ひとが身近な人の痛みを目の前にしたとき、どんな行動をすると、いいのか。
「励ます」行動をするのか、「ほかのことを考える」行動に逃げるのか、によって、脳の中での偏桃体の動きが異なるということを、昨日読みました。
脳のなかの偏桃体は、恐怖や回避を引き起こすシステムです。
自分の家族や恋人が、目の前で電気ショックを受けている姿を見せられる、という人道的にもどうかな~!?と思うアメリカらしい実験です。
「相手の手を握って励ます」行動が許されたとき、恐怖は減りました。
しかし、「ストレスボールを握って紛らわす」の行動を指示されたとき、恐怖は減りませんでした。
ちょっとでも「相手を励ます」行動をとることで、自分自身も救われるんですね。
今日は、一緒に、「人助け」は、ほかにも効果があることについて学びたいと思います。
人助けは、時間が増える?
この研究でわかることは、ふたつです。
ひとつは、身近な人が苦しんでいるとき、
わたしたちは意識をどこに向けるかによって、
わたしたちの体に起こる反応は、変わるということ。
相手を慰めたり、いたわったり、助けることに意識を集中すると、希望やつながりをかんじます。
しかし、もどかしさを解消することばかりに気をとられていると、恐怖から逃れられなくなってしまうのです。
もうひとつは、
わたしたちは小さな行為によって、自分の体を勇気のある状態にできるということ。
先日読んだ実験では、「痛い思いをしている恋人や家族の手を握る」という行為だけでも、効果がありました。
ふだんの生活でも、このような小さなことで他人とつながることができます。
あなたが悩んでいるのが自分自身のストレスでも、あるいは身近な人が苦しんでいるのを見守っていることだけだとしても、希望を見いだす唯一の方法は、逃げることなく、人と繋がることです。
思いやりを大切にして向き合えば、相手の助けになり、自分のためにもなります。
例えばあなたが何かで無力感を感じたときにも、周りの人の役に立つことを自ら進んで行えば、やる気を失わずに、楽観的でいることができます。
このように「思いやり・絆反応」には、思いがけない効果があるので、周りの人の手助けをすることで、ストレスを力に変えるためにはうってつけの方法なのです。
また、こんな事例もあります。
ペンシルベニア大学の研究者たちは、仕事で時間に追われるプレッシャーを軽減する方法を探していました。
研究者たちは、「時間がない」という感覚を和らげるために、ふたつの方法を試しました。
数名の参加者たちは、思いがけない自由時間を与え、「好きなように過ごしてください」と、指示しました。
ほかの参加者たちには、「その時間を誰かの手助けに使ってください」と指示しました。
各参加者たちは、与えられた時間を過ごしたあと、研究者たちに次のふたつの質問をされました。
・あなたには今すぐ自由に使える時間がどれくらいありますか?
・あなたはいつもどれくらい「時間がない」と感じていますか?
すると驚い
たことに、だれかの手助けに時間を使った人たちのほうが、自分の好きなように時間を使った人たちよりりも、「時間がない」という感覚が和らいでいたのです。
さらに、アンケート調査によると、誰かの手助けをした人の方が、自分に対して「能力がある」「仕事ができる」「人の役に立てる」などの項目で、自分を高く評価することができました。
おかげで、待ち構えている大量の仕事への受け止め方も変わり、プレッシャーに対する自信も持てるようになったのです。
だれかの助けをすることで、時間という客観的で変化しないはずのものに対する感じかたまでもが変わりました。
「思いやり・絆反応」の観点から見れば、人助けすることで体の状態が切り替わって、余裕のない、行き詰まった感覚が和らいだのではないかと考えられます。
人の役に立てたときの、思いがけないうれしい気持ち。
たとえば、他人のためにお金を使うよりも、自分のために使う方が楽しいに決まっているように見えて、実際はその逆です。
与える、ということは、なかば強制的な場面においてもひとを嬉しくさせるのです。
ときには嬉しい気持ちになるために、人助けをすることを著者は勧めています。
やるべきことになかなか着手できないとき。
とくに時間がないとき。
気力が出ないとき。
そんな焦ってしまう瞬間に、積極的に誰かの手伝いをすること。
そこで、ぐっとやる気を手にいれることができます。
確かに、自信を無くしたり、やる気がでないとき、誰かの役に立てたりすると、気持ちを持ち直せますよね。
あえて、それも自分のための「やる気スイッチ」のひとつとして、持っておくのも手かもしれませんね。
涼しくなってきました。
素敵な夜を過ごしてくださいね。
では、また。