患者さんが自分の力でよりよく生活をするためのサポートをしています。
睡眠マネジメント研修をしたり、個人が睡眠セルフケアをするスクールも開催。
誰にでも取り入れやすい実践方法が好評の講師さんです。
毎日忙しく生活する私たちが、自分の脳と体の機能をフル活用して、「ここぞ」というときに力を発揮していけるようにするのが、リハビリテーションの考え方です。
その「ここぞ」というときにあなたの力を引き出すのが「睡眠」の力です。
本著では3つの「やめること」を提示しています。
①夕方から夕食後に、いったん眠る
②夜中に目覚めた時に、時計を見る
③眠っていないのに、寝床にいる
この3つは日常的にやりがちですが、脳と体の機能を阻害する注意すべきことです。
1 生体リズムを活用した、誰にでもできる快眠習慣
仕事の終わる夕方や、夕食後テレビを見ているときに、眠くなることはありませんか?
実は、このとき少しでも眠ってしまうと、夜ぐっすり眠れなくなります。
これは私たちの内臓の温度である深部体温が関係しています。
質のよい睡眠の条件は、眠り始めに深部体温が急激に下がることです。
深部体温は、1日に上がったり下がったりしますので、このリズムを使いこなせば、睡眠は充実します。
昼食後に眠くなりやすい経験があると思いますが、実は昼食を取っていなくても、起床から8時間後は、私たちは必ず眠くなります。
仕事では集中力を欠き、ミスが増えるので、この時間帯の眠気をうまく避けることが大切です。
また、何時間も寝付けない夜でも、新聞配達のバイクの音が聞こえる朝4時ごろになるといつの間にか眠っている、という経験もあるのではないでしょうか。
私たちは起床後22時間後には、おきていられない状態になるのです。
深部体温リズムというものもあります。
内臓の温度のことで、最も上がるのが、起床から11時間後。
スポーツの新記録も15時から20時にかけて多く出ることが知られています。
握力も朝より夕方の方が強くなります。
私たち人間は、この夕方の時間帯が一番元気なのです。
深部体温リズムは睡眠の質に強く関係し、深部体温が高いところから低いところに急激に下がると、睡眠は深くなるという特徴があります。
つまり、夕方に少しでも体温を上げれば、その晩の睡眠は充実します。
また、明け方4時には、深部体温は最も低くなります。
この時間は私たち人間は生産的な活動はできないのです。
よって、睡眠のために大事な快眠習慣として、
①16時から20時に眠ってはいけない
②夕方に筋肉を使う
ということが言えます。
さらに、筋肉量は良質な睡眠にかかわっています。
実は女性は男性より不眠症の発症率が2倍。
これは、筋肉の量が関係しています。
筋肉があると熱を生み出すので、急激に体温を上げて、そして下げるという、深部体温のメリハリが作りやすくなります。
そのためのトレーニングがあります。
「肛門をグッと締めて、背中とお尻の筋肉を効果的に使う」
というもの。
帰宅途中で歩いているときや電車で立っているとき、仕事中なら椅子に座っているときでもOKです。
メラトニンリズムを整える
また、メラトニンのリズムを活用する方法もあります。
朝、目が覚めたら窓から1m以内に入る
目覚めてすぐ朝日を浴びることは、その日の夜ぐっすり眠るだけでなく、その日の昼間のパフォーマンスを上げます。
大事なのは眠気を催すメラトニンをしっかり減らすこと。
それには脳に光を届けることが必要です。
脳が朝を感知する光の量は1000~2500ルクス。
ふつうの家庭の部屋の中央あたりが500ルクス程度なので、足りません。
起きてから家を出るのに、たいてい1時間ていどかかる人がほとんどなので、外出したタイミングからメラトニンリズムがスタートしたのでは、午前中の脳の立ち上がりが遅くなります。
全身で浴びなくても大丈夫。
目の中に光を入れるだけでいいので、朝日を向いて朝食を摂ったりするといいかもしれません。
休みの日に二度寝したくなったりするなら、窓から1m以内の場所で日向ぼっこをしながらすると、夜のリズムを崩しません。
また、暗いうちから起きるときには、デスクライトで脳に光を届けることで、人工的に朝をつくることも効果的です。
また、早朝早く目覚めすぎる人は、目標の時間までカーテンで光をさえぎっておくのもいい方法です。
今日もお疲れさまでした。
ゆっくり休んで素敵な夢を!
では、また。