自己コントロールは筋肉に似ているそうです。
よいことをすると、悪いことがしたくなる
自己コントロールを発揮して、がんばってやるべきことをやると、私たちはよいことをした気分になり、つい悪いことをしたくなってしまうようにできています。
心理学ではこれを「モラル・ライセンシング」と言います。
これは血糖値や意志力が低下したせいではなく、「がんばったのだから、ごほうびがなくちゃ」と、自分の大切な目標を忘れ、誘惑に負けてしまうのです。
努力して、それをさらなる進歩につなげるには、自分にまちがった「ごほうび」を上げるのではなく、がんばっている理由とモチベーションを思い出しましょう。
「なぜ」を考えれば、姿勢が変わる
「がんばった自分にごほうびを」と思っている自分に気づいたら、「なぜ」自分はがんばっているかを改めて思い出すと効果があります。
自分が誘惑に負けなかったときのことを学生に思い出してもらったところ、モラル・ライセンシング効果による反動で、そのあと70%の学生が自分を甘やかす行動をとりました。
しかし、学生たちに「なぜ誘惑に負けなかったのか」という理由をたずねたあとは、69%が誘惑に負けませんでした。
「なぜ」という理由を思い出すと、ごほうびが目標を妨げる脅威に思えて、誘惑に負けて好きなことをするのが楽しそうに思えなくなるのです。
「明日も同じ行動をする」と決める
日の寄って自分の行動にばらつきが出ないようにすることで、「こんなことを毎日続けていいのか?」と自分に問いかける、という方法です。
行動経済学者のハワード・ラクリンは、自分の行動を変えたい場合、いきなりやめるのではなく、日によってばらつきが出ないようにすることから始めるとよい、と提唱しています。
たとえばタバコ。
「毎日同じ本数を吸う」と自分で決めると、「タバコの量を減らしなさい」と言われてもいないのに、自然と喫煙量が減ります。
「明日から減らせばいいや」という言い訳ができず、明日以降も同じ本数をずっと吸い続けることの重みを感じるからです。
これを意志力のチャレンジに生かします。
日によって自分の行動にばらつきが出ないようにし、自分の選択肢が将来に影響を及ぼすことを確認しましょう。
ドーパミンの「引き金」に気づく
私たちの身の回りには、誘惑がいっぱいです。
誘惑の仕掛けに気づくことで、衝動に流されないようにできます。
パソコンやFacebook、ライン。
私たちにはドーパミンの放出を促す道具でいっぱいです。
まるで携帯電話やパソコンが脳に繋がっていて、ドーパミンを絶えず刺激しているかのようです。
テクノロジーほど脳に依存性をもたらすものはなく、私たちはさらなる刺激を求めます。
ゲームのデザイナーは脳の報酬システムを利用してプレイヤーに「次はすごいスコアが出せるかも」と期待させます。
ゲームをやり続けると、大量のドーパミンが放出されるので、人はゲームに病みつきになってしまうのです。
生活の中にも「引き金」はいっぱいあります。
ドーパミン神経細胞を刺激し、お金を使わせようとする刺激に気づきましょう。
例えばスーパーだったら、試食や試飲コーナー。
パンやお菓子の香り。
入り口付近の目玉商品。
テレビ通販でも価格のトリックがよく見られますよね。
「1点買えばもう1点無料!」
「タイムセールです!」
「今回限りの60%OFF!」
マーケティングの仕掛けは巧妙ですから、私たちは意識しないでいると、常にいろいろなものが欲しくなるようにできているのです。
「やる力」とドーパミンを結びつける
このドーパミンの働きを逆手にとって、面倒なことを片付けることができます。
ドーパミンが放出されると、「報酬の予感」が生まれ、私たちは手に入れるために必死になります。
具体的な報酬を設定すれば、つまらないものでもやる気が出ます。
ある程度勉強したら、少しだけゲームをやる。
面倒な仕事はお気に入りのカフェでホットチョコレートを飲みながら片づける。
そんなちょっとした技でも、結構効果はあります。
明日からの1週間があなたにとってすてきな毎日になりますように。
では、また。