1日を振り返って、「今日はいったい何をしたのか?」と思うことが無いでしょうか?
いつか・・・永遠に来ない「いつか」・・・やろうと思っていることは無いでしょうか?
本書はクレイジーなまでの忙しさをペースダウンし、大事なことに時間を作る方法を紹介しています。
いまほど忙しい思いをせず、気を散らさずに、いまこの瞬間をもっと味わうことはできる、と著者は言います。
本書はよくある「生産性を上げる本」とはちょっと違います。
あなたにとって大事なことをする時間をつくる(メイクタイム)ためのノウハウです。
家族と過ごす、語学をマスターする、副業を始める、ボランティア活動をする、小説を書く、マリオカートをきわめるなど。
そしてメイクタイムを実践するうちに、1日ごとに自分の人生を主体的に生きられるようになると著者は言います。
多忙中毒と無限の泉
なぜ私たちはこんなに忙しくバタバタしているのでしょう。
また、あなたがいつもストレス一杯で集中できないと感じているとしても、それはあなたのせいではないのです。
理由は2つあります。
ひとつは「多忙中毒」という風潮です。忙しいのをよしとする考え方。
2つめの要因は著者たちが「無限の泉」と呼ぶ、スマホアプリなどの、コンテンツが絶えず補充されるもの。
引っ張って更新するものやストリーミング配信されるものは、すべて入ります。
この絶え間ないエンターテイメントは、たえまない忙しさに疲れ果てているあなたへの”ごほうび”になっています。
でも、たえまない忙しさは、本当に避けられないのでしょうか?
無限の気晴らしは、本当にごほうびなのでしょうか?
フェイスブックを更新する、YouTubeを視聴する、最新ニュースをチェックする、キャンディクラッシュをプレイする、ネットフリックスをイッキ見する・・・飢えた無限の泉のデフォルトは、多忙中毒のあとに残ったほんの少しの時間のかけらまで食い尽くしていきます。
平均的な人はスマホを1日に4時間利用し、テレビ視聴にも4時間を費やしています。
「意志力」や「生産性」の問題ではない
次々あなたの予定表を埋めてくる会議や雑務、メールの返信による多忙中毒と、スマホなどからの無限の泉の間で、私たちは引き裂かれそうになっているのです。
私たちはこんなことでいいのでしょうか?
日々の生活や人生に、本当は何を求めていたのでしょうか?
自分で決めなおしたデフォルトに書き換えられたらいいと思いませんか?
「意志力」は、実は脱出口にはならないのです。
長年著者はテクノロジー業界で働いた経験から、アプリやゲーム、デバイスにいくら抵抗しても、結局は根負けすることを知っています。
「生産性向上」も解決策にはなりません。
実際私たちは雑用にかける時間を減らしてきていますし、やるべきことをもっとつめこもうとしてきました。
しかし問題なのは、片づけても片づけても、すぐにまた別の仕事や要求がやってくることです。
ハムスターの回し車のように、速く走れば走るほど、ますます回転は速くなってくるのです。
でも、気を散らすものから注意を引き離し、自分の時間の主導権を取り戻す方法があるのです。
本書には、87の「自分の時間の主導権を取り戻す方法」が述べられています。
その中で、私なりに大事だと思ったことを紹介します。
1.ハイライトを予定に入れる
2.書く
3.「朝型人間」になる
1.ハイライトを予定に入れる
本書では1日の中での1番の目標を「ハイライト」としています。
タスクでは小さすぎるし、長期目標だと大きすぎ、どちらもあなたの人生の充実を図ったり、集中していくにはサイズが合っていません。
だから、今日1日で大事にしたいこと、とてもやりたいことを「ハイライト」として、あなたの予定表に一番に組み込んでいきましょう。
たとえばバーデ―ケーキを焼く、仕事のスライドを仕上げる、ガレージにネズミ捕りをしかける、など。
それを選ぶには3つの基準があります。
基準1つめ:緊急性
今日やらなくてはいけない、最も急を要することは、ハイライトになります。
こんな経験がないでしょうか?
長い時間をかけてメールを処理し、ミーティングに出席した挙句、1日に終わりになって、本当にやらなくてはいけなかった仕事が終わっていないことに気づく・・・。
今日中に絶対終わらせなくてはならないことがあるなら、それをハイライトにしましょう。
基準2つめ:満足感
何をハイライトに選べな、1日の終わりに最大の満足感を得られるでしょう?
