昨日は、ポジティブなストレス反応について勉強しました。
あなたが周りの人を助けようと決心したときに起こる「思いやり・絆反応」。
これによって、恐怖が抑えられ、やる気が強まり、プレッシャーをはねのけ、知覚や直感・自制心・行動力が上がります。
誰かをいたわろうとあなたが考えることによって、あなたの体は勇気がでる状態になり、希望が生まれるのです。
では一方で、つらいことを避けていると、どんな反応があるのでしょうか?
つらいことを避けていると、行動できなくなる
UCLAの神経科学者らによる研究は、周りのひとをいたわることによって、脳のスイッチが「恐怖」から「希望」に切り替わることをはっきり証明しました。
この実験の参加者たちは、家族か恋人と一緒に脳画像計測施設にやってくるよう指示されました。
施設に到着した参加者たちは、この実験の目的は、「ひとが他者の痛みのどう反応するか」を調べることだ、と説明を受けました。
参加者は、これから目の前で、家族や恋人がちょっとした痛さの電気ショックを何度も受ける様子を見守らなければなりません。
どれくらい痛いのかを知っておくために、参加者たちも事前に電気ショックを一度だけ体験しました。
そのうえで実験に同意した場合は、途中でその電気ショックを邪魔することはできません。
しかし、家族や恋人が痛い思いをするのを見守ることしかできないもどかしさ。
これをどうにかするため、参加者には2種類の方法が指示されました。
ひとつは、電気ショックの痛みに耐えている家族や恋人の手を握って、励ますこと。
もうひとつは、ストレスボールを握って、家族や恋人が痛がっているのを見守るストレスを発散することです。
参加者はそのつど指示に従って、どちらかの方法を実践しました。
そのあいだずっと、参加者の脳の活動状態が観察されました。
この実験で参加者が実践したふたつの対処法は、私たちが実生活で、家族や恋人の苦しみにどのように対処するかを良く表しています。
あるときは、わたしたちは相手の様子をじっと見守り、どうにかして慰めたり、支えになったり、助けたりできないかと考えます。
これは、「思いやり・絆反応」です。
例えばそばにいて話を聞くことしかできなくても、それは勇気のある行いです。
しかしあるときは、相手の苦しみを見守るもどかしさから逃れる方法を探そうとします。
そうすると苦しんでいる相手に意識が向かなくなるため、相手を助ける機会や意欲を失ってしまいます。
物理的にも精神的にも相手との距離を置き、不快感を少しでも和らげるために、つらいことは避けて通ろうとします。
心理学ではこれを「思いやりの崩壊」と呼んでいます。
身近な人のストレスに対して感じるストレスを避けているうちに、私たちはマヒしてしまい、行動を起こせなくなるのです。
この実験では、さきほどのふたつの対処方法によって、参加者の脳の活動には全く異なる影響が現れることも分かりました。
参加者が家族や恋人の手を握ったときは、脳の報酬システムと社会的交流ケアシステムが活性化しました。
また、相手の手を握ると、脳の領域の一つで、恐怖や回避を引き起こす偏桃体の活動が弱まることが分かりました。
いっぽう、ストレスボールを握っても、偏桃体の活動には変化は見られませんでした。
ほとんどの回避方法と同じで、ストレスボールを握っても、もどかしさは解消されず、かえって報酬システムや社会的交流ケアシステムの活動が弱まっていました。
つまり、そのせいで、参加者は無力感にさいなまされたのです。
この研究結果から学ぶべきことはふたつあります。
ひとつは、身近な人が苦しんでいるときに、意識をどこに向けるかによって、私たちの体に起こるストレス反応は違ってくる、ということ。
もうひとつは、自分のもどかしさを解消することばかりに気を取られていると、恐怖から逃れられなくなる、ということです。
すごい実験ですね・・・。
大事な人の痛みを、ただ見守るだけでしかいられないとき、確かに無力感に力をなくしてしまう時がありますね。
それでも、手を貸してあげるのではなく、自力で立ち上がるのを待っていなければならない時だってあります。
手助けすることがあるときよりも、「黙って見守る」方が本当につらいですよね。
そんなとき、ついワタシは漫画購入に走ってしまいがちです。
でも、結局なんだかすっきりしなかったりします。
それならば、「これは自分の気持ちの整理のためにやっているんだ」と自覚しながら、その見守るべき人を遠くにしながらもできるちょっとした手伝いでもしておくのが、自分の精神衛生上いいのかもしれませんね~。
今日も1日、お疲れさまでした。
涼しくて気持ちの良い季節ですね。
楽しい夜をお過ごしください。
では、また。