逆境はすべて同等か、もしくはそれ以上の利益をもたらす種子を運んでくるものだと著者は言います。
一時的な失敗や失意の時期を経験しないでまっすぐ成功へ向かって進んだ人は、きわめて稀なのです。
逆境は、強壮剤
失敗したとしても、内面の自己をしっかりつかんでさえいれば、つまり自分自身であり続けさえすれば、叩きのめされたままダウンすることはありません。
殴り倒されはしても、すぐに反撃することができるのです。
でこぼこの道に紛れ込んだとしても、必ず舗装されたハイウェイに出るルートは見つかるものです。
しかしあなたは「その心理は単純な物事にしかあてはまらない」と考えているかもしれません。
それなら、複雑な問題について考えてみましょう。
例えば、困難な問題を克服して植民地の地位から脱却するという問題です。
多くの煩雑な問題を取りまとめ、整理し、統一したあと、自分が初代大統領に就任するのだという立場で考えてみてはどうでしょうか。
1910年に、著者はマニュエル・L・イ・モリナ氏の私設顧問になりました。
著者は政治面での相談だけでなく、出来たばかりの「成功プログラム」を教えました。
ケソン氏はフィリピン独立後の初代大統領で、大統領になったのは1910年よりずっと先でした。
フィリピン国民を開放するという願望は、ケソン氏の心を強くせき立てていたため、彼は早くから新国家の初代大統領になる決意を固めていました。
著者はこの解放と大統領就任という2つの願望が実現できると思っていました。
しかし、このような大きなことは一朝一夕には成し遂げられないということも知っていました。
はっきりした願望や目標を決めるという行為には、万人の認める力があります。
しかし、実現可能な制限時間を設定して、その範囲内でその願望なり目標を達成させようとすることの力に気づいている人は少ないのです。
ケソン氏の顧問を務めて何年か過ぎた時、著者は彼に、フィリピンを独立させ新しい国家のリーダーとなる日をはっきりと決めようと誘いました。
そしてまた著者は、独立達成後に彼が毎日繰り返して唱えるべき自己宣言(アファーメーション)をも準備しました。
その自己宣言は、こう締めくくりました。
「私の目的と合致する意味あるいは影響のみ、私の心は受け入れる!」
タイムリミットと自己宣言は、ケソン氏が自分自身の心を固めることと、行く手に立ちふさがる困難に立ち向かうというエネルギーを維持するうえで、大きな助けとなりました。
それから24年後に、彼は新独立国フィリピンの初代大統領になりました。
この時期はあらかじめ設定したタイムリミットと6か月の誤差しかありませんでした。
これは偶然の一致でしょうか?
この間に入ってきた世界大戦や、そのほかの予期しえなかった数々の出来事にもかかわらず達成できたのは、偶然ではありません。
成功を意識することの重要性
富を築いてきた何百人という人々とのインタビューの中で、著者は、彼らの心がいかにうまく成功に焦点が合っているかと言うことに気が付きました。
これらの人々の中には教育を受けた人もいましたが、ヘンリー・フォードのようにその逆の人もいました。
かれらの心に素晴らしいことを達成させる力を与えた要因は、正規の学校教育を受けたかどうかは関係ありません。
並外れた知能でもありません。
何かが彼らの心に命じて大きな願望を設定させ、人生のあらゆる環境をふるいにかけ、彼らの野心を達成するのに役立ちそうなものを使うようにさせたのでしょう。
それは、成功を意識することにあるのです。
あなたはまず、自分の心を知らなければなりません。
そうすれば、”成功の意識”が見つかるはずです。
ヘンリー・フォードが良質で廉価な車を作る技術をマスターしたときでも、かれはまだ自分の成功意識を持ち続けていました。
彼は自分の作った車を普及させるため、国中いたるところで着実にセールス活動を推し進める必要がある、と考えました。
そのためには資本が必要です。
