猫のメメとモエ

生命線があと10年分しかない!どうせなら、やりたいことに(あまりお金をかけずに)ちょっかいを出すことにした猫好きのブログ。メンタルトレーニング、自己啓発、一人旅、猫めぐり、山歩き、真剣な子育て、ジョギング、写真。その他いろいろ。

「捨てる」で本当の自分が見えてくる 羽生結弦選手の場合~『弱さをさらけだす勇気』松岡修造

連覇をなしとげた試合直後、羽生選手に著者がインタビューしていて、いちばん胸に響いた言葉があります。

「平昌オリンピックは、捨てて、捨てて、捨てる作業をしてきた大会でした」。

 

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彼は今回のオリンピックの演技で、難度の高い大技の4回転ルッツや4回転ループを捨てました。

確かに、羽生選手がけがをする前から、プロフィギュアスケーター織田信成さんや、羽生選手あこがれの選手でフィギュアスケート界の「皇帝」と呼ばれたロシアのエフゲニー・ブルシェンコさんはこんなふうに指摘していました。

 

羽生選手のジャンプはすべてGOE(基本点にプラスされる出来ばえ点)が高いのだから、平昌では4回転ルッツを跳ばなくても勝てる。

無理にリスクを背負う必要なない、と。

 

けれど羽生選手は、自分の技術の限界まですべて出し切って戦うことがスポーツである、相手に勝つだけでなく自分にも勝ってこそ「真のアスリート」だと考えている人です。

 

その彼がオリンピックシーズンから新たに取り入れ、しっかりと成功もさせていた4回転ルッツを捨てました。

4回転ループまでも捨てて、演技構成も変えました。

 

すべては、金メダルのために。

チャレンジしない自分は許せない。

そう考える彼にとって、この決断は長年大事にはぐくんできた自身の信念をも捨てるような感覚だったでしょう。

 

自分の大事にしてきたこだわりを手放す決断ができたのは、ソチからの4年間で自分の「引き出し」を増やしてきた、つまり選択肢を多く作ってきたからです。

 

羽生選手は2014年のグランプリシリーズ中国大会で、フリー演技直前の6分間練習のとき他国の選手と衝突して負傷するというアクシデントに見舞われることがありました。

心身共にショックを受け、棄権してもおかしくない状態の中で出場を決断。

フリーを見事に演じ切りました。

この経験から、どんな状況でも自分ができることをやり抜く力を得ました。

2015年11月のNHK杯では、合計322.40点の世界最高得点(史上初の300点越え)を出し、わずか2週間後のグランプリシリーズファイナル(スペイン)では330.43(史上初の330点越え)を出してみずからの記録を塗り替えました。

 

こうした世界最高店へのチャレンジも、4回転ルッツなど大技への取り組みで自分の限界に挑み続けていることも、すべては「引き出し」を増やすことに繋がっています。

 

ソチからの4年間に辛い思いをたくさんしながら、どんな時でも逃げずに挑戦を続け、それによって数多くの選択肢をつくってきた羽生選手。

だからこそ、持っているもののなかから「捨てる」という作業ができたのです。

棄てても、まだ十分に引き出しが残っています。

金メダルを狙った勝負ができる。

それこそが、彼の一番の「強さ」。

だから著者は、復帰直後のオリンピック連覇を奇跡だと思いません。

「けがのなかでよく勝ったね」というとらえ方もしません。

 

また、技術以外にも羽生選手が捨てたものがあります。

それは、友達に会いたい、遊びたい、大好きなゲームをしたい、といった日常的な欲です。

ふだんの生活の中での楽しみは、人間にとって大事なものですが、それさえも思い切って捨てたのです。

「連覇のためだけに幸せを捨てました」と彼自身、表現しています。

 

そして羽生選手は、捨てることの効果をこう表現していました。

「捨てることによって、決勝がどんどん削られていき、最後は本当に小さな金メダルの結晶になりました。

何をすれば勝てるかを、明確に見ることができました」

羽生選手の言葉を聞きながら、著者はこんなふうに感じていました。

そうか、捨てるということは、何があっても揺るがない「本当の自分」を見つける最高の方法なんだ、と。

 

 

それまで自分が大事に思っていたものを捨てるには、とても大きな勇気が要ります。

でも、何かを得るためには、それを捨てて手放さなければならない時がある、そうしないと最後に大きなものをつかむことはできないと、羽生選手はオリンピックから教えてもらったのだと著者は言います。

 

オリンピックは、人をとてつもなく強くするパワーがある。
著者は改めて、この思いを強くしました。

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明後日は「オリンピックの魔物を味方につけるポジティブ思考」について。

今日は、ゆっくりできましたか?

せめて夜は、あなたに楽しい夢がたくさんやってきますように。

では、また。

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