締め切りや優先事項はちょっと忘れて、それをやり遂げた時、どんな満足感が得られるかを想像してみましょう。
早めに手を付けて、みんなに確認をしたいと思っていたプロジェクトがあるかもしれません。
その種のプロジェクトは緊急性が無いため、先伸ばされてしまいがち。
でも、ハイライトを利用して、「いつか」のサイクルを断ち切っていきましょう。
基準3つめ:喜び
今日という日をふりかえったとき、いちばん喜びを感じられるのは何をしたときでしょう?
すべての時間を有効活用しなくてもいいのです。
メイクタイムがめざすことの1つは、「毎日を完璧に計画する」というありえない考えを捨て、ただ目の前の物事に反応するだけではない、もっと喜びにあふれた生活をすることです。
つまり、何かを好きだからやるということです。
喜びをくれるハイライトは、他人には時間のムダだと思われるようなことかもしれません。
例えば、家にこもって読書にふける、友人と待ち合わせて公園でフリスビーをする、クロスワードパズルを解くなど。
喜びを得られるハイライトはほかにもあります。たとえば、
・友人の新居お披露目パーティに行く
・ギターで新しい曲をマスターする
・愉快な同僚と楽しいランチをする
・子どもを遊び場に連れていく
直感を信じて最高のハイライトを決める
これらの基準の使い方はどうすればいいのでしょう?
ハイライト選びで大事なことは、今日は「緊急性」「満足感」「喜び」のどれをメインに置いた1日にするかを直感で決めることです。
ひとつの目安として、60分~90分程度でできることを選ぶとよいそうです。
60分未満だと「ゾーン」に入らないまま終わってしまうかもしれないし、90分以上だと休憩が必要になります。
2.書く
計画を書き出すことは、魔法のような力があります。
書いたことは実現する可能性が高いのです。
ハイライトのための時間をつくりたいなら、まずは書くことを簡単な日課にしましょう。
これは何時にやってもいいのですが、夜(寝る前)か朝がやりやすい人が多いそうです。
どこに書くかは選択肢がいろいろあります。
スマホでリマインドをセットして、毎日メモアプリに書いてもいいし、イベントとしてカレンダーに書き込んでもいい。
でも、ハイライトを書き留める方法をひとつ選ぶとしたら、著者はふせんを使うそうです。
ラップトップやスマホ、冷蔵庫、デスクなどに貼り付けて、「今日時間をつくってやりたい大事なこと」をいつもさりげなく思い出せるようにしましょう。
3.「朝型人間」になる
著者にとっても朝型人間になることは、簡単なことではありませんでした。
いつもベッドからすんなり出られたことが無く、頭にもやがかかり、二日酔いのような頭でゾンビのようにぐったり過ごしてきたそうです。
でも、早朝の数時間を手に入れると、「天からの恵み」のようにそれらを感じたそうです。
しかし、早朝の意識朦朧状態を避けるには、計画が必要でした。
著者は周りの人にリサーチし、簡単な実験をいくつか行って、次の3つの方法に行きつきました。
1.「明かり」「コーヒー」「用事」を使う
著者は朝起きると、アパートメントの明かりを全部つけます。
できるだけ日の出を見るようにもしているそうです。
空が明るむのを見ると、夜から朝になるのだと脳に教えることができます。
ゆっくりとコーヒーを淹れる作業も目覚めを促します。
また、朝に「用事」があると、速く目覚めることができます。
何か運動するにもうってつけですし、皿洗いやアイロンがけ、家の片づけをするだけでも、良いのです。
2.前夜をデザインする
自分に必要な睡眠時間を自分自身で調べることを著者は勧めています。
著者が一番ちょうしがいいのは、7~8時間(冬は9時間)睡眠を取ったときです。
ほとんどの人が社会によって実は睡眠時間が決められています。
こうした社会のデフォルトをリセットするため、著者がしたことは、アルコールをやめ、ダークチョコレートを夕食後にとり、明かりを落とす、などでした。
実践したくなる内容がまだまだある本です。
良かったらお手にとってみてください。
今週もお疲れさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。