せっかくの休憩時間や、楽しい食事の時間。
コロナ禍のご時世だと、黙ってもぐもぐ。
すると、忘れてよいはずの10年以上前の記憶がよみがえってきたりすることが、けっこう頻繁にあるのです。
これを消して、もっと目の前の食事やコーヒーを楽しみたい!
休憩時間がもったいないですからね。
「過去と他人は変えられない!」と自分に言い聞かせて、自分を取り戻そうとするのですが、過去の強烈な記憶は、なかなかに手強いです。
お酒などで忘れる、という手もあるのですが、どう見ても不健康な習慣です。
そこで、今回どうしてもできるようになりたいのが、「マインドフルネス」です。
しかも、できれば手軽にやりたい。
本著は、5万部突破の名著。あなたも本屋さんで見かけたかもしれません。
本屋さんのランキングでも上位に位置する、書店員さんもお勧めするマインドフルネス本。
本著の特徴は、「日常の普段の生活の中で」「30秒で十分できる」「53のエクササイズ」が紹介されている点。
ワタシもいくつもマインドフルネスの本は読みましたが、本著は実践力がパワフルなのでマインドフルネスの本では私的には1番かと思っています。
人は無意識でいるあいだ、人生の多くを失っている、と著者は言います。
無意識でいると、人は過去に戻って、自分の過ちについて、くよくよ思い悩み始めてしまうものなのです。
過去を思い返して後悔に浸っていると、現在のことがおろそかになります。
そして、「今」の瞬間に生きられないことで、賢く行動できず、また過ちを犯してしまうことになるのです。
未来に対して計画を立てる能力もまた、人間の脳にだけ備わった特別の恩恵です。
しかし、頭が不安でいっぱいになっている人は、未来に関してありとあらゆる悪いことを考えて計画を立てようとします。
そしてそのほとんどは、実際に起こらないことです。
そんなふうに、しょっちゅう未来にジャンプすることは、頭と心のエネルギーの無駄づかいです。
何が起こるかわからない未来への準備で大切なのは、計画は常識的なものにして置き、今現在起きていることに意識を集中することです。
体を鍛えると強くなるように、マインドフルネスを練習することで、あなたの心は常に何かに占領された状態から脱し、あなたの選んだ人生を輝かせていきます。
釈迦は「心を育てるのは、森に住む野生のゾウを飼いならすようなものだ」と言っているそうです。
野生のゾウは、そのままだとモノを壊したり、作物を踏み荒らしたり、人を傷つけたりすることがあります。
粗野で気まぐれなのは私たちの心も同じです。
マインドフルネスは、そんな私たちの心を調教するための大切なツールです。
本著で示されるマインドフルネスの練習は、53通り。
その中から、ワタシが独断と偏見で「これならできそう」なものをいくつか一緒に読んでいただきます。
そこには、「取り組むコツ」が記載されています。
著者は、マインドフルネスを獲得するために一番難しいことは「それを忘れないこと」だと自身の経験から理解しているからです。
1.痕跡を残さないように暮らす
自宅内のどこかの場所を選び、そこを使った痕跡を残さないように暮らします。
ふつうは、洗面所やキッチンなどがいいそうです。
そこで料理したりシャワーを浴びたりしたら、食べ物やせっけんの匂い以外、いっさい痕跡を残さないように、完全にきれいにしてその場を離れます。
コツ:選んだ場所に「痕跡を残さない」と書いた紙を貼ります。
この練習をすると、「するべきことから目を背ける傾向」が自分にあることに気づかされます。
立ち上がったときに、ごみを拾う、洗面所でくずかごに入れ損ねた紙を拾う、カップを流しに置くだけでなくさっと洗って片づける、、、。
この練習をした人は、「1つの場所で痕跡を残さない練習をしていくうちに、ほかの場所でも同じようなことをするようになった」と話していたそうです。
これをすると、どれほど小さなモノが私たちの生活を支えているかに気づき、大切にしたくなるとのこと。
汚れたものをすぐ洗って元の場所に戻し、役に立ってくれたものを大切に扱うと、心に満足感を覚えるそうです。
2.「つなぎ言葉」に注意する
無意識に出てくる「あの~」「ええっと」「でー」「みたいな」「ほら」「っていうか」などの言葉がつなぎ言葉です。
