日本は、世界でももっとも労働時間が長い国、というのは聞いたことがあると思います。
自分を幸せだと思っている割合も低い。
そして、睡眠時間も世界と比べて短い。
睡眠時間を削っていることにより、実は生産性も低いことが分かっています。
そうした暮らしの中で、私たちがもっと毎日を楽しめる方法がある、と著者はいいます。
それは、「遊び」と「休息」を大切にすることです。
しかも、「遊び」は没頭するくらいの「遊び」。
それにより、脳は活性化し、生産性や創造性も豊かになります。
一流の仕事人ほど、一流の仕事をもっていることが多くあります。
それは、人に教えられるほどのレベルまで「遊び」や「趣味」を極めているのです。
余暇においての「極上の時間」への熱中が、本業へのモチベーションになります。
「何かに夢中になり、無邪気に楽しめる人が成功する」ということです。
「楽しい」という経験がドーパミンの回路を活性化
これらの話は、よく自己啓発本で見られるわけですが、どうして「プライベートを楽しんでいる人は、仕事もうまくいくのか」ということは、脳科学的にも証明できます。
答えはシンプルで、「楽しいとドーパミンが出る」からです。
ドーパミンは幸福物質と飛ばれ、「楽しい」「ワクワクする」「うれしい」といった幸せでポジティブな感情が分泌されると感じられます。
具体的には、目標を達成したとき、仕事、スポーツ、趣味で「結果」を出したとき、プロジェクトが成功したときに出るわけです。
何も大きな目標でなくても、「TO DOリストをひとつこなした」ときにも出ます。
あるいは、おいしいものを食べたり、おいしいお酒を飲んでも、ドーパミンは分泌されます。
ドーパミンが分泌されると脳が活性化します。
集中力や記憶力がアップします。
学習効果も高まります。
モチベーションが上がり、ポジティブな感情がわきあがり、物事に前向きに取り組めるようになります。
ドーパミンは「楽しむ」だけで分泌されるわけですから、「楽しむ」だけでスーパーマンになって、圧倒的なパフォーマンスを発揮する力を手に入れましょう。
創造性を鍛えるには「遊び」しかない
デザインや開発など、奇抜なアイデアが必要な仕事をしている人は別として、仕事はインプット仕事が多いものです。
インプット仕事中心で働いているあなたが、一生懸命結果を出すのは、良いことではあるのですが、あなたの創造性を鍛えることにはなりません。
どうしても、かたい提案が多くなるのはそのせいです。
インプット仕事を繰り返すことで、あなた自身が「ロボット脳」「奴隷脳」を創り出してしまうのです。
そこでアフター5に仕事が終わってから、「遊び」の中で創造性のトレーニングが必要なのです。
先に「楽しむ」と病気は治る
「遊び」はメンタル疾患の予防になります。
「遊び」はメンタル疾患の治療にもなります。
うつ病で来院中の患者さんがいました。
「具合が悪くて外に出られません」
と1日中家で過ごしていました。
著者は、昔その患者さんが好きだったというカラオケを勧めてみましたが、
「治ったらカラオケに行きます」
と即答しました。
それから2週間後、いつも沈鬱な表情だった患者さんの表情が変わっていました。
たまたま友達に誘われてカラオケに行ってみたというのです。
行ってみたら楽しくて、5曲も歌った、という患者さん。
慢性化していたうつ症状が、急速に良くなり、ふつうの外出もできるようになりました。
カラオケに行くことで、病気がよくなったのです。
幸せになる
今日1日を楽しめる人が、幸福な人である
あなたが幸せになる方法は簡単です。
「今日1日、楽しかった」
と思える1日を過ごせばいいのです。
とはいえ、仕事が忙しい、仕事がつらい、たいへん。
だとすると、仕事以外の部分、アフター5に「楽しい」や「幸せ」を創り出していくしかありません。
仕事での充実や成功、職場での承認なども、「楽しかった」の1コマにはなれますが、仕事をしていて「楽しい!」の人は少数派なはず。
つまり10人に1人しかいないのです。
著者の座右の銘は「今を生きる」です。
今を楽しく生きることで、幸せな人生を歩むことができます。
遊びを大切にすることで、心と身体の健康が保たれます。
メンタル疾患になる人は、往々にして遊びが下手であることを著者はたくさんの患者さんとのかかわりで知っていました。
ついでに言うなら、メンタルの患者さんはリラックスも下手だったりするそうです。
遊び上手、休息上手な人は、心と身体の不調につながりにくくなるわけです。
ストレスを抱える患者さんをたくさんみてきた著者は、
「ストレスを取り除くのは、結局のところ難しい」
とも言います。
原因を取り除くこと以外の対処方法を身につけることが必要なのです。
アフター5に映画を観る、自分の趣味に没頭する、おいしいご飯を食べる、誰かとデートする、家族とのコミュニケーションで癒される。
それでよいのではないですか?と著者は思うのです。
ストレスの原因は取り除けないもの。
仕事は、仕事、と割り切り、プライベートをエンジョイすることの方が、あなたの幸せに直結するのです。