もあり、付き合いたくない時間もあり、気を使わなければならない場面もあるでしょう。
だから、あなたのスペースだけは、あなたのわがままであっていいのです。
苦手意識から手放せないものは、この年末に別れを告げる
とくに、「手を付けていな英語教材の山」や「使いこなせていない衣類」。
そうしたものの中には、自分の苦手意識が現れているものだと著者は言います。
著者も、たくさんの掃除用洗剤を持っていた時期があります(ワタシもです!)。
掃除下手であるという後ろめたい理由があったからです。
「これさえあれば、できるようになるのではないか?」
と思って”簡単・キレイ”などのうたい文句に踊らされるのです。
こんなときは、問題を掘り下げて発想を転換してみることがおすすめです。
たとえば、掃除が苦手な場合
「なぜ掃除が嫌いなんだろう?」
→「やっても結果がでないから」
→「そもそも汚れをため込むから大変になる」
→「ため込まないようになるには、どうしたらいいんだろう」
→「使ったら、すぐ拭く」
→「ぴかぴかにならなくても、毎日拭くことを心掛ける」
このように、掘り下げて考えることで、著者は洗剤を次から次へ買い込む行為に終止符を打つことができました。
「なぜ苦手なの?」の問いかけを続けると、根っこにある問題に気づくことができます。
仕組みづくりのゴールは、すべてのものの住所登録
理想とする場所を作るには、少し時間がかかるかもしれません。
片づけが苦手な人は、雑誌に載っているような素敵な空間をひと晩にして手に入れたように思いがちです。
しかし、そこまで行きつくには、さまざまな試行錯誤があったに違いないのです。
そんなハイレベル空間に目標をいきなり定めても、不可能です。
目標は、一気に駆け上がるのではなく、小さな成功体験の積み重ねで積みあがっていくもの。
この本では、理想の空間を手に入れるためのゴールを、次のような3段階で着実にクリアすることを目指しています。
①そこにあるものをすべて把握し、選び取る
②選ばれたすべてのものに住所登録をし、収める
③空間に愛着がわくように、自分好みのインテリアに仕上げる
①と②を同時にやると、実は片づけはうまくいきません。
「いる・いらない」の判断をしながら、どこに(どんなものに)収めるのかを考える人が、とても多いもの。
しかし、これが大きな間違いになるのです。
どんな場所の片づけでも、選ぶ作業を先に終わらせてください。
このステップをクリアしてから、住所を決定です。
あとから同じ場所に入れたいものが出てきたり、買ってきた収納グッズに入りきらなかったりする問題が生じるからです。
②が最終ゴールです。
そして③は①と②のステップをした人だけに与えられるご褒美です。
③のプロセスを存分に楽しむことが、心地よい空間を手に入れるための最後の仕上げになります。
片づけの7ステップ
では、現実問題として、どんな手順でやっていけばいいのか?
片づけ術の本には「今すぐできる」「簡単」などのうたい文句がついているものもあります。
しかし、再び散らかり、リバウンドしやすいのはなぜか。
土台作りを甘く見ているからだと著者は言います。
脳をフル回転させる作業であることを覚悟して臨みましょう。
著者が提唱する7ステップは
①全部出す
②選ぶ
③仲間に分ける
④仮置き
⑤住所を決める
⑥収め方を決める
⑦維持する
です。
ステップ1 全部出す
片づけ作業の初めは、その片づけたい場所のすべての物を出すことからスタート。
だから、時間も体力も必要であるとはっきり著者は書いています。
自分が所有している物が何かを把握して、一度向き合ってみましょう。
ステップ2 選ぶ
心地よい人生のためには、自分が本当に必要なものだけをしっかり選び取ること。
お金を出してでも買い直したいと思えるものであるかどうか。
「いるか・いらないか」の2択だととっさに迷いが生じるので、次の3カテゴリーで迷う時間を短縮しましょう
①好きか・好きでないか
②使用頻度
③しまう場所はここでよいのか
ステップ3 仲間に分ける
「選ぶ」が割ったら、「仲間分け」の作業。
例えば文具、CD、趣味の物。
ざっくり大まかに分類すると、自分でどの種類のものをどれくらい持っているのか、把握できます。
使う時をイメージしながらグルーピングしましょう。
自分なりの使い方の分別でかまいません。
たとえば乾電池なら、文具と一緒にする人もいれば、工具と一緒にする人もいれば、防災グッズと一緒にする人もいるでしょう。
自分の都合を最優先しましょう。
使う時のセットで分ける
クリスマスの時期に使うもの、ハロウィンの時期に使うもの、とシーン別にする「〇〇セット」も使いやすい分け方ですね。
その際重要なのは「ラベルを貼る」ことです。
ステップ4 仮置き
実は重要なのが、仮置きです。
なぜ重要かというと、
①物を選びながらベストな収納方法まで同時に考えるのは難しい
②仮置きしたことで、今まで気づかなかった願望が見えてくる
③収納グッズを買うのは、関連個所の仮置きが終わってからの方がいいから
仮置きは、今もている空き箱や収納グッズで行ってしまいましょう。
できれば、あまり色がないものや文字情報がないものがおすすめです。
ここまでくれば、片づけは70%終わりです!
