良い睡眠は感情コントロールの基本です。
ただし、意外なのですが、ゆううつな気分のときに、外出もせず家事もせず、ひたすらゴロゴロするだけの「寝逃げ」に走るのは、決して良いことではありません。
「ふて寝」「寝逃げ」はうつになる?
「どうせ目覚めても辛いことばっかりだから、ずっと寝ていたい」
「起きていてもロクなことがないから、1日中ベッドの中にいるほうがいい」
「用事もないし、楽しいことがないから、起きる理由がない」
精神科医をしている著者の患者さんにもそういう人が大勢いるそうです。
著者自身もそういう時期があったので、気持はわかるそうです。
動物は冬などの厳しい自然環境の中で、冬眠という手段で自分の身を守ります。
人間も辛い時には、なるべく起きていたくないので、睡眠に逃げるということがあります。
大脳が発達した人間では、起きている間の精神的つらさから逃れるために、こうしたストレスを避ける行動をしているのかもしれません。
「たくさん寝れば、休養十分で元気になるのでは?」
というのは、睡眠不足でヘトヘトの人にだけ言えることです。
不必要に長時間の寝すぎが続けば、人間はうつ状態になりやすくなることが分かっています。
睡眠は不思議なもので、あればあるほど良いというものではないのです。
寝すぎでうつになる理由
休日の二度寝などをして、昼過ぎに起きると「頭が重い」「気分が悪い」など、調子がかえって悪くなったことがないでしょうか。
眠りすぎは、リズムを崩して時差ぼけ状態を作り出すだけでなく、だるさから元気が出なくなり、抑うつ的になることもあります。
まったく不思議なのですが、睡眠をとりすぎると気分は落ち込み、逆に徹夜は気分をハイにさせる効果があることが知られています。
うつ病に対しては、一晩全く眠らせないという、「断眠療法」という治療があるくらいです。
睡眠をとりすぎるとうつになる、徹夜でハイテンションになるメカニズムは、実は現代の医学でもよくわかっていません。
しかし、うつ病は不眠タイプが多いのは事実ですが、いくら寝ても眠くて仕方ないという過眠タイプがいるのも事実です。
特に双極性障害(躁うつ病)の抑うつ状態では、仮眠の割合が多いようですが、頻度は2割~8割と報告によって大きなばらつきがあります。
このように、寝すぎや過眠とうつの関連は、まだ解明されていない部分が多い分野です。
はっきりとしたメカニズムはわからないとはいえ、睡眠不足がNGであるだけでなく、寝すぎもメンタルにとって良くないことは確かです。
二度寝は、基本的にひかえること。
睡眠時間は、たいてい6~7時間で十分なことがほとんどです。
明け方少し早めに目が覚めてしまったけれど、二度寝しようか迷ったときは、起きてしまうのが一番だそうです。
「休日ぐらいは、寝坊したい」という人も(ワタシを含めて)多いもの。
ですが、平日と同じ時間に起きなさいという厳しいことはありませんが、平日よりせめて2時間程度の寝坊におさめるのが良いそうです。
寝すぎや寝逃げによってうつになるメカニズムははっきりしませんが、体内時計のリズムを乱してしまうことが大きな要因と思われます。
リズムを保つことが、こころの健康としっかり結びついているのです。
休日の昼寝は楽しいけれど、確かにそのあとうつになりますね。
「疲れを取って、来週頑張らなくっちゃ!」と意気込んで長時間寝るよりも、リズムを大事にする方が良いのですね。
ゆっくり休んでよい夢を。
明日、すてきな朝を迎えられますように。
では、また。