日常の中で、何か大切な場面を控えて、逃げ出したくなるような不安や緊張、恐怖を感じることは、誰でもあるのではないでしょうか。
頑張りたいという気持ちがるからこそ、不安もまた大きくなります。
大事な場面だからこそ、不安となって、恐怖感・緊張感が高まるのが普通のことです。
不安やモヤモヤは、あなたのこころのアラート機能
心配事がはっきりした不安と、「なんとなく」の不安
がんばりたいという気持があるからこそ、不安もまた大きくなります。
とはいえ、不安や恐怖でこころが乱されると、普段の実力が十分に発揮できず、いつもなら余裕でできることまで失敗してしまうことにもなりかねません。
では、こうした不安やネガティブ感情と、どう付き合えばいいのでしょうか。
商談やプレゼン、採用面接など、とても緊張する相手との面談があったとして、「何を聞かれるんだろう」と不安になるのが、普通の反応です。
不安や心配事がまったくない人など、いないのです。
そもそも不安そのものは、異常な感情でも病的な現象でもありません。
むしろストレスから自分を守る、危機管理能力であり、自分に対するアラート機能という、重要な役割を持っているのです。
現代社会の不安と恐怖の特徴は?
ここでまず、「不安」と「恐怖」とを、区別してみましょう。
不安も恐怖も、わたしたちへのアラート信号である点は変わりません。
ただし、不安は漠然とした将来のことを対象としていますが、恐怖はその対象が目の前やイメージの中に、はっきりと存在している点が違っています。
精神病理学的に言えば、高いところがダメな人は「高所恐怖症」、狭いところがいたたまれないという人は「閉所恐怖症」という名前が付きます。
人間にはいろいろな恐怖のもとがあるもので、「尖端恐怖症」「暗所恐怖症」などもありますね。
一方、対象のはっきりしない「不安」があります。
あらゆることが不安でしょうがなくなってしまい、絶えずドキドキして日常生活に支障が生じるようになると「全般性不安障害」という診断がつくそうです。
ただ、そのレベルまで「なんとなくの不安」が高まってしまう人は、少数派です。
問題は、やはり、恐怖症状です。
高所恐怖症や閉所恐怖症は、そんな場所に行かなければ問題はありません。
厄介なのは、「職場」や「人の集まり」という、社会生活に欠かせないものに対して「恐怖」が強くなってしまうケースです。
自宅で家事や子供の相手をしている間は気持ちが安定しているのに、会社に行く朝や日曜の夜になると、不安感が高まってくる。
あるいは、PTAの集まりがある数日前から、なんとなく気が重くなってくる・・・。
こういった人は臨床現場でも非常に多いのです。
職場やPTAなど、恐怖の対象がはっきり定まっていても、では職場の何が怖いのかというと、特定のパワハラ上司や気の合わないボスママでもいれば別でしょうが、はっきりしない場合もあります。
不安の「もと」がわかれば、対応できる
現代社会では、「不安」と「恐怖」の境界は、はっきりしなくなっているのかもしれません。
他人と会うのが怖いという「社会恐怖」と呼ばれていた症状は、現代では「社会不安」という用語に改められています。
社会の複雑化とともに、心配がはっきりしているように見えて、そうでもないという難しいことになっているのです。
逆に言えば、具体的に何が心配なのかをはっきりさせて、不安と恐怖とを区別することで、こころの安定を脅かす宿敵を分析することもできます。
「なんとなくの不安」の中で、「自分がいちばん不安なのはこのことなのかな」と気づくだけでも、こころの安定を保つためには役立ちます。
例えば職場に不安や恐怖を感じている人ならば、具体的に何が不安なのかを箇条書きにしてみましょう。
漠然としていてリストアップできない場合は、あなたは「何となくの不安」に苦しんでいることになります。
次回では、不安をリストアップして分別するやりかたのひとつをご紹介します。
不安や恐怖を消していくには、まずは分別作業から始めてみましょう。
モヤモヤの「型」が分かれば、不安はかなり薄くなります
・不安には自分を守る働きがある
・対象がはっきりしている「恐怖」なら、具体的な対策が立てやすい
・何が不安なのか、何に恐怖を感じているかを、リストアップする
今日も1日、おつかれさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。