コツ:かなり無意識に使ってしまうので、自分でもわからないこともあります。自分がしゃべっている場面を録音するとどれくらい使っているか、頻度が分かります。
これは著者の寺院でも一番難しい練習の1つだそうです。
つなぎ言葉に気づくことも、事前に止めることも、非常に難しいこと。
つなぎ言葉に意識すると、ラジオやテレビや周囲の会話からも、つなぎ言葉が聴こえてくるようになるのだとか。
また、この練習をしていると、つなぎ言葉のない話し方がどれほどわかりやすく、力強いかもわかってきます。
心が澄み切っていれば、もっと率直、正確に、しかも人を傷つけることなく言葉を口にすることができます。
この練習は無意識の行為がどれほど私たちの生活に浸透しているか、それがどれほど難しいかを教えてくれます。
その行動パターンに意識の光を当てた時に、初めて修正する余地が生じます。
3.自分の手に感謝する
日に何度か、手が忙しく働いているときに、それが誰かほかの人の手であるかのように、観察しましょう。
また、手がじっとしているときもじっくり眺めてみます。
コツ:手の甲に「私を見て」と書いた紙を貼りけます。
仕事などで無理な人は、ふだんはめない指輪をはめます。それも難しい人は、手を洗ったときなどに手を意識します。
私たちの手は実に様々な動きをします。
この練習をしていると、人が独特の手の動かし方をして、それがまるで自体に意思があるかのように動きます。
あなたの手はいつもあなたの面倒を見ています。
禅では、意識していなくても身体が自分自身の世話をすることは「本性」、つまり人間の本来の善性や知恵が果たす機能なのだと説明されています。
左右の手は自然に助け合い、素晴らしい仕事を楽々と成し遂げていて、しかも傷つけ合うことがありません。
人の本性は、自分も人も傷つけるようにできていないのです。
4.食べるときは「食べること」に専念する
食べたり飲んだりしているときに、ほかのことをしないようにします。
口にするものをゆっくり楽しみます。
五感を解放させましょう。
食べ物の色合い、形、表面の様子を眺め、口に入れて香りや味を味わいます。
コツ:テーブルに「食べることに専念」というメモを貼ります。
間食することが多い場所にも貼ります。食べながら見やすいパソコンやテレビにも「食べる」に×をつけたメモを貼っておきます。
現代人は年中「ながら行為」をする習慣がついていて、食べることはその一部になっています。
この練習をすると、自分がどれほど多くの「ながら行為」をしているか気づきます。
この「マインドフルな食べ方」のワークショップに参加した人の多くが、「とにかく、さっさと食べて仕事に戻りたいと思っていた」と言います。
しかし私たちが毎日する仕事の中で一番重要なことは、たった30分でも「その場に意識を置くこと」ではないかと著者は言います。
私たちがこの世の中に提供できる最高の贈り物は、製品でもプレゼントでもなく、意識を集中して「そこにいること」ではないでしょうか。
マインドフルに気持ちを込めながら食べれば、たとえひと口でも食べることが豊かで多彩なものになります。
そうすれば胃がはちきれそうになるまで食べるのではなく、心が満たされるまで食べておしまいにできます。
5.心からの「ほめ言葉」を伝える
1日1回、家族、友人、同僚など周りの誰かのことを考え、その人に心からの「ほめ言葉」を伝えます。
子どもや親など、自分に近いひとほどいいでしょう。
ほめ言葉は具体的なほど効果的です。
人があなたをほめてくれたら、それをしっかり意識して聴きます。
どうしてほめてくれたのかを考え、その言葉が自分に与えた影響を考えます。
コツ:紙に「ほめる」と書いて、目につくところに貼っておきます。
この練習は初めは抵抗を感じる人もいます。
心にもないお世辞を言うのかと心配するからです。
そのうちに、ありがたいと感じることは身の回りにいくらでもあることに気づき、実行できるようになります。
来週から梅雨入りだとか。
湿気が多い季節も、無意識に愚痴を言うのではなく、楽しい方に集中して過ごしたいですね。
ゆっくり休んで、素敵な夢を。
では、また。