ステップ5 住所を決める
ここまでのステップで、「何がどのくらい入っているのか」の把握ができました。
仮置きまで終了しています。
空間がだいぶ見渡しがよくなっています。
散らかる最大の原因のひとつは、物を置く住所が決まっていないことです。
片づけようと思いながら、その辺に置いてしまうこと。
適当な引出しに突っ込んでしまうこと。
さらには、急な来客にテーブルの上の散乱したものを、慌てて紙袋に入れて奥につっこんでしまう、なんてこと。
住所不定の居候がこうして増えてしまうのです。
楽にしまえる場所に
間取りをざっと俯瞰してみましょう。
物を収める場所は、当然ながら使う場所の近くが便利ですよね。
「この収納には何を入れるのが妥当?」
「これはどこに置いてあると便利?」
「いつも収める場所に困るもの、出しっぱなしになる物は何?」
と、自分に問いかけてみましょう。
物をとるか・スペースをとるか
一般的な収納が存在するのに、物があふれているなら、物を減らすことも検討。
物が少なくなると、片づけは楽になります。
よく使うものを取り出しやすく
「生活の80%は、持ち物の20%でまかなわれている」。
パレートの法則になぞって考えることができます。
ですので、毎日使うものを、目が届きやすく、手に取りやすい範囲に置くと、生活ストレスは大分少なくなります。
出しっぱなしの物は特等席を決める
プリント類やダイレクトメール、使い終わったバッグうなど、出しっぱなしになりがちなものは、先に住所を決めてしまいましょう。
家族で使うものの住所
家族で使うものは、一番片づけが苦手な人に合わせるのがおすすめ。
あなたが片づけを進めていても、家族の中の片づけを苦手としている人は、それについてこれていないこともよくあります。
どこにあったら戻しやすいのか、聞いてみましょう。
仮置きして、最もふさわしい場所に移動させ、次に収め方を検討するとスムーズ。
我が家も娘がリビングの自分の席に物を置きっぱなしにしてしまいます。仮置きします。
ステップ6 収め方を決める
収納に手間のかかる工夫はいらない、というのが著者が仕事であらゆる家庭を片づけて、気づいたことです。
基本的には
①棚を使う
②引出しを使う
③かける・つるす
の3つ。
グッズを駆使したり、工夫を凝らしたやり方は、結局手間がかかります。
見栄えも使い買っても、結局よくないのです。
ステップ7 維持する
次は、維持する習慣の身につけかたです。
入り口を整理する
実は、日常の何気ない動きが、元の散らかった空間に逆戻りする原因です。
無料のティッシュが入りきれないほどたまっていたり、安いからと野菜を大量に買い込んだり・・・
「本当に使いきれるか?」
「代用できる物はないか?」
を考えましょう。
いただきもの、使いきれない物をいただいたら、持ってきたその足で譲り先や、おすそ分けを考えましょう。
この本の素晴らしさは、その都度載っている写真や収納の例が、ステキでかつ「まねできそう」なことです。
ぜひお手に取ってご覧ください。
今週もお疲れさまでした。
では、また。