銀行は金を貸すと言ってくれましたが、彼は自分の会社をしっかりつかんでおくためには、外部に財務上の利害関係・・・つまり借金を作りたくはなかったのです。
フォードの有能な心は、彼が販売組織を作っている間すら、必要な資本を得る方法を彼に示しました。
まず彼は、フォードの販売権を持つ代理店にのみ車を割り当て、割り当てた台数を必ず受け取らねばならないことと、代理店への発想に先立って、販売価格の何%かを現金で前払いすることを義務付けました。
このプランで、すべての販売代理店をフォード・ビジネスのパートナーに実質上取り込みました。
かといって、フォードの主導権はいささかも影響を受けませんでした。
彼は、自分の主導権を傷つけずに、必要な運営資金を調達できたのです。
さらにこれは、販売代理店に、是が非でも買い手を見つけなければというモチベーションの効果を生んだのです。
成功意識は、すでに失敗の経験のある心にも注ぎ込む
自分の心を知り、自分の人生を生きるようになれば、録音テープを消してしまうのと同じくらい確かに、失敗の記録を消してしまうことができます。
後に残るのは、また新たにもっと良い情報を記録することのできる良質のテープ、いや心なのです。
それを独自に成し遂げる人々もいれば、助けを必要な人もいます。
あるとき、著者は無一文の青年と求人の相談で知り合います。
「寝るところがあって食べられさえすれば、それでいいんです」
という彼に著者は、潜在脳力を開発する言葉をかけていきました。
まず、持っている技術をリストアップしてみました。
すると、つい先ごろまで料理人をやっていたといいます。
料理人としての腕はまあまあでした。
けれど、セールスパーソンとしては落ちこぼれの一人でした。
そのセールスパーソンとしての失敗が、いつまでも彼にとりついていたのです。
彼が自分で自分を苦しめている”心の石”を割るのに、著者は手を貸さなければなりませんでした。
そして彼に、今までやってきたことを振り返るのではなく、これからできることを見通さ根禍ればならない、とアドバイスしました。
しばらく話をして、著者は新しい調理器具の開発がされていることを思い出しました。
しかしその話を聞いて、青年は
「話としては結構ですが、今夜の寝泊りの場所や新品のシャツ、新しいスーツ、当座の資金はどうやったらいいのでしょうか」
と言いました。
これは、まだ本当の自分を知らない心が発する典型的なものです。
願望や目標をまっすぐ見つめたりせず、障害ばかり数え上げようとするのです。
著者は、
「君に今必要なのは、まず正しい心構えを持つことだね。
そうすれば、自分が必要としているものを手に似れられるか、あるいは手に入れられなくても、別のいい方法を見つけられるものだ。
君の心が望みの願望を思い描くことができるか、あるいは成功意識がその願望に向かって心を押し出していく気配が感じられれば、その願望は必ず達成できるものなんだ。
そのほかのことは、とりあえず傍らに置いておくことだ。」
こうして話すうちに、彼は理想的な状態である、つまり積極的な願望(目標)を持つ手前まで来ました。
彼の人格の中に著者は、何か光るものを発見しました。
そこで著者は自分のゲストルームを貸してやり、食事を与え、身なりを整えてやりました。
彼は、週末には100ドルを売り上げ、翌週にはその倍近くの売り上げになりました。
まもなく自分の意志で著者のプログラムを学び始め、並行して彼は他の人々を雇って訓練し、マネジメントするようになりました。
あれほど弱り果てて空腹に耐えかねていた彼が、4年目の終わりごろには、なんと400万ドル以上の資産を持つに至っていました。
彼の新しく習得した「成功意識に満たされた心」は、家庭での実演販売法も完成させました。
ちなみにこの販売方法による年間利益は1億ドル以上に達し、現在でも多くのセールスパーソンが働いています。
今日は、ゆっくり休めましたか?
明日からの1週間がすてきな毎日になりますように!
